2019/07/12 のログ
ジーヴァ > その店はギルドの間で噂になっていた。
滅多に開くことがなく、中は精巧な魔法道具で埋め尽くされた小さな店。
あちこちにその店はあるが、どれも開くことは滅多にない。
おとぎ話のようにあやふやなそれは、ただの話の種に過ぎないと誰もが思っていた。

だが、常に未知なる知識を求めるジーヴァにとってはおとぎ話も真実の一端のように聞こえる。
だからこそ彼はこうして店を訪れ、ドアを静かに開けて飲み込まれるように入っていった。

「……ふぁ?」

気づけば、目の前にはソファに佇む一人の女性。
店内に入ったはずが、民家に入ってしまったのだろうか?
そう思って彼が振り向けば、商品らしき道具が並んだ棚が見える。
わずかに残る記憶も朧気となれば、さては魔術的な罠にかかったのかと、
彼は錫杖を片手に握って彼は女性を睨みつける。

「随分と強引な客寄せだな、あんたが店主かい?」

ご案内:「 看板の無い店」からイライザさんが去りました。
ご案内:「 看板の無い店」からジーヴァさんが去りました。
ご案内:「看板の無い店」にイライザさんが現れました。
イライザ > その魔女は、店の奥の広々とした来客スペースに独り、居た。
毛足の長い絨毯が敷かれ、中央には足の低い厚ガラスのテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで、クッションが柔らかい上等の横長ソファーが一つずつ。
魔女が座すのはその内の一つ。適度な弾力の背凭れに体重を預け、悠然と足を組み。
対面には誰も居らず、煙草は吸わぬが長い煙管を指先でやんわり弄んでいる……。

店の出入り口には魔女の魔術が施されており、無意識の内に波長が合ってしまった者は、
ふらふらと入口を潜り、商品陳列エリアを通り抜け、奥の来客スペースへと入室するだろう。
一種の洗脳の効果が店自体にかけられているのだ。そして、魔女の獲物となる……。
魔術の抑制が効かない危険な者が入って来る事も有るが、滅多に有る事象ではないし、
とタカを括っている。永い時を生きた人ではない種族特有の増長と言えるだろうか。

店の洗脳効果を察知し、洗脳されずに踏み込んで来る輩も、稀に居るのだから──
洗脳効果を受けた者は、魔女の傍まで来た時点で効果から解放されて我に返るだろう。

ご案内:「看板の無い店」にヒュームさんが現れました。
ご案内:「看板の無い店」からイライザさんが去りました。
ヒューム > 奴隷商を逃げ出してどれほど時間がたったか。
記憶はあやふやではあるが、なんとか糊口をしのいでいた少年は夜の街を歩いていた。

そして、店の出入り口に施された魔術により、思考が靄に包まれたようにふわふわとし始めたが魔法が切られたのか、急に意識がはっきりし夢から覚めるような感覚を覚える

「? はぁ… お腹空いた…かも…。」

そうして再び少年は夜の街へと消えていった。

ご案内:「看板の無い店」からヒュームさんが去りました。