2019/06/29 のログ
ご案内:「平民地区・2階の一室」にサウラさんが現れました。
サウラ > ――まだ眠たがる気怠い躰をどうにかベッドから引き剥がすようにして起き出し、
出窓の窓枠に凭れるように座り、ざわめく人の波で溢れる眼下の通りを眺めていた。

旅人の助けを借りて無事王都への帰還を果たし、その帰路途中、
危うく馬車に轢かれる寸前で通り掛かりの冒険者に助けられて命拾いをしたのだけれど。
その冒険者の女の子と御礼として食事を共にした……、あとの記憶がない。

いや、「そちらの記憶」は薄っすらとは思い出せるのだけれど、彼女と別れたあと、
己がどこをどう歩いて今居るこの部屋へ、この友人の許へと辿りついたのか。
そもそも己は何時寝入って仕舞ったのか、その記憶がちっとも思い出せないのだ。

サウラ > 友人曰く、貴女ここに辿り着くなり私のベッドを占拠して眠っちゃったのよ、と、
苦笑いと共に教えて貰ったのだけれど。本当に今まで眠っていたのかと思うくらい、
強い眠気が未だ全身に残っている。疲労が抜け切っていない所為、だろうか。

仕事に行く時間となった友人は気遣わしそうにしながらも、
好きなだけ部屋を使っていいと言い置き夜の酒場へ向かっていった。
今頃は歌姫として客からの要望に応え、美声を披露している筈だ。

口元に手を宛がって欠伸を噛み殺しながら、通りに視線を流す。

サウラ > 通りから上階の娼婦に向けて一晩を交渉する声。
流しのバイオリン弾きが流行曲を奏でる旋律。
どこかで煮込み料理をしている匂い。
直ぐ隣の開け放たれた窓からは、甘ったるい女の嬌声。
人々の熱気を孕んだ夜気は湿気を帯び、じっとりと肌に纏わりつく。
途切れることのない人の営み、行き交う通りは今宵も賑やかだ。

もう一度しどけなく欠伸を噛み殺し、ゆるりと窓枠から女の姿は消えて――……

ご案内:「平民地区・2階の一室」からサウラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール貧民地区 秘密の店」にユエルさんが現れました。