2019/04/18 のログ
ご案内:「王国北方 無人砦」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ルーシェ=イストレリア > 月明かりのみが照らす無人の砦。
砦の脇に建てられた物見櫓には少女とおぼしき人影が一つ。

「人も魔族も相変わらず馬鹿の一つ覚えの様に砦の奪い合い。あの砦を落とし制圧し続けたとて一体何になると言うのか…。」

少し行けば今日も今日とてタナール砦では意味を成さないシーソーゲームが繰り広げられているだろう。

魔族が落としても加護のある王都周辺まで攻め入ることは難しく。
人が落としても一度魔族領へ攻め入れば生きて帰ることは難しい。
一体お互いに何のために奪い合っているのか。

「いい加減に手段か目的を変えるべきだろう、愚かな人の王も頭の堅い魔族の重鎮共も。」

誰が聞くこともないその愚痴は静かに虚空へと溶けていった。

ルーシェ=イストレリア > 結局のところ。目的のために戦っているのではなく戦うことが目的なのだろう。
自分達と違う。理解できぬ相手を忌み嫌い殺し合う。討ったから討たれ、討たれたからまた討つ。どちらか一方、或いは両者共に滅ぶまでその無意味な争いは続くのか…。

「いい加減種族ではなく個を見ろと言っているのに…。」

その少女は少々稀有であった。
魔族として生まれ落ちその才で地方ではあったが領地を持つまでに至った純潔真祖の吸血鬼。
しかしてその柵を嫌い己の領地、更には純潔真祖という存在すら捨て世を巡ることを選んだはぐれ魔族…。
奇異の目を向けられ、疎まれようとも自らの心の赴くままに生きる。

それがルーシェ=イストレリアという吸血鬼だった。


「しかし退屈だな…。こんな辺鄙な所に居ていう台詞でもないのだが。せめて酒でも買ってくればよかったか。」

櫓を降り砦の内へ歩を進める。長い間無人だったとしても、住み着いた野盗や魔物の置き土産くらい無いものかと足音を響かせながら探索を初めた…。

ご案内:「王国北方 無人砦」に徒綱さんが現れました。
徒綱 > 無人の砦とは言え、在ることにこそ意味がある。そう考える者がいる事もまた世の真理だろう。
諸般の都合で『作業』を大っぴらにするわけにもいかず、作業場として探していた折にここを見つけたのは行幸だった。
人気もなく、ある程度作業をしていても怪しまれない。そんな場所というのは往々にして貴重である。

「さて、お邪魔しますか」

そんな言葉が聞こえたのは砦の奥、調理場と呼ばれた一室。
火を使ったりいろいろするのに都合のいい場所である。水を手に入れやすいというのもいい。作業をするにはうってつけだ。
そんなわけで、調理場の奥にある倉庫とそこをつなげる扉を使い、男はこの場に転移して来た。そういう次第である。
扉そのものが痛んでいて、今度来るときには修理しなくてはと思ったのは内緒の話だ。

ともあれ、調理場のほうからわずかな光と、魔力が漏れ出す。
こればかりは隠せないし、隠すという思考が働いていないので、ある程度腕の立つものならばすぐに察することができるだろう。

ルーシェ=イストレリア > 「この矢鱈頑丈な扉は宝物庫か…。特に興味は無いな。
んむ?この扉は厨房か?当たりだな、運が良ければ食料庫も併設してあるだろう。
つまり酒にありつけるかもしれない…と。」

目当ての物を見つけ出し少しの高揚感を覚えさてどう開けたものかと思案した刹那。

「匂うな。まさかとは思うが本当にワタシ以外にこんなところへ訪れる者が居るとは思えんが…。まぁいい。」

埃の焦げる微かな匂い、僅かながら感じられる魔力の揺らぎ。
浮かれていた気がスッと冷めとるべき行動が二転三転と瞬巡する。
相手に害意が無ければ捨て置いても良いのだが有無を言わさず襲って来る輩も往々として居るだろう。
扉を蹴破ろうかと思い振り上げた足を下ろし【隠匿魔術】と共に掌に焔を生み出す。
魔術を展開した掌を扉に押し当て鍵のみを瞬時に融解させゆっくりと扉を開く。
錆び付いた大きな扉がズズズ…。と音を立て開いていく。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか…。」

徒綱 > トン、と音を立ててその場に転移する。このあたりは自分の魔具を扱えば容易である。
クリアするためにはいろいろな条件が必要なのだが、そこは問題ない。出来ないことをする道理もないわけだし。

「さて、まず何から始めるか……」

調理台の上に鞄を置き、展開する。作業のために持ってきた素材は薬草の類。
これをさまざまに調合し、抽出したりして作り上げる香水の類が今のところ自分の主力商品。
まあ、ついでに各種能力を跳ね上げる効能もあったりするが、もとより香というものは精神状態を安定させて能力を引き上げるためのもの。
その能力が高いことに問題は抱いていない。使用者が自滅するのは避けなくてはならないので調整には気を使うが。

「……っ!?」

隠匿された魔術に気がついたわけではない。気づいたのはここが無人であったがゆえに立った音に対してである。
己以外の立てる音には敏感であったのが功を奏した形だが、扉が開けばさまざまな薬草と作業道具に囲まれた男が出迎えることだろう。
機から見れば薬剤師という風情か。懐に手を入れ、自分の相棒たる魔道具をつかみながら、そちらに目線をやる。

「ずいぶんと、大雑把に妙なことをしたものだな。ここの主か何かかな?」

動く扉を見据えつつ、問いを投げる。
あの扉は修理するのは無理だろうな、と。内心諦めにも似た気配を放ちながら。

ルーシェ=イストレリア > 扉が開けばそれに反応し声が帰ってくる。
どうやら問答無用に襲われるようなことは無いらしい、とは言っても安堵は出来ないが。


「雑把なのか妙なのかはっきりしたらどうだ面倒臭い。
ここは無人の砦だ、もうずいぶんの間な。そんなところに立ち寄る物好きはワタシくらいなもんだと思ったがまさか他に客が居るとはな。」

扉の影から姿を見せたのは狼の耳を揺らしたミレー族…。
に見えなくもない少女。
厨房の奥で此方を警戒する男を気にも留めず我が物顔でそこらの棚を物色し初める少女はひどく無防備に見える…。かもしれない。

「ふむ、これは食器棚か。ハズレだな。」

…と。時折そんな呟きが聞こえるだろう。

徒綱 > 「それは並列し得るだろうに。無人というなら扉を蹴破るなり傍若無人に振舞ったところで罰は当たるまいよ」

だったら自分はどうなんだと言われれば、必要故と答えを返すことができる。
便利なようでいて色々と制約の多い自分の転移魔術は、扉が必要不可欠なのだ。
そこを起点にして様々な場所に移動するという工程を取っているため、転移に必要な起動陣が必要ない代わりに、扉そのものに干渉されると脆いという弱点も有している。
今回は奥まった場所の扉から転移したためまだそっちには手を入れられていないが、この調子だと怪しいものだ。

「施設があるなら、使ったところで罰は当たるまい?
 雨露を凌ぐなり、作業場にするなり。押しかけてきたらそのときに考えるさ。
 それと、食料の類だったら期待するだけ無駄だって言っとくよ。汲んできたから水はあるがね」

なにやら色々とこちらを無視して物色する相手にそう告げる。
もともと朽ち果てた砦だ。食い物を期待するだけ無駄である。使うから水は確保してあるがそれだけだ。

「……まあ、ないわけではないが」

小さな声でポツリと、そう呟く。
自分が作業のために長期間居座るために、持ち込んだ食料が自分の足元に転がっているのだが。そこはまあ言わぬが花というものだろうか。
ともあれ、邪魔をしないならばこちらも作業を開始する。
薬草を煎じ、布袋に詰め、成分を抽出する。
やっていることはポーション作りのそれと大差ない。作っているのは香水だが。

ルーシェ=イストレリア > 「馬鹿者が…。無惨にぶち壊してしまっては不便になるだろうが。掛ける意味の無い鍵こそ潰しはしたが破壊上等の快楽主義者では無いのだワタシは。」

半分建前、半分本音といったところか…。
あくまでちゅうりつの立場の自分が国境近辺で目立つ行動をしていると後々面倒。
と言うのがもう半分の本音なのだがわざわざ言ってやる事も無いだろう。

「十中八九何もないだろう、そんな下らんことは言われるまでもない…。だがな。」

ふん、と鼻を鳴らし吐き捨てた少女がピタリと足を止める。
足元から返ってくる妙な違和感に内心ほくそ笑み。

「こんな予想外は…。往々にして至る所に転がっているのだよ。」

言うが速いか床を踏み砕く。
破片が散らばる床に姿を見せた小さな扉。
それは少女の予想通り小さな床下食料庫だった。

「中々の年代物だな、砦が作られた時期に持ち込まれたものだろうな。」

手に持っているのは並々とワインの揺れる瓶と食器棚から失敬したであろうグラス

「ところで貴様からは少し嫌な匂いがするな。薬師か?」

…と、そんな質問を投げた。

徒綱 > 「扉に意味を見出しているなら鍵にも意味があるだろうに……。無防備をさらす時間に鍵は必要だぞ?」

例えばそのワインを飲むときとか、と。地下倉庫を探し出した少女に向かってそういってやる。
このような何が出てくるかわからない場所で酔っ払えば、よほどの実力がない限り相手に倒されるのは自明の理。
無論、それは寝入るときでも変わらないわけで、だからこそ鍵は必要である、というのが青年の持論である。
もっとも、扉の鍵があったほうが魔術の行使がしやすいというのもまた事実だが。

「それにかんしてはまあ、朽ちていくより誰かの腹に収まるほうがよほど作り手冥利に尽きるだろうな」

偉そうな口をたたいておいて、いまさら自分が相伴に預かる気はない。
代わりに足元からいくつかの食料――パンとチーズ、ハムが挟まったバケットサンド、赤いものが詰まったガラス瓶にクラッカーの類――を取り出し、横手に並べながら答える。
作業の合間に食べるにしてはやや気合を入れているのは、長時間粘るからである。無論、転移魔術の関係で家の厨房に近いというのもあるが。

「薬も作れはするが専門じゃあないな。正しく言ったら道具屋ってところだ。色々と作ってる」

本業は魔道具だが、とは言わぬまま自分の身分をさらりと明かしておく。
抽出には時間がかかるので、待ちながら腹を満たすのはそこまで悪い選択肢ではない。

「須弥山という店を経営している、徒綱という者だ。門戸を正式に構えているわけではないがね」

くつりと笑い、自己紹介をする。
自分が生きる以上の稼ぎをするつもりはないが、求めれば最上の一品を贈る。そういう生き方が己だから、道具屋というのが一番正しいのだ。

ルーシェ=イストレリア > 「常在戦場…。なんて言葉もあるらしいぞ?まぁ、ワタシには無縁だがな。
寝込みを襲った程度でワタシをどうにか出来るような奴ならそもそも鍵だろうが結界だろうが糞の役にも立たん。」

袖で軽くグラスを拭き血のように真っ赤なワインを注ぐ。
それを少し舐め満足そうに笑う。

「悪くないな。残りはくれてやる。ワタシ一人で飲むにはちと量が多い。」

相手がイケる口か等知ったことではないが少しばかり目減りした瓶を机に滑らせ男の側へと送る。
僅かに傾けたグラスから口を伝い流れ落ちていくワインが少女の喉を上下させていった。

「ふむ、道具…。か。こんな人目につかぬところでこそこそと作業しているからには表に出せぬ代物…。と言うのはワタシの偏見か?」

コトリ、と空になったグラスを机に伏せ相手の名乗りを受けた少女はここで初めて男の方に向き直った。

「ルーシェ=イストレリアだ、壁に耳あり…。という言葉もあるしな、正体を晒すような事はせぬが気が向けば覚えておくがいい。」

庫となる光を持つ両目に男が気付いたかはまた別の話になるのだが。

徒綱 > 「少なくとも、寝覚めに有象無象を相手にする煩わしさからは開放されるさ。
 そういうものの価値は、存外高いものだよ」

このあたりは価値観の相違だが、相手の言い分を認めないほど狭量でもない。
鍵や扉を管理する煩わしさか、有象無象を相手取る面倒さか。どちらを重視するかというところなのだろう。

「いいのかい? 貰いっぱなしは性に合わない。代わりと言っては何だが」

言いざま、すっと差し出すのは一枚の紙片。
半ばで切れ込みが入っており、千切ることができるようになっている。
そして、そこに充足されているのは何らかの魔力。呪符の類といえば正解で、これは。

「そこそこ魔術は使えるほうでね。何か困ったことがあれば相談に乗ろう。
 そいつを半分に千切り、扉を潜れば一度だけ、こちらの店に飛ぶことができる」

一度だけ使える、簡易的な店への招待状。
それを相手に差し出しながら低く、笑う。

「ルーシェ、ね。覚えておこう。須弥山の門は何者に対しても平等だ。こちらのルールを守る限り、客として相対するのは俺の性分でね」

楽しげに、くつりと笑いながら相手に答える。
相手が何者であれ構うまいという己の矜持。それは絶対に曲げられないのだと示すように。
敵ならば容赦はしない、だが今はそうではない。それならば何を気にすることがあろうか。

「まあ、普通の相手には見せたところで何が何だか分からないだろうが、模造品を作られるのも面倒でね。
 場所を変えて作業しているのはそれだよ。模倣された粗悪品に悩むぐらいなら、移動の苦労に悩むほうがましというものさ」

徒綱 > 「……おや」

みれば、ワインを残してその姿は霞のように消えていた。
出会いとは異なるものだとは思いつつ、自分も作業の傍らこの一本を味わうこととしよう。
さてはて、彼女に差し出したチケットが使われるか否か。それは分からぬままなのだが。

ご案内:「王国北方 無人砦」から徒綱さんが去りました。
ご案内:「」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ご案内:「」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ご案内:「」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ご案内:「」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋3」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
ルーシェ=イストレリア > 気が付けば少女は砦の上。渡された紙切れを弄んでいた。

「転移?空間跳躍?門の召喚?ちと複雑そうだな。便利そうなら再現してやろうかと思ったが面倒だ。止めておくとしよう。」

【術式浸食】の前段階効果で紙に宿った魔法を覗き見る。
しかして自分には手に負えぬ物のようである。
仕方なしに懐へと仕舞い込みその姿は再び消えた。

「中々に興味深くはあったぞ、徒綱に須弥山か…。覚えておこう。」

木霊する声のみがその場に残っていた。

ご案内:「設定自由部屋3」からルーシェ=イストレリアさんが去りました。
ご案内:「王都の中の花畑」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の中に作られた、広い敷地の自然公園。
その一角は春になると、一面 白や黄色や桃色の明るい色彩の花畑と化す。

「えーと…これは、摘んじゃったほうがいいよね。
…こっちのは…うん、キレイ、そのまんま咲いてて。
…これは、雑草。」

その花畑の中、薬師の籠を下げて花や雑草と向き合うのは、この区画の所有者から依頼され、
花畑の維持を妨げる病気の花や雑草などを剪定することとなった少年薬師。

「ふふっ、病気の花の根っこや花粉だって…使いみちは、あるもんね。
うーっ!おとくー!」

薬の素材としては病んだ花は希少らしく、浮き浮きと採取に勤しむ。

タン・フィール > 「わっ…!」

少し強めの春風に煽られて、ぶわっ…と舞い上がる花びら。
目にかかる長さの前髪やもみあげの黒髪が青空に靡いて、
きゅっと長いまつげの赤い目を瞑る。

一迅の風が通り過ぎた後、はらはらと雪のように、
舞い上げられた花びら達が降りてくる様子は、どこか幻想的で。

「ふぅ…ちょっと、休憩…っ」

少しは、この景色や花の香も楽しもうと、
ぽすんと白・黄色・桃色の花畑の中に横たわり、身を埋めてみる。

タン・フィール > すう…すう…と、その甘い香りと清廉な光景に目を細めて、
最初は軽いリラックスのつもりだったが、寝息を立て始めてしまう。

眠り込んで数刻、子供連れの家族が通りかかった時に半身を起こしたら、
たいそう驚かれたそうな。

ご案内:「王都の中の花畑」からタン・フィールさんが去りました。