2018/06/05 のログ
ご案内:「◆空中庭園『水晶庭』」に紅月/コウゲツさんが現れました。
■紅月/コウゲツ > ーーーそよ、そよ、しゃら…
空中庭園…その響きに何となく心惹かれるヒトって、きっと少なくないと思うんだ。
前々から気になっていた、マグメールから見える小さな結晶の山…晴れの日に空を見上げるとキラキラして綺麗で、いつか近くに行ってみようと思ってたんだ。
穏やかな日差しの中、透明な階段をカツカツとのぼり…繊細なガラス細工にも似た扉の向こう。
様々な花が咲き乱れ蝶が舞い遊び、それを縫うように澄んだ水が流れている…所々に点在するベンチやテーブルは結晶、たぶん水晶か何かで出来てるのかな。
今は、私以外だぁれも居ないみたい。
キラキラ、水と風と光に溢れて…穏やかな、空間。
■紅月/コウゲツ > 今日はお休みの日にしよう。
…そう決めてからの行動は早かった。
普段のピッタリと身体のラインに合わせて作ったアーマーや、着るだけでピシッと背筋がのびるようなキッチリした着物は、今日は要らない。
ふんわりとした白と淡い桜色のワンピースに…同色のリボンで編み上げて固定するローヒールのパンプスと、同じくリボンで固定するレースなどがあしらわれた手甲型の指出しグローブ。
それらを飾るゴールド、ガーネット、アメジストの封具は…端からは服のデザインの一部かアクセサリーにしか見えない様に上手く作り込んであって。
今日は、角も尖り耳も出しっぱなし。
角がガーネットなのを良いことに…それが装飾の一部に見えるように作られた、白い大輪の花のヘッドドレスをつけて。
髪も縛らずさらりと下ろしたまま、宝石質な輝きを悪戯な風に遊ばせて。
ふわふわにレースにリボン…王国に来てから、仕事以外でこんなに女らしい洋装するのは初めてじゃあなかろうか。
自然と気分も上向きになる。
…しかも、だ。
今日をのんびり過ごすと決めた場所がとても美しく、自分の大好きなものを詰め込んだ宝箱のような小さな世界であれば…笑顔もこぼれるというもの。
「…綺麗……」
空を見上げれば、風が花弁を舞い上げて…はらはらと舞い降りてきた。
■紅月/コウゲツ > かつ、かつ…少し歩いてみる。
どこに行きたいとか、何の花が見たいとか、特にそういったものがある訳じゃないけれど…ただただ、人工物ならではの匠の技に見惚れながら。
「ホント、良く出来てる…見事の一言に尽きる」
時折通りがかりに、つぅ…と机の縁を指でなぞる。
伏し目がちに、じっくりと細かな細工を観察しながら。
ご案内:「◆空中庭園『水晶庭』」に紅月/コウゲツさんが現れました。
ご案内:「◆空中庭園『水晶庭』」に紅月/コウゲツさんが現れました。
ご案内:「◆空中庭園『水晶庭』」に紅月/コウゲツさんが現れました。
■紅月/コウゲツ > 「……、…あれっ?」
そのまま何の気なしに歩いていれば、視界に入った元気のない花…
近寄ってしゃがみこんでみる。
ユリ系か、彼岸花系か…そんな感じの、ラッパのような形をしていたろうそれは項垂れてしまっている。
「…ホントはあんまり良くないんだけど。
どうせ誰も見てないし、いいよね?」
その花に、茎に両手でそっと触れて…力を流し込む。
ゆっくり…ゆっくりと上を向き始めるその花は、時を戻すかのように瑞々しく澄んだ色を取り戻してゆき。
ほんのり翡翠を含んだ白く美しい花となった。
「…アマリリス、だったかな?
君は八重咲きなんだねぇ」
見回せば赤やピンク、縁取があったりライン状に色のついたもの…種類は豊富らしい。
「花言葉…なんだっけ、ね?」
のほほんと、穏やかに笑みを浮かべながら…花弁の縁をなぞる。
■紅月/コウゲツ > 「何だろうなぁ…ここまで、出かかってるんだけど」
ねぇ?と花に語りかけてみる。
返事はないけれど、キラキラと日差しを浴びて風にふわりとゆられた。
「…思い出した!
『輝くばかりの美しさ』だ!」
あぁスッキリした、清々しい表情を浮かべつつにクスクスと笑って…
■紅月/コウゲツ > 「…さ、他のとこも見てみよ。
どっち行こうかな…?」
どうせ今日中には廻りきらないだろう。
であれば、数日かけて堪能するのを前提にエリア毎に楽しんでいくか、と。
ひとまず今いるのが入口付近、即ち中央にある水の湧き出す広場であれば、そこから東西南北…と言っても中央広場もじっくり散策した訳ではないし、行く場所には事欠かない。
とりあえず、だ。
大きな庭園内地図の前に立ち、首を傾げる。
■紅月/コウゲツ > 「…よし、今日は南!」
マグメールでもそうなのかは知らないが、故郷では四方に四季を当てはめる事ができ…夏は南だった。
どうせノープランなら、ちょっと賭けてみよう。
…今は6月だから、南は南でも南東から。
夜の気配に包まれてゆく庭園。
さらさらと涼やかな清流に沿って、のんびりと行こうか。
■紅月/コウゲツ > どうやら運良く、予想が当たっていたらしい。
まぁ、近隣国にシェンヤン…仙術の類いを扱う国がある訳だし、神獣や四方の考え方が王国に伝わっていても不思議ではないか。
「ふふっ、やっぱり今の時期といえば紫陽花…この国ならハイドランジアの方が通じるのかな。
『辛抱強さ』を除けば、花言葉にイマイチなのばかりなのよね…こんなに綺麗なのに」
なんにせよ、わかりやすいのは有り難い。
自分で、こう、思うのは情けないが…己は少々方向音痴な気があるから。
うっかり庭園から出れない、なんて冗談みたいな事は避けられそうだ。
「あっ、白紫陽花。
色素を持たないから『移り気』にはならないのよね。
確か…白にだけ『寛容』って意味があるんだっけ?」
薄闇の中に輝くように咲く花の中、仄甘い香りに微笑みながら、かつ、かつ、と…ゆっくり歩いてゆこうか。
■紅月/コウゲツ > しばし歩けば、今度は誘うような甘美な香り。
凄く覚えのある、懐かしい…実家で天ぷらにしてたやつ。
「あっ、居た居た夜の女王」
嬉々として近付いたそれは、月下美人の花…と、その下にベンチ。
純白が美しいそれは、実に艶やかで。
「『艶やかな美人』の『儚い美』だなんて…本当に、よく言ったものよなぁ。
妬けちゃうくらい、見惚れる」
クスクスと笑むと水晶のベンチに腰掛け、肘掛けと背凭れに寄り掛かり…月下美人に手をのばすと、うっとりと眺め。
肺一杯に香りを吸い込むと、ふぅ…と吐息をこぼして。
■紅月/コウゲツ > しばしの間、のんびり花と戯れたならば…
「んんっ…んぅ……
さ、そろそろ帰ろうかなぁー…」
次は飯屋か酒場か、はたまた…
まぁ間違いなく素直に帰る訳もない紅鬼は、次の遊び場に思考を巡らせて。
「よ、っと!」と、ベンチから立ち上がるのだろう。
ご案内:「◆空中庭園『水晶庭』」から紅月/コウゲツさんが去りました。