2018/02/03 のログ
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 朝。冬空が清々しい。
マグメール郊外にある木立の中で剣を振るう音が細く響いている。
ひゅっ、ひゅ!
不規則ながらもどこかリズムのある音を立てているのは曲刀。その曲刀を握っているのは薄着の遊牧民だ。
いつも欠かさない練習風景である。
「……っ!……んっ……!」
目の前に居る見えない仮想敵を相手に、大立ち回りを演じている。ひとふりごとに、鋭く呼気を吐いてはすぐに肺を膨らませて息を整え。曲刀を左手持ちに変えて右の拳を放っては、片足を引いて左腕で大きく切り上げ。見えない魔物の腕を刎ねた。掲げた剣を両手に持ち替え、踏み込んで留めを刺す。
そんな激しい動きを続けるものだから、真冬の朝に関わらず銀髪が額に張り付き。軽く散らす汗を輝かせている。
やや上気した顔で、剣の一人稽古を黙々と続け。
ご案内:「王都郊外」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 王都の冬。寒い寒いと文句を言いながら、一人の男が散歩をしていた。
街並みも夏とはずいぶん様変わりしたな、などと呟きつつ。その季節の変化を楽しんでいる。
そうして散歩していれば……。
「……?」
何かが空を切る音。気になった男は、そちらへと向かう。
リズミカルな音の正体へとゆっくり近づけば。
「……ほぅ。ありゃあなかなか……。
って、あれ?」
そこにいたのは一人の少女。軽やかに、しかし鋭く、裂帛の気合を感じる素振り。
遠めに見ても、しっかりと敵を想定し、訓練しているのがわかるほどだが。
男はその少女へとゆっくり近づき。
「やっぱりか。よぉタピオカ。久しぶ……」
少女が知り合いだと判れば、男は声をかけるが。そこで男が動きを止める。
……そういえば。以前出会ったときは呪われていた時。
身体が女のときではなかったか? と思い出しつつ。
■タピオカ > 部族の教えでは、三体を同時に相手できてようやく一人前。三体分の無駄な動きの隙間を縫って最小限の動きで攻撃をかわし、受け流し。いつ攻撃に転じるか。避けるのか、受けるのか。頭を働かせ、相手の武器や立ち位置をイメージし続けた上での演舞を続ける。
そんな仮想の敵を何体か地面に転がすころ、身なりも姿勢も良い男性がこちらへ声をかけてきて。振り下ろした曲刀の手をとめる。同時に、想像上の敵も全て消えた。
「えっ……と。
お兄さん……は……。
――、……セイン?」
親しげな声かけ。一度は出会って、しかも親睦を深めていないとそうしないであろう、自然な振る舞いにぱちぱちと睫毛を弾ませた。呼気もはずんだままで、甘酸っぱい汗の香りを漂わせたままで肩で息をしばらくしたまま相手の瞳をじっと見つめ。
以前出会って重なり会った時覗いた、その瞳の煌めきに思い当たる名前はひとつ。しかし、まったく外見も性別も違っているから、自信なさげに半ば疑問形。
■セイン=ディバン > 目の前で少女の繰り広げる独闘は、男が見ても息を飲み、見惚れるほどのものだった。
遮二無二、我武者羅なそれではない。明確な目標の設定が行われているのは、動きだけではっきりと判った。
「え~っと、その。オレは怪しい者じゃなくてだな……。
……って、マジか。そう、そうだよ。セインだ。
よくわかったなぁオイ」
このままではナンパでもしに来た怪しい男だと思われかねん。
そう思って必死に言葉を取り繕おうとする男だったが。
相手が自身の正体に気づけば、表情を明るくして相手に近づいていく。
「カジノで出会って以来だな? 久しぶり。
……見てたぜ。なかなかどうして。実力の高さが窺えるいい訓練風景だった」
正体を補足するように。出会った時のことを語りつつ。
相手の肩をぽんぽん、と叩く。先輩冒険者としての意見だが。
こと近接戦闘に置いては、自分以上の腕前かもしれないな、と。
以前までの相手へのイメージを拭い去り。一人の戦士として評価する。
鼻に触れる汗の香りは、可愛らしい見た目のせいか。不快感など一切無かった。
■タピオカ > 「……やっぱり!
姿は全然違うけど、セインだもん!
それじゃあ、あの呪い解けたんだね!おめでと、セイン!」
言葉を繕おうと口元をもぞつかせる様子が、ベッドの上で動く艶めかしい唇の動きと似ているから。同じセインだと知るなり、ぱああっと笑顔を咲かせて。曲刀を腰の鞘に戻せばこちらからも小走りに近寄っていく。
彼女が彼に戻ったということは、自分のキスでも解けなかった件の呪いがどうにか解除できた証拠だろう。お祝いを述べて、彼が彼女だった頃そうしたように、女の子同士のように軽く両手を握り。
相手が男性だという事実に遅れて思い当たれば、恥ずかしそうに俯いて笑い、その手をゆっくり離す。
「久しぶりだね。会えて嬉しい!
あは、ありがと。いつかセインと冒険できるように修行してるんだー。
……セインは、朝の空気でも吸いにきたの?」
彼も冒険者だと聞いていた。その何気ない身動きや歩き方にいくつもの戦いをくぐり抜けた確かな腕を感じ。いつか一緒に旅を出る時には足手まといにならないとばかり目を細め。近場の低木にかけてあったタオルを手にしつつ、相手を見上げて小首を傾げる。
■セイン=ディバン > 「やっぱり、って。そんなに判りやすいか?
あぁいや。まぁ、信用してもらえたならいいか。
おかげさまで。なんとか、な」
見た目はかなり違うのだが。判る人間には判るのだろうか。
男はそう考えつつも、相手の祝福に頭を掻きつつ、ありがとうな、と呟く。
そうしていれば、近寄られ、手を握られ。相手同様、男も照れたように俯きつつ、そわそわと落ち着かぬ様子。
「あ、あぁ。オレも会えて嬉しいぜ。俺らの稼業じゃ、先日の別れが今生の別れ、ってのも珍しくねえしな。
はは、そっかそっか。そりゃあ楽しみだな。
うん? まぁ、そんなところだ。散歩しながら、何か面白いことはないかな、ってな」
真っ直ぐな相手の視線に、男は困ったように目を反らす。
最近ではそうでもないが、駆け出しの頃は同業者を見下し、一人で行動ばかりしていたから。こういう素直な好意やらには弱い。
相手がタオルを手にする様子を見れば、男は小声で詠唱をして、空中から二つのポットを取り出す。
中身は、暖かい紅茶と、冷たいコーヒーである。
「しかしまぁ。世辞じゃなく、本当にイイ腕だと思うぜ。
訓練だけでもしっかりと判った。……喉渇いてないか?」
汗をかいている相手にそう告げ、今度は空中からカップを取り出す男。
そうして飲み物を差し出しながら。相手の肌を見れば。
上気し、色付いた相手の様子に。男は僅かながら情欲の焔を燃やしてしまう。
■タピオカ > なんとなく、その人。
うまくは説明できない彼そのものを感じつつ。後ろ頭に触れる相手をにこにこ見上げている。落ち着きのない様子に、逆にこちらのほうが気恥ずかしくて。”初対面”なのに変だったかなとちらりと相手のほうを見上げる。
「ふふっ。そうだね。そういう自然の生命と近い家業だもんね。お互い運と縁がないとこうして会えないもの。
一緒に冒険に出る時は背中は任せてよ!さっき見せた剣でしっかり守るからね。
――そうなんだ?ここなら空気も良いから、そういうお散歩にはちょうどいいかも」
困ったよに目を反らすのも気にせず、袖なしのシャツから露出させた二の腕をくいっと折り曲げて。力こぶを浮かべる仕草をして笑いかける。タオルで首筋の汗をぬぐっていると、魔法の詠唱。「わぁ……!」小さな感嘆と尊敬の眼差しを相手に向け。
「そんな魔法使えるんだ……!すごいや。
ありがと、じゃあ紅茶、いただきまーす!」
自分は全く魔法と体質が折り合わないため、彼の使う魔術にきらきらとした眼差し。鍛錬で失った水分を気遣ってくれる彼の優しさも嬉しく。声音を弾ませて両手でカップを持ち、美味しそうに喉を鳴らした。タオルでぬぐいそこねた雌の汗が、しっとりと潤んだ褐色の肌を滑り落ちて鎖骨を伝い、胸元へと落ちていった。開いた襟元から浅い乳房を覗かせながら、カップを干して。
■セイン=ディバン > 初対面ではないけど、初対面みたいな部分もあって。どうにも距離の計り方が判らない男。
見上げられれば、その視線にどぎまぎとしてしまうのは、体格差を感じるからだけではない。
「あぁ、そうだな。で、その運を引き寄せる為に実力を鍛えるのが肝要、っと。
頼もしいな。ならまぁ、俺も。後方支援と宝物鑑定はお任せあれ、だ。
確かにな。身を斬るようなこの寒さ。頭が冴える思いだぜ」
最後の最後。生き残るには運も必要だ。だが、運任せでは生き残れない。故に……冒険者という生き物は、腕を鍛えるのである。
ちら、と見えた腕。細くはあるが、しなやかで、力強さも感じさせる。
男は相手同様笑いながら、飲み物を差し出す。
「ん。必殺技の為に習得した、【物体転送】だな。
登録しておいた物なら呼び出したり、自宅倉庫に送ったりできるんさ。ただし、サイズに限りはあるが。
うん。召し上がれ、だ。俺もコーヒーを飲もうかぶおぉぉおっ!?」
ふふーん、と。自慢げに鼻を鳴らす男。そのまま相手同様、コーヒーでも飲むか、とカップを口へ運ぶが。
流れた汗を視線が追えば。胸元へ、そして。ちらと見えたバストに、男は盛大にコーヒーを噴く。
「がほ、げぇっほっ! た、タピオカ?
ちょ、ちょ~っと大胆が過ぎるというか。もう少し……。
そう。もう少し、警戒心を持ちなさい。先輩冒険者からのアドバイスです。
じゃないと。そう。男はウルフなので、そう大胆だとガブッと食べられちまいますよ」
げっほげっほと咽ながら言う男。そう言いつつ、視線はしっかり胸を凝視しているのだから。男という生き物は阿呆である。
当然、股間も膨らみ始めてしまっている。
■タピオカ > 立ち位置に迷いつつも、久しぶりに会う偶然に感謝でいっぱい。微笑む瞳で相手を見て。
「それじゃ僕は前に立って先陣切るね!
楽しみになってきちゃったなー。次の依頼こないかなー。
セインって探索するのと戦うのなら、どっちがすき?」
心強い支援を得たり!とばかりに明るくなる声音。曲げた腕を軽く揺さぶったり動かしたりしながら、もううきうきしてる。そううまくギルドから依頼が来るとは限らないけれど。軽く相手の好むよな冒険を聞いてみて。
「へえー!便利だね。
それなら、荷物も減らせるし。食料の保存とかも気を使わなくて済むね。
――ふぅ……、ふふっ。おいしい……。
あはは、大丈夫?」
彼の習得したというスキルに興味深そうな様子で頷いた。
冒険者たるもの、少しは魔法に通じたほうがよりよい旅になりそうだと魔術師ギルドの扉でもノックしてみようかと考えながら受け取る紅茶。ほどよいぬくもりが、朝練を終えた身体に心地よくて目尻を細くする。コーヒーを盛大に散らした相手に軽く笑いながら、片手で彼の背中を柔く叩こうとして。なおさら緩んだ襟元が彼の視界に入り。
「えっ……?大胆、警戒心?
僕、何かした……?
――あ、わぁ……っ!?」
むせながら言われた台詞に小首かたむけながら戸惑うが、赤い瞳の視線の先が自分の首筋を辿った先へ向けられている事に気づけば、カップから紅茶を零しそうになりつつも片手を相手の背からひっこめ。慌てて覆う襟元。
「ご、ごめん……。そういうつもりじゃなかったんだ……。
でも……セイン?
セインのそこだって……、もう、こんなに……」
小さく縮こまってはしたないところを謝るけれど。
相手の股間が膨らむ様子に上気させた頬をさらに赤くする。
少しおどろいたように目を丸めつつ、はぅ、と熱を帯びた声を漏らす。
「ねえ、セイン……。お兄さんになったセインとも……、
してみたいな。……だめ……かな?」
そのまま、悪戯っぽい顔つきになって。そんなお強請り囁きながら、上目遣いで彼に笑いかけた。
■セイン=ディバン > 若干の気恥ずかしさや、ぎくしゃくした感じはあれど。
同業で親しい人間が生きているのはこれ以上無い喜びでもある。
「なおさら頼りになるなぁ。あぁ、とはいえ。危ない真似はしないでくれよ?
タピオカが怪我したりすると悲しいからね。
うん? そうさな。……どちらかといえば、探索だな。
戦うのはキライって訳ではないが。俺ぁ戦闘能力で言うとヘボヘボなんでな」
明るく言う相手に、男は苦笑しつつそう説明する。
実際、こと防衛線、持久戦は得意だが。敵を追い、攻め落とす戦いは男には不向きである。
なにせ、決定力に欠けているのだから。
「便利だが、魔力消費は少なくて済む。いい魔法だぜ。
その通り。必要最小限に荷物で探索でき、見つけたお宝は即座に家に送れる。非常に便利なのだ」
更にふふ~ん、と胸を張り言う男。シーフ・レンジャー職でも、時に魔術を体得する必要はある、というように言っているようでもあった。
相手が紅茶を美味しいといえば嬉しく思うが。次の瞬間、目にした映像に大噴射することになり。
「げほおっ!? だ、だから……。
その、そ、そういう所です」
更に胸元が大胆に見えてしまい、トドメの咳き込み。相手がようやっと胸元を隠してくれれば。
男は咳払いしつつ、背を伸ばし。
「い、いや。わかってくれればいい。
タピオカ……キミはもう少し、美少女だという自覚をだな……。
うん? そこって……わああああああっ!?」
大人として、若き冒険者をたしなめる男であったが。
股間のふくらみを指摘されれば、まるで生娘のような悲鳴上げ、股間を隠す男。
相手同様、急速赤面。しかして相手の様子認め、その言葉を聞けば。
「う゛っ……そ、そんなおねだりされると……。
断りきれない意志薄弱エッチ大好きなオレ……。
そ、そりゃあ。ダメなんかじゃないが……」
上目遣いで見られ、実に小悪魔な言葉を囁かれれば、さらに股間は硬くなる。
どうしたものか、と立ち尽くしながら、言葉を捜して辺りを見渡す。
断るべきなのでは、という思いと、相手の身体を味わいたい、という二つの思いがぶつかり合って男の脳内絶賛悪魔と天使大戦争中、である。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 「そっか、じゃあまた今度そういう依頼があったらセインにも伝えるね!」
自分は脳筋で何も考えずに前衛で戦うのが好きだから。自分に無いものを補う彼と一緒なら楽しく探索が出来そうだ。
そう言って微笑みかけて。
魔法について解説に、すっかり感心顔で聞いている。
頷きつつも、帰路で手に入れたオタカラを奪われる心配が無いというのは大きい。帰りはコワイという言葉の通り、幾分無理をして消耗している場合もあるだろうから。付け狙われずに帰れる魔法にすごい!とばかり軽く指先触れ合わせる拍手を送り。
「え、え……。うぅぅ……。美少女なんて、初めて人に言われたよ……。
――うん……そこが、すっごく我慢しちゃってる……。
辛いでしょう……?だから……、その……、僕と……」
今までそう評された事がない単語に、見る間に紅潮していく頬。
笑ったら良いのか照れたらいいのかと動揺した表情で赤くなってうつむき。彼が股間を隠すのだけれど、そこにあった昂ぶりは確かに見てしまって。自分も気の高ぶりを覚えてしまったように、少し腰をおろおろと左右にゆする。
「もしかして、またかたくしちゃったかな……?
セインの苦しいとこ、ちゃんと鎮めてあげたいな……」
彼があたりを見回せば、風が遮られて陽だまりになっている寝心地の良さそうな雑草の下生えがそばにある。どちらとも態度を決め兼ねている相手へ向けて、物欲しそうな瞳で見つめるけれど。
楽しく行為をするためにはお互いの同意が必要だから。
もし相手が気乗りじゃないとしたら、それを尊重するしお互いの関係は変わらないと考えている。交わりたい気持ちはあるけど、
彼は大切な人だから、無理強いはしたくない。
その上で、彼がどう答えるか決まるまでじっと待ち。
■セイン=ディバン > 「おう。タピオカからの協力要請なら、いくらでも手助けするぜ」
別段、同業者を助けるという考えなどない男だが。
親しい人間なら当然別、である。この少女には、呪われていた時に応援してもらった恩もある。
魔法の披露に拍手返してくれる相手。思わず鼻が伸びそうになるが。そこは年長者として、咳払いしつつ、自信過剰にならないようにする男であった。
「……そうなのか? じゃあ、自覚がなくても仕方ないが。
タピオカ。キミは美少女なんだから。振る舞いには気をつけないと……。
……いや、その。あぁ我慢はしちゃってるわけだが。
いやしかしだなぁ……」
相手のうろたえるような様子に、男は再度、しっかりと念を押す。
美少女には美少女と言うべし、というのは男の主義の一つだ。
そうして、股間を隠すものの、相手に指摘され。更に相手が腰をゆすり始めれば、男は天を仰ぐ。
したくないわけがないのであるが。いかんせん、場の雰囲気でこの少女を流しすぎてはいないか? と自問自答するが。
「……~~~~っっ!
そ、そういう……そういう物言いだぞ、タピオカ!?
そういうことばっか言ってると、その。いつか本当に痛い目を見るというかだなぁ!」
大胆な相手の言葉。瞬間、脳内天使が脳内悪魔に袈裟斬りに切り捨てられ消滅した。
口では相手をたしなめつつも、相手の視線に突き動かされ。
おずおず、と手を差し出す。
「その、なんだ。……オレだって、男に戻った身体で、キミを抱きたい。
キミは、その。美少女で魅力的だ。凄く」
観念したのか。手を差し出しつつ、男は素直にそう口にした。
魅力的だ。手を出したい、と。男にしては珍しい、直球な言葉だった。