2018/01/15 のログ
ご案内:「王国軍第十三師団拠点」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > お約束の待機中です。
ご案内:「王国軍第十三師団拠点」にマリアージュさんが現れました。
ヴェルム > 昼下がりの十三師団の拠点は、そこそこに活気づいていた。
団員たちは戦闘訓練を行うだけでなく、武器や防具の手入れ、さらには生活面においても、ほとんどを自分達で行わなくてはならないほどに人手が足りていない。
だからといって眠る暇もないほど忙しいというわけでもなく、上手く人を配置し彼らの持っているスキルを生かすことで余裕のある環境を作り上げている。

「…まだかなぁ…」

そんな拠点の広場を歩きながら、ヴェルムは太陽の位置から今のおおよその時間を確認する。
王国軍本体から、新人騎士が訪問に来ることになっているのだが、約束の時間をちょっと過ぎているような気がする。
そもそもこのはぐれ者の集まりである十三師団へ新人研修させに送り込むこと事態が異例。
よっぽどの問題児ということなのだろうか、新人が見学に来るという話だけで、どういった人物かなど具体的な話は一切無かった。
相変わらずの扱われ方ではあるのだが。

マリアージュ >  
少し約束から遅れて、からからから、と。
二頭立ての小さいですけれど、華美ではないですが瀟洒な作りの貴族らしい馬車。
それが門の前に止まりますと、御者に手を取られて降りる、
小さなバスケットを両手で持っている姿で。

「送って頂いてありがとうございます」

頭を丁寧に少し下げますと、十三師団の拠点に入ろうとします。
とてとてと軽い足音が聞こえそうな足どりで、門兵の横をさも当然のように通り、
すうっと、何かに引き付けられますように顔を横に向けますと、
そちらに曲がってしまいます。
すぐにしゃがみますと・・・大きな犬。
笑顔で視線を合わせますと、手を伸ばして、頭や首元を平然と優しく撫でます。

「わんわんさん、お仕事ですか?」

笑顔で犬に尋ねれば――大きな犬が、駄犬に成り下がる姿が見えるかもしれません。
寝そべり、腹を見せる犬をわしゃわしゃわしゃぁ、と楽しそうに暫くなでましてから・・・。
――はっ、と顔をあげて入り口の方を見ますと視線が合いますでしょうか。
みるみる、その顔が桜色にうっすらそまっていくのです。

ヴェルム > 「……ウチの犬がやられてる…」

ふと拠点の入口、門のほうへと目をやれば、明らかな貴族のものとわかる瀟洒な馬車。
そこから御者に導かれ降りてくるのは、騎士の格好を…しているらしい女の子。
いや、騎士の姿は男のものなのだが、どう見ても女性。
それも騎士と言うにはずいぶんうら若い姿。
なにより、拠点の門を任せている衛兵に混じり訓練を施した、それなりにであれ優秀な番犬が腹を向けて降伏しているではないか。

「…えーと、例の新人さん?」

とりあえず、彼女?のほうへと歩み寄って伺うように尋ねてみる。
タイミング的には話にあった騎士だのだろうが、もしもやんごとなき人であったら失礼にあたるかもしれない。

マリアージュ >  
慌てて立ち上がりますと、騎士クラスの男性制服の上の皺を伸ばしまして。
スカートを整えましてから。
すうっと、軽く胸に手を当てまして深呼吸。
くるっと1/4回転しまして、スカートの裾をふわりと一瞬広げましてから。
スカートを軽くつまみ上げまして。
丁寧に会釈を致します。

「――ケイン・コンラートですわ。
 ふつつかなものですけれど、本日はよろしくお願いいたしますの」

挨拶をしますけれどすぐに顔をあげずに視線を合わせようとしないのです。
顔はうっすら桜色のままでして。
暫くすると、顔を少し伏せ気味にしまして、上目にヴェルム様を見ますと。

「あの・・・わんわn・・・犬が可愛くて・・・」

小さく恥ずかし気な声を出すのです。

ヴェルム > 「…ケイン…いやでも…。
ああ、まぁ…いいか、僕…いや私はヴェルム・アーキネクト。
この13師団の団長を務めている、この師団についていろいろ話は聞いているだろうが、ぜひ自分の目で見て感じ、得るものがあれば嬉しい」

彼女の名乗った名前は男のもの。
だがどう考えても、というか立ち振る舞いが思いっきり淑女のそれ。
たまらずツッコミを入れたくなるが、まぁいいかと苦笑い。
改めて表情を引き締めても対して変わらないが、自己紹介と共にちょっとした訓示も述べてみる。
彼女が十三師団に対しどういうイメージを持っているかはわからないが…。

「……犬を愛でたいのなら、自由時間にね…」

いちおう、今は職務の時間。
なんだかこちらまでふわふわした気分になりそうだが、とりあえずきちんと見学をさせなければならない。
それにしてもあまり視線を合わせないというか、頬をほんのり染めている。
人見知りなんだろうかとか、呑気な事を考えてしまう。

マリアージュ >  
「ヴェルム様が団長様ですの?。
 ――色々とですか?。えと・・・」

口元に軽く手を当てながら、少しきょろきょろとしますと。
尻尾を振る犬を見て、にっこり。

「可愛いわんわんさんがおられますのは覚えましたわ♪」

楽し気な、鈴音のような軽やかな声で。
一回膝を揃えてしゃがみなおしまして、地面に置いたバスケットを手に取りますと。
それを両手で持ってヴェルム様に差し出します。

「これ、お土産ですわ。皆さんでお召し上がりくださいませ♪」

にこっと、無邪気な笑顔で首を少しだけ傾げさせ、銀糸の様な長い髪が軽やかに揺れます。
がんばってメレンゲ作り混ぜて焼いたクッキー。
甘さ控えめにして、口の中に溶けていくような軽い食感です。
焼きたてのクッキーの甘い薫りに交じる、マリアージュの体の花のような甘い香り。

「――!。あ、遊んでなんてしませんわっ。
 わんわんさんやにゃんにゃんさんとお友達になるのは大事なことですから」

ちょっとえっへん、とほんのり膨らんだ胸を反らす姿なのです。
でも、きちんと、騎士のお仕事「も」見学しないといけないのです。

ヴェルム > 「えー」

見学先の責任者の名前すら知らない。
そんな彼女の仕草に肩の力が抜けて、気の抜けた声。
犬好き、というよりは動物好き…さらに言えば動物に愛され易いのか。
すっかり愛玩動物化して尻尾をフリフリする番犬を見て、ため息が零れた。

「こ、これはご丁寧に…どうも…」

バスケットを差し出されれば、とても美味しそうなクッキー。
その香ばしくもほんのり甘いこの香りだけでも美味であることが容易に想像できる。
このような手間隙かけたお土産を頂くことはまず無いので、嬉しいのは本当だが、やっぱり面食らう。
それはさておきこのクッキー、女子力高いわ。

「ああー、えーと!じゃあ一通り見て回ろうかっ」

何故か胸を張って、動物と触れ合うことを遊びではないと言い切る彼女。
ああ確かに、本隊が匙を投げたのもわかる自由っぷり。
それだけじゃない気もするけれど…。
とにかく彼女がしっかりと騎士としてのイロハを覚えていってくれないと、師団の評価に関わったりするかも。
これでは話が進まないと判断したヴェルムは、流れを変えて拠点を案内すると強行。
彼女を引きつれてまずは、団員たちが戦闘訓練をしている広場に向かう。

マリアージュ >  
「?」と、何かおかしかったのかしら?、と。
笑顔の中にきょとんとした雰囲気になるのですが。
脚に体をこすりつける犬の頭を、無意識にやさしく撫でるのです。
その立ち居振る舞いや雰囲気は、ある意味、隙がありません。
隙が無いところが見当たらない、という隙のなさなのですが。

「オトナでも大丈夫なように、甘さを控えめにしてありますから。
 紅茶は、甘めにミルクたっぷりなのが合うと思いますの」

うんうん、と小さく頭を上下させるのです。

「あっ、はいっ!。よろしくお願いいたします♪」

ぱあっと春の日差しのような笑顔になりまして、ハミングでも口ずさみそうな軽い足取りで。
ヴェルム団長様の後ろを・・・のんびりよりもおっとりした小さな足取りでは間が開きまして。
慌てて小走りで追いかけようとすると・・・。

「――きゃっ!?」

何もないはずのところで、前に転びかけ。
ヴェルム様の後ろにそのまま一瞬、しがみつくのです。