2017/12/12 のログ
ご案内:「ユエル魔法商店」にユエルさんが現れました。
■ユエル > (そこは貧民街の外れ。ひっそりと人目を避けるように建つ小さな魔法商店。可愛らしい手書きの文字でOPEN、という看板がかけられた店内に一人の少女がカウンターにて店番をしていた。目にかかる程の長い髪、白い肌、そして、ゆったりとした服でも隠しきれない女性的な身体つきが特徴的な少女だ。少女の名はユエル―ー。名が示す通り、この店の主人である。店主、とはいってもさして店の事を一生懸命に営業していたり、広告をしていたりする訳ではなく、とりあえず生計が立てられれば良い・・・程度の認識である上に個人経営であるので、さしてやることはそう多くはないのだが。日々、研究や依頼を受けてその依頼をこなし、暇な時は在庫のある材料を使って適当に薬や魔法具を作る。そして、それを店に並べる・・・。少女がすることといえば、それくらいである。幸い、評判はいいらしく、定期的にお客さんは来てくれるので生活に困ったこともない。店主、といえど金儲けに躍起になる理由も無いために少女はそんなのんびりとした生活をしていた。
本日もそんなのんびりとした一日のひとつ。今はお客さんも来ておらず、店も静かである。店に響くのはぱらり、ぱらりと受付に座りながら特にすることもないので本をめくる音と、少女の小さな吐息くらいか。
本日もユエル魔法商店は通常営業也。)
ご案内:「ユエル魔法商店」にルイーナさんが現れました。
■ルイーナ > (やや埃っぽいようにも感じられる貧民街の道。そのやや煤けた道には似合わぬ小奇麗な浅葱色のローブを纏った男が一人、歩く。ローブのフードを深くかぶった奥からは蒼い色の瞳が覗き、一見穏やかな笑みが浮かんでいる。だが、その笑みはよく見ればやや作り物めいたものでもある。さらに魔力の素養がある者が見れば、違和感を感じるかもしれない。得体の知れない何かが蠢くような、そんな感覚を覚える者もいるだろう。そしてそれは間違っていないのだ──だが、男は特に周りの視線など気にした様子もなく、街外れの小さな店の前に立つ。視線を上げ、看板を見上げると、どこか何かを測るようにその瞳を細める。そうして、唇の端を上げるようにしてにぃと笑う…)
「ほう、これまた随分と芳醇な……さて、愉しめそうでしょうかね…?」
(そう呟いたのは店の前。だが次の瞬間にはその笑みは消え、フードを取った男の顔に浮かぶのは人好きするような柔らかな笑み。初対面の相手を緊張などさせることのないはずのその笑みと共に、妖しげな蠢く雰囲気は男の奥まで引っ込んでいき、扉を押し開く男の手。さて、この店の店主にとって、この男の訪れが災いとなるかそれともどうなるか…)
「…こんにちは。噂を聞いてお邪魔させていただきましたよ、店主。随分と色々な薬を作られているとか……一つ拝見させていただけませんかな?」
(人好きする笑みはそのままに、軽く首を傾げた男が彼女──ユエルに細めた蒼い視線を向けて尋ねたか)
■ユエル > (はらり、はらり、という紙をめくる音。そして、時折 ほぅ と漏れる少女の吐息。この小さな魔法商店を満たす音はそれが全てであった。少女の他には誰もおらず。音もせず。
けれど、その静寂を打ち破る者がいた。その怪しげな笑みを隠し、人好きな笑みで偽装し、扉を開く・・・お客さんだ。流石にいつまでも本に目を落としている訳にもいかず、来訪を告げる入り口の鈴の音がリン、リン、と鳴った後少女はゆっくりと顔をあげて)
あ・・・いら、っしゃい。
(顔を上げた少女から放たれたのは鈴のような声。けれど、本人の声量はあまり大きくなく、彼に届く頃には風に溶けるように声は消えていったかもしれない。
そして、彼が訪れた頃、こちらに視線を向けるのならば、本をあげて口元を隠すようにしながらそちらに視線を向けるだろう。品揃えはよく、質も良く、更に安価。けれど、店主はあまりコミニケーションが得意ではないのが玉に瑕。この店の評価としてよく聞くのはそんな評判であっただろう。)
どうぞ、自由に・・・見ていって。
(そして、彼が品を見たいというのなら、手で指し示し好きに見ていっていいよ、と案内するだろう。けれど、少女が直接案内することはなく・・・彼が尋ねれば応えはするだろうが、椅子に座ったままその様子を見ているだろう。 ―ーギィ、と少女の座る椅子が軋む音を立てながら。)
■ルイーナ > 「…ありがとうございます。では遠慮なく……」
(噂通りの彼女の様子に、だが男は気分を害した様子はなく、寧ろ楽しげにその青い瞳を細める。恐らく目の前の少女には機嫌の良い客にしか見えぬであろう。ゆっくりと彼女のいるカウンターに歩み寄り、視線を棚の薬剤に通すと、その瞳をさらに興味深げに細めるか)
「…やはり噂通りですね……どの品も上質です。私も研究でこのような薬剤を使うことは多いですが、敬服せざるを得ない腕ですね…」
(その言葉に偽りはない。曲がりなりにも研究者であるこの男に、実験、研究の類で嘘を吐くということはありえないのだった。瞳を細めた男は、続いて、あくまでも世間話の一環と言った様子で呟くように告げる)
「…今ちょうど、研究課題に上がっているものがありましてね……よろしければ見せていただきたいのですよ……その、媚薬とか、惚れ薬の類があるなら、ですがね…」
(わざと言いにくそうに視線を逸らしつつ尋ねてみせる。やや眉を寄せて如何にも困っていますよ、と言わんばかりである──が、内心で男は笑みを浮かべている。先ほどの店先で見せた、唇の端を釣り上げるような笑みを)
■ユエル > (口数も少なく、声も小さい。人付き合いが苦手なものだから、あまりサービスとかもしてない。けれど、それでも経営が成り立っているのはあくまでその少女の腕が立つからだ。・・・他にさしたる趣味もなく、日がな一日中研究・制作を行っているような少女である。好きこそものの上手なれ・・・好きでこうして魔法商店を経営してる少女であるからこそ、その出来も感嘆の域に到達していたのだろう。 ・・・本人の自己評価は、あまり高くはないが。)
あ、ありがとう・・・。
(彼からお褒めの言葉を頂ければそれを受けた少女はほんのり頬を赤く染めて照れたようにその本で顔を隠すだろう。褒められる。そんな行為に慣れていない少女としては、彼の素直なお褒めの言葉は刺激が強かったらしい。まして、自分の好きなこと。自分の作品を褒められたのだ。喜びもひとしおである。)
・・・。
(ちらり、と受付の奥。彼から見て受付の奥右側にある扉に視線を送る。媚薬や惚れ薬、果てはそれ以上のものも、正直言うと・・・ある。けれど、表にはそういうのは出していない。危険性が高い、というのもあるけれど・・・ただ、なんか表に出すの恥ずかしいから・・・という理由で出してない。けれど、その手のモノは最近の情勢もあってかよく売れる。これで生活を支えているのもあるので売らない訳にはいかなかった。けれど・・・全員に見せるのは恥ずかしいから・・・売るのはそういう話を知っている人だけ。つまりは、合言葉。そう呼ばれるモノを知っている人のみに売っている。それを知っている人は・・・きっと、もう知られてしまっているから。だから、隠しても仕方がない、という理由で。 ・・・本人はきちんと隠しているつもりであるのだが、その情報は既に王都を駆け巡り、ちょっと調べれば簡単に分かってしまうような状態にあるのは、秘密である。)
そういうのは・・・その、取り扱って、ません。
(少し赤い顔をしながら、そっと目を伏せる。彼がもし、その手の嘘を見破るのに長けているのならば・・・例えこの店の裏の顔、秘密商店の存在を知らなかったとしても、何かある。そう思えるだけの何かを感じ取れるかもしれない。)
■ルイーナ > (視線を逸らした風でいながら、しかし男は時折少女が気づかぬ間に彼女の様子を確認していた──そう、下調べをしているこの男が知らないはずはない。“あの言葉”を告げれば、その薬が手に入ることなど、男は先刻承知なのである。なのに、わざわざにそんなことを聞いた理由は、この店に訪れた目的が薬だけにあるのではないからであった。少女が恥ずかしげに視線を伏せる仕草に、少女が見えぬ間に唇の端を微かに上げる男。だが、次の刹那にはそういう笑みは一度消し、さも残念そうに肩を竦めた)
「そう……ですか……それは残念です…」
(そう告げた男。その言葉は来客として来たこの男の帰宅の合図のようにも聞こえるかもしれない。だが、次の刹那、だった──遠ざかる様な気配が、不意に彼女の目の前に現れる。カウンターの上から少女を覗き込むようにして長身の男が笑む。その笑みは、先ほどまでの柔らかいものでありながら、その蒼い瞳は愉悦に満ちた色で染められていて)
「……ねえ、本当に置いていないんですか?客に嘘を吐くのは感心しませんよ?研究者としては一流なのに、それではもったいないではありませんか…」
(そう呟きながら受付の右奥の扉に彼女の視線を誘導するように自らの視線をやってみせる。先ほどの彼女の動揺を探り当てるように、瞳を細め、笑みを深める)
「…本当はあるんでしょう?例えば……」
(あの扉の向こうとかに、と呟くように尋ね首を傾げてみせる。人好きする口元の笑みはそのままに、少女を追い詰めるように)
■ユエル > (少女は人の悪意に対して鈍感であった。その精神はガラスのように脆いものでありながらその危険を察知する能力が他人よりも低かった。ゆえに、この人をからかうことを是、とするような男性を追い返すようなことはせず、快く受け入れてしまっているのだろう。もし、もう少し鼻が利き、勇気がある少女であったのならば・・・危険を察知して追い返すことも出来ていたかもしれない。・・・最も、もし少女が鼻が効き、勇気があり、そして人を追い返すことが出来るような押しの強い人間であったならば、あのような地下室は、秘密商店なんてものは存在していないのだから、議論するだけ無為であるが。
そして、残念です・・・。そう告げた彼の言葉を聞けば、安堵したように ふぅ、と息を吐き、ぎぃ、と音を立てながら椅子に深く腰掛けるだろう。胸に先程まで読んでいた本を抱き あぁ、緊張した・・・。 そう言うかのように安堵しきった様子を見せて。)
・・・っ!!?
(だからこそ、突然彼が目の前に現れたことには目を見開き、驚きを見せた。まるでこちらを問い詰めるかのような様子に人付き合いが苦手な少女はおどおどと視線をちらちらと横にずらし、縋るものを探すように本をぎゅっ、と大事そうに抱え。 ―ーそして、その本に潰されるようにしてその服の下の胸が柔らかく歪んだことも見えるだろう。その服の下の柔肌がどのようなものか・・・彼が目ざとく少女を見ていたのならば、想像できたかもしれない。)
ゃ・・・ない、です・・・。売って、ないです・・・!そういうの、一般の方には・・・売って、ないです・・・!
(ここの店主であるというのに、まるでここが敵地のようだ。本を大事そうに抱えながら身体を丸くして、うっすら涙すら浮かべながら主張するその様子は例えノーマルな人間であったとしても、ちょっといじめてしまいたくなるような・・・そんな加虐心を煽るような姿であっただろう。元からそのつもりであった相手であるならば・・・その効果は覿面か。
そして、彼の追求を受けた少女はぽろっ、とその言葉を零す。 ”一般の方には” つまり、売ってはいる、ということである。けれど、合言葉を知っているもの・・・わかりやすくいえばプレミアム会員みたいなものである。それでない人間には売っていない。そうとれる言葉をぽろりと口にした。)
■ルイーナ > 「……一般の方には、ですか……やはり売っているのですね?」
(くすくすと笑みが聞こえるだろうか。怒っている様子、ではないようにも聞こえる声色。けれども、わざとのように瞳にやや冷たい色を掲げる。本を抱きしめた少女の胸元が押しつぶされる様子を視界に入れながらも動揺した様子は見せず、けれども微かにまたその蒼が細められる)
「…お客に嘘を言うような店はダメだと思いますよ?何か特別な客にしか売れないならばそう言わないと、ね……」
(くすくすとその笑みの色が柔らかくなる。そっと彼女の頬に男の手が伸ばされると、その柔らかな頬を男の手が包み込み、そのひとさし指先で彼女の頬をなぞりつつ、自分を見上げさせるか)
「無防備な人ですね……今度から嘘は言わないことです。恥ずかしいのはわかりますが、媚薬も立派な薬……貴女は立派な研究者なのですから…」
(優しげにそう呟きつつ、けれども不意にその唇の端を微かに釣り上げるように笑う。それはひどく意地の悪い笑みだった)
「…さて、それはそれとして嘘を吐かれた客である私にお詫びを頂きたいですね……具体的には、ある方に貴女の媚薬を少し使わせていただきたいのです。薬師の一人として興味があるのでね…」
(ある方、と言った刹那彼女をじっと見たか──見せて欲しいではなく、使いたいと言ったその意味を理解するだろうか。その使われる対象である“ある方”という意味も。もし理解しなくても、男は続けて耳元で小さく囁く。この店の地下から微かに漂う淫らな気配に、この男が気づかないはずはなく)
「……貴女も、実は興味あるんでしょう?もし使って、誰かに触られたらどうなるか…ということも」
■ユエル > ・・・はい、売って、ます。でも、そういうの売るのは、特定の方だけ、って決めて、いて・・・。
(ぎゅっ、と大事そうに本を抱える。その本は少女の宝物、という訳ではない。数ある少女が所有する本の1つだ。けれど、こうして問い詰められる形となり、何か縋るものを求め・・・こうして、大事そうに本を抱える始末と至った。そこにぬいぐるみがあったならば、ぬいぐるみを抱えただろうし、なければ直接自分の身体を抱いただろう。此度、本を抱いた理由というのはその程度である。
くすくす、という笑い声が彼から落ちてきたならば、おそるおそる、と言った様相で少しずつ顔をあげて、彼を見上げるか。)
はい・・・はい・・・ごめ、んなさい・・・。
(彼から忠告を受け、慰めるような言葉を受ければぽろぽろと涙を流しながら彼の言葉を受けるか。追い詰めることで不安を煽り、緊張を与え、そして最後に優しい言葉をかけることによってその不安と緊張から解放されることの安心感。そんな様々な感情を得ることにより、涙を零すに至った。
その涙が彼の指を濡らし、その柔らかな頬肉の感触とほんのり暖かい体温を彼に与えながら、顎、だろうか。そこを捉えられ、見上げさせられれば彼と視線が交差するだろう。しかしながら、そこは人見知りでかつ、人付き合いが苦手な少女。長時間見つめることが出来ずに、視線が交差するのが叶ったのは数秒程。すぐに照れくさくなったらしく、頬を赤く染めて、視線を横にずらしてしまうか。)
・・・今回だけ、です。次は、きちんと正規の手段、で来てくだ、さい。
(そんなこんなで彼に結局押し切られ、その秘密の地下室・・・秘密商店を解放するに至っただろう。仕方ない、という様子を漂わせ、小さくため息を吐きながら・・・彼がその合言葉を知っているとも知らずに。そして、そのある方、が誰を指し示すかも理解せず。きっと、それはある程度察しが良い人間であるならば理解できただろう。けれど・・・少女はそうではなかった。 まさか 自分なんか にその対象を選んでいる、とは夢にも思っていなかった。けれど、その事実は続く言葉によって理解する。理解させられる。 誰かに触られたらどうなるか・・・。それは明らかに自分に対して使う、ということを示す言葉であった。)
・・・ついてきて、ください。
(その言葉には返答を帰さず。けれど、そう囁いた瞬間 びくっ、と驚いたように身体を反応させ、顔を赤く染めた。そんな反応から答えは明確であるだろう。
そして、店番としてゴーレムを起動させる。ゴーレム、といってもかわいらしく着飾られた人形のようなもの、であるのだが。対して戦闘能力も持たず、出来ることいえば店番と監視、あと何かあった時に警告を鳴らす程度であるのだが・・・まぁ、代理の店番としてはきちんと仕事をしてくれる。 ・・・普段は何故か自分が店番やった方が売上が良い為、なるべく自分がやるようにはしているのだが。
そんなこんなで、ゴーレムに店番をお願いした後、彼を奥へ案内する。秘密の地下室へ、秘密の魔法商店へ。机の引き出しから鍵を取り出して、扉の鍵穴に差し込み、がちゃり、という音を立てて扉を開く。)
・・・どうぞ。
(その先に見えるのは白い階段と薄暗い廊下。そんな扉の先に彼は案内される。なんだかんだと押し切られた少女。その先に待つ運命とは、いかに。この廊下のように薄暗い運命へと堕ちるのか。それとも・・・。)