2017/10/15 のログ
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > この日、予定立てて回るべき最後の目標地点は、平民地区に存在する冒険者ギルドだった。
件の物資輸送に、護衛として幾人かの冒険者を雇った窓口であり、報酬の後金を持ち込む為の訪問。
王都内を探せば同程度の規模のものが大量に見つかるであろう、特筆するべきものの無い一般的な組織だ。
「御免。
報酬を持ってきたのじゃが…」
小雨が降ったり止んだりの街を抜けてきた小さなシルエットの手には、朱の鮮やかな番傘。
異国情緒の漂う着衣に付いた雨の雫を払いつつ、押し戸をくぐる。
建物の中は、これもまたありふれた造り。
一階の半分はギルドとしての事務所であり、もう半分は情報交換の場ともなる酒場だ。
戸口で声をかけたは良いが、見知った顔でも見つからぬものかと、視線を右に左に。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にレリアさんが現れました。
■レリア > 陽が沈み、酒場も兼ねているギルドには様々な者達がいる。
単純に飲み食いをしに来た者たち、仕事を求めている者、或いは情報交換等―――と様々だ。
酒場の奥まった場所で数人の男達と難しい顔をしながら何やら議論を交わしている女もその一人だった。
「……もう少しコストを抑えないと……。アタシ達の村は裕福じゃないんだからさ。」
食事を共にする男達へと言葉を向けた女の立場はどうやらそのグループの中でも主たる立場に近いようである。
故に周りの男達も従うように首を縦に振り、同意を示している。
そして其の侭、ああでもないこうでもないと議論を交わし続けるのだが、少し近付けば会話の内容も聞こえてこよう。
■ホウセン > 一階部分を見回したが、隊商に同行した冒険者連中の顔は見出せず。
手際は悪くなかったから、今後を見越して軽いコミュニケーションでもしておいた方が色々円滑に進むだろうと目論んでいただけに、肩透かしを喰らった格好だ。
尤も、報酬は元々冒険者に直接支払うものではなく、所属するギルドに支払い、仲介料を天引きされて彼らの手元に渡るものだから、完全な無駄足にはならずに済もうが。
歩を進め、事務所のカウンターにて規定の代金を支払う。
子供子供した細腕には荷が勝ちそうな重量感たっぷりの革袋を置けば、ジャラリと硬貨の音。
二、三、書類に署名し、受け取りの領収書の発行を待つ間、世間話程度に事務員へと語り掛ける。
「のう、あそこで不景気そうな面を並べておるのは何なのじゃ?
アレでは、折角の酒食も愉しめなかろうに。」
会話の内容を盗み聞くことも難しくないが、前後関係を手っ取り早く掴むには当初から見聞きしているであろう人間に聞くのが早いと。
その程度の興味を引くぐらいには、長身の女が含まれる集団は、酒場の中では異質に映ったのだ。
事情を部外者に話すのが憚られるようならば、そもそも耳目のあるところで談義はせぬだろうと気安い。
■レリア > 『ああ、アレかい?』
ちんちくりんの子供に声を掛けられても首を捻らずに済む程度には見知った顔なのだろう。
ギルド事務員は問われた内容を察して、視線をその言葉の通り不景気そうな顔が並んだ一面に向けると続けて言葉を並べる。
『偶に此処に顔を出す連中さ。なんでもゾス村の近くじゃ有名な武闘派の村出身みたいだな。
騎士団やら傭兵に頼らず、自分達で村を守ってるらしいが……、ご苦労なこった。
で、此処にいるのはその武器の調達やら何やらって事らしい。
何なら仲介でもしようか?』
見知った顔だからこその最後の台詞を異国の出で立ちである少年に向けると首を傾げる。
その一方で自分達の噂話などされているとも露知らず、一行は相も変わらず終わらない論議を続けていた。
■ホウセン > 冒険者というのは、己の力量だけで道を切り開こうという輩が多く、良くも悪くも前向きな者が少なくない。
内側に何を抱えていようとも、少なくとも表面上は。
その同業者組合であるのだから、この建物の中も鬱憤晴らしと自棄の入り混じった賑やかさに満たされているのが平常運転だった。
故に、真面目そうな面構えは、そこにあるだけで奇異なものと相場が決まっている。
「自警団…という奴かのぅ。
昨今の世情は物騒故、そういった村があっても不思議ではなかろうが…
いや、話は儂自身でしようぞ。
海のものとも山のものとも分からぬ世間話程度で仲介料を取られても業腹じゃしの。」
もしかしたら、今回のタナール砦行きの道中で通り過ぎた村々の内の一つかも知れぬと、甚だ緊急性に乏しい思考。
仲介については、冗談含みの軽口で謝絶し、領収書を受け取ってカウンターを離れる。
「談義中に邪魔するのじゃ。
聊か行儀が悪いかも知れぬと思うたが、お主らは安価な武具なり何なりを探しておる…というのが聞こえてのぅ。
通りの少し先で、”草荘庵”という店を営んでおる。
少し詳しく話を聞ければ、相談に乗れることもあると思うのじゃが?」
小さなシルエットは、初見の相手にも物怖じせず、そこはかとなく酒場の中でも浮いている集団のテーブルへと。
異国仕立ての装束に身を包んだ子供。
如何見ても胡散臭さが拭い切れぬかも知れぬが、一行の誰かがギルドの者に目線で真偽を問えば、誤りはないと回答されるだろう。
■レリア > ああ、そうかい―――。
事務員はそう言うとカウンターから離れる少年へと背を向けて奥へと消え。
とことこと小さな影が近付いている事に気付かない件の一行の議論はと言えば、
ちょうど黙りこくってそれぞれに考えている矢先だったのだからタイミングとしては申し分のないものだったろう。
少年の突然の問い掛けに警戒心を抱く男連中は腰を浮かせのだが、良い、と一声でそれを制する女の方が肝が据わっている。
周囲の様子を見れば、周りの連中の視線は特に視線は集中していない。
となれば出入りをそれなりには頻繁にしているという証拠だろうと踏んだのだった。
「何処で聞いたのか知らないけれど、その通りだ。
……ちょうど、アタシ達も新しい伝手を探している最中だったのさ。
アタシは少し話を聞いても良いと思うんだが、あんた達はどう思う?」
リーダーである女の結論は直ぐにも出た。
その考えを仲間達へと問えば皆一様にはっきりとしない返答ばかり。
異国の外見と外見から男達の警戒は当然とも言えるだろう。
煮え切らない男達を見て女は少年とそして仲間達も含めて提案する。
「何も話をするだけで金を取る訳じゃないだろう?
あんた達は此処で他に何か無いか考えてな。アタシが直接話を聞いてみる。」
怪しげな身形と言葉遣いの少年に冗談めいた問いを投げかけつつ、己の回答を出すと腰を浮かせ立ち上がる。
状況としては実りの無い議論を続ける回避できる為、まさに渡りに船だった。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にレリアさんが現れました。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にレリアさんが現れました。
■ホウセン > 糸の密度が高そうな布地で織られた、この辺りではあまり見かけぬ衣装。
流通しているものが殆ど無い珍品の類を着ているという一点のみで、その稀少品を手に入れられるだけの財力があることの裏返しともなろうか。
それが北方帝国辺境に由来があるものと知れずとも、使われている布地の質から廉価なものではない事ぐらいは伺えるかもしれない。
羽振りが良い。
初顔合わせの第一印象を左右する要素の一つ。
「呵々!そこまで強欲な真似はせぬ。
尤も、儂に酌をさせて愚痴を聞いてくれ…などという大それた望みを囀らぬのであればじゃがな。」
あっけらかんと笑い声を漏らす妖仙は、眉目秀麗。
人形のように、只端整であれと作り上げられているかのように。
座敷で侍らせれば、さぞ絵になるだろうけれども。
「さて、込み入った話ならば河岸を変えるのも吝かではない。
賑やかなのが好ましくないというのなら、此処の二階を使うなり何なり方策はあろう。」
立ち上がると、背丈の上下はより鮮明に。
斜め上に視線を向けつつ、少なくとも同胞であると同時に横槍要員ともなりかねない男達から離れる意図なのだろうということは察し、選択権を委ねる形で水を向ける。
酒場が併設されているとなれば、宿も併設されているのが一般的で、この建物も例外ではない。
空き部屋の有無ぐらいは問わねばならぬだろうが、もしかしたら女自身が既に部屋を取って宿泊しているかもしれない。
男女が二人きりというなら同行者達も色めき立つ危険性も否めないが、片割れの見た目が子供であれば悪戯に危機感が刺激されもしないだろう。
■レリア > 上等な素材で作られたであろう纏う衣服は見た事も無いデザイン故に余計に商談相手としては申し分が無いと考えられる。
また整った顔立ちも合わされば地位や名誉も持ち合わせているとも考えられる。
己達のような田舎出身に声を掛けてきたのはただの気紛れか、或いは同情か何かだろうと深い推測もせずに立ち上がった女は、
商談相手の冗談に笑みを零して答える。
「そんな趣味は無いさ、悪くは無いかもしれないが。
……さて、アタシとしては商談相手の仕事内容も把握しておきたい。
近くにあんたの店があるなら拝見したいんだけれど…、如何かな?」
己達が寝泊まりしている二階の部屋を使うのも悪くは無いが、言葉の通り、交渉相手を知る事も重要である。
先程言葉にしていた店とやらを見てから他の相手を当たる…、という方法も含めての問いを少年へと向けて。
■ホウセン > 一応は、商人であると納得したようだが、その素性を更に知りたいというのはまっとうな判断だっただろうか。
さもありなんと頷き一つ。
だが、快諾というには、少しばかり勢いが無い。
「ふむ、構わぬが…
雨の中を出歩こうなんぞ物好きなものじゃなぁ。」
それでも、薄っぺらい肩をすくめ、降参の意思を表示する。
踵を返して建物の出入り口へと向かい、ようやく雨水の乾きかけていた番傘を手に取り――
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」からホウセンさんが去りました。
■レリア > 「雨を気にする事よりも重要になるだろうからね。
それじゃ、行ってくる。あんた達、しっかりしなよ。」
仲間内に少しの間の別れの挨拶を告げると商談相手の小さな背中に続き、案内のままにその店へと向かう事に。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」からレリアさんが去りました。