2017/08/06 のログ
■レイラ > 「まあいいですわね、見せる方もいませんし」
とかいいながら、改造を施したあと。
照んないの電気を消して、ベッドのあるおくの部屋に戻っていって。
そして店内には、ずいぶん質素になったピンク色のドレスが残されていて
ご案内:「王都マグメール 平民地区 仕立屋」からレイラさんが去りました。
ご案内:「森の中」にルークさんが現れました。
■ルーク > ピュンと鋭く何かが風を切る音が響く。
腕輪から伸ばされたワイヤーが、太い木の枝へと巻き付き次いでワイヤーを巻き取る反動を利用して飛び上がった体が、身軽にその枝へと着地する。
折り重なる木々の合間から、強い日差しが木漏れ日となって差し込む森の中は平野に比べれば影が多く涼しいが、それでも真夏の気温と湿度は高い。
空へ視線を向け太陽の位置から方角を確認するルークの出で立ちは、裾の長い薄手の上着の下に黒のノースリーブと白のホットパンツといった以前していた格好。
可愛らしい見た目に反して、主から贈られた服は素材にも工夫がなされ防御力なども高くなるのだが、森の中を動き回るのにスカートというのは流石に難しく最近では着用することのなくなっていた服を引っ張り出してきた。
がさっと茂みが揺れる音に、空に向けていた視線を下に落とせば茂みから低級モンスターが何匹か連なってルークのいる木下を横切っていく。
大きさから見て、恐らく親子か何かなのだろう。大きい一匹の毛玉に足の生えたような形のモンスターにそれを縮小したような大きさのものが一定の感覚をあけてついていっているのが見えた。
ご案内:「森の中」にリーゼロッテさんが現れました。
■リーゼロッテ > 森の中に人が交じることは珍しくないのだが、今日はいつもと違うような感じがする。
直感に近いような疼きに釣られ、森の奥にあった小屋から外へと出ると、魔法銃を背中にてくてくと森を歩いて行く。
気配がした方角へと進みつつ、歌を口ずさみながら獣道を歩く。
可愛らしい格好とは裏腹に、不整地を慣れた足取りで踏みしめながら、時折ひょいひょいと太い枝に飛び移ったりして深い茂みを飛び越したりと軽やかに。
途中、手入れに訪れる小さな花畑にたどり着くと、歌を続けながら夏花に溢れたそこで足を止めた。
「~……♪」
一面に咲き乱れる色とりどりのジニア、それ以外にも無数の夏花を咲かせるそこは、森の木々が遮っていた日光を所々に通している。
薄っすらと白い光が差し込む中、歌声は彼女に届くだろうか?
柔らかに微笑みながら、甘い香りを吸い込み、近くの草地に腰を下ろした。
■ルーク > 「………。」
トコトコトコトコと、可愛らしい足音の聞こえてきそうな歩き方のモンスターが通り過ぎていくのを見送って、次の枝へと狙いを定めてワイヤーを伸ばし枝と枝の間を飛び移っていく。
組合で主の秘書をしている少女から教えてもらった、目的の人物の住まう森というのはこのあたりのはずだが…。
いくつかの枝の上を移動して、すとんとまたひとつ太い枝の上に降り立つとバックの中にしまっていた箱を取り出してみる。
中には青みがかった黒い羽が収められており、何かしら反応でもしないものかと羽の様子を観察する。
「………?」
ふわりと風に甘い花の香りが混じり、微かに人の声――少女のものらしい歌声が乗って聞こえてくる。
箱をバックの中へと再び仕舞うと、ワイヤーを伸ばして歌声のする方向へと枝の上を飛び移っていく。
「――……。失礼、アーヴァイン様の義妹君でしょうか…。」
木々が開けた先には、一面の花畑が広がりそこに一人の少女の姿を見つけて、すとんと地面へと降りると彼女を驚かせないよう声をかけて。
■リーゼロッテ > 箱の中の羽は、僅かに反応を示す。
たが、それはいい反応と見えるかどうかは別。
何せ黒い羽の部分に薄っすらと青白い火の粉をまとっているのだから。
不思議と箱を焦がすことも、焼くこともない。
さながら、発光現象のように青白い火の粉を撒き散らすばかり。
歌声は、あの念話の時に聞こえた高い音とよく似ている。
無邪気に甘ったるい声色、枝を伝った先に見える花畑でには、組合の少女達が着飾るような可愛らしさのある戦闘衣とよく似た格好をしたリーゼロッテが見えるだろう。
「~――ひゃっ!? ぇっと、そうです…けど?」
暫し綺麗に育った花々に意識を向けすぎたというよりは、現を抜かしていた。
飛び降りる音と、掛けられる言葉。
脅かさないようにと配慮してくれたものの、ぼけっとしていたのもあり、驚いた猫のようにピンと背筋を伸ばして素っ頓狂な悲鳴を上げた。
慌てふためいて彼女の方へと振り返り、青い目がいつもより丸く開かれる。
「……あれ? お兄ちゃんとかがいってた格好と違う。やめちゃったの? ルークさん、だよね?」
きょとんとした様子で彼女の姿をまじまじと眺めると、頭から疑問符でも飛び出しそうな様子で首を傾げた。
最初に疑問に思ったのはそこだったらしい、凄く可愛い格好している女の人が従者だときいていたのもあり、どちらかといえばかっこいい格好に、少し肩を落としてしまう。
■ルーク > 「………これは…。」
箱の中の黒い羽は、蝶の鱗粉のような青白い火の粉を纏っている。
これを送ってくれた持ち主が、近くにいることによる反応なのだろうかと羽の反応を見つめていれば花の香りとともに少女の歌声が聞こえてきた。
その声は、念話で聞いた甘いソプラノのあの声ととてもよく似ていて、陽の光が差し込む花畑の傍に可愛らしい少女が一人座っていた。
「驚かせてしまい申し訳ありません…。」
意識が完全に花のほうへ向いていたせいか、こちらの登場に傍から見てもわかるほどに驚いている様子に、詫びる。
振り返った彼女の大きな瞳が、更に丸く開かれると青い瞳がこぼれ落ちてしまうのではないかと思うが表情に変化としては現れず。
「――……………。いえ、森の中を動き回るのに支障が出るかと思いまして…。」
まじまじと見つめて、首をかしげる彼女から溢れた言葉がルークの服装に関する質問だった。
予想外の言葉に少し間が空いたあと、今の格好をしている理由を話す。
まだ完全にスカートに慣れていないことと、枝などでひっかけてしまい破いてしまう可能性を厭って以前していた服装を選択したが、彼女のお気に召さなかったらしい。
肩を落とす様子に、なんだか申し訳ない気持ちになってしまうがやはり淡々と表情の変化もなく告げ。
■リーゼロッテ > 「ぇ、ぁ、ううん、私がぼーっとしてたのが悪いから…ルークさんは悪くないよ?」
詫びの言葉が変えれば、二度ほど瞳を瞬かせてから、慌ただしく否定の言葉を紡ぎながら苦笑いを浮かべる。
気にしてないというように小さな両手をぱたぱたと振って。
「大丈夫っ、太腿とか枝でビシッてならないように薄手のレギンスとか履いちゃえば……ぁ、それだとお兄ちゃんの趣味じゃないかな。でも、ルークさんは身軽だ―ってきいてたし、枝から枝にひょいひょいって動いちゃえば大丈夫だよ!」
間が空いたのも気にせず、可愛らしさより身動きを取った彼女へ、きいていた格好でも大丈夫と言いたげに力説しながら、妙に自信に満ち溢れた輝いた表情を見せる。
表情をころころと変えていく中、ハッとしたように彼女がここに現れた理由に察しつき、眉をひそめて笑いつつ立ち上がった。
「ごめんね、ルークさんがここに来たってことは、レナちゃんからお話聞いてくれたんだよね? リトルストームの子達とかと、契約する前にお話したいって」
こちらから本題を切り出すと、こっちへというように促しながら歩きだす。
何処も変わらぬ、九頭竜山脈にありふれた森の道なき道。
今は景色は普通の世界のまま。
■ルーク > 「ですが、驚かせてしまったのは事実ですので。お気遣いありがとうございます。」
ぱちぱちと青い大きな瞳が二度ほど瞬乾を繰り返して、慌てたように手を振りながらの言葉に生真面目に返す。
念話で義兄を窘めた甘いソプラノの声は変わらないながらも、その仕草は抱いていたイメージよりも幼く映る。
「レギンスですか…。しかし、その…せっかくいただいた衣服を、ひっかけて破損などしてしまったらと思うと嫌だと思ったので…。次に伺う機会があれば、初めて伺った今日よりも最短距離をとることが出来ると思うのでそちらを着用してきます。」
肌を露出することで枝などで傷を作る心配よりも、衣服が傷つく心配が強かった。
好きや嫌いなどといった感覚については、はっきりと感じる事や示すことが不慣れなルークの中で、衣服が傷つくのは『嫌』だとはっきり感じたそれを彼女へと告げる。
それだけ、主から贈られた服を大切にしていることが伝わるだろうか。
ワンピース姿でも大丈夫と力説する様子と自信に溢れた表情に、やや気圧されつつもそう約束して。
「はい、こちらの羽と一緒に伝言を受け取りました。」
バックから箱を取り出すと、大切にしまわれた黒い羽を彼女へと見せて。
促されながら彼女の後をついていく。
森の中の道なき道は、なんの変哲もなく同じような木々のお生い茂る景色が続く。
■リーゼロッテ > 「ふふっ、本当に凄い真面目さんだねぇ。お兄ちゃんみたい」
似た者同士だねと楽しそうに微笑みながら、森の道を歩く。
元々は子供っぽいと言われて失恋を経験するような、天真爛漫だったのもあり、こうして普通に喋っていれば彼女が抱いた印象通りの少女のはず。
「壊れちゃったら確かに……でも、皆の戦闘衣と同じ素材でしょ? ふっふ~、ちょっとやそっとじゃ破けないんだよ? 元々ティルヒアの魔法学校で使ってた制服で、戦うのにも使えるようにって、凄く頑丈なの」
少し得意気に服の話をしながら、ちらりと彼女に振り返る。
途中、獣道の茂みに服の裾が引っかかる様子があるも、引っかかった枝のほうがペキッと折れてしまう。
強度以上の負荷がかかれば別だろうが、可愛らしい見た目のわりに言葉通りに丈夫である。
今度会う時はと答えてくれれば、期待してるねと満面の笑みで答えながら進む。
「良かった、その羽根ね、本当はザム君……リトルストームの子の羽を貰おうと思ったんだけど、やだーって逃げられちゃったから。それはシャドウクロウっていう、鴉の羽なの。仕事熱心で、危なっかしくて、神様に危ないからって閉じ込められちゃった、かわいそうな鴉の羽根」
そんな説明をしながら歩くうちに、あれだけ暑くて木々の切れ間から少しばかりは日光を感じられていた森が、変容するように気配を変えていく。
冷たくなる空気は、湿気も無く、真夏日を忘れさせる涼しさ。
そして空の太陽はいつの間にか青い月に変わり、虫の音もいつの間にか消えていく。
不意に開けた場所にたどり着くと、そこは墓場。
魔法銃が幾つも並べられ、森で集めた花々で作られた冠が棒を組んで作られた墓標に掛けられた場所。
冬の森を思わせる葉を失った木々には無数の鴉たちが止まっており、鳴き声をいくつも重ねていた。
「そしてここが…その子達が閉じ込められていた森。レナちゃんは蒼月の森って、カッコイイ名前を付けてくれたけど」
足を止め、振り返ると苦笑いを浮かべながら彼女を見上げる。
そして、そのまま聞き覚えがあるだろう問いを改めてその口から紡ぐ。
「ルークさんは、この国の人好き? 嫌い?」
羽根を渡しに来た夜、レナーテが問いかけた言葉。
この国をどう思うか? それよりももう少し絞ったような問いかけ。
変わらぬ甘い声色、柔らかな微笑みだが、少しだけ音が冷たく感じるかもしれない。
■ルーク > 真面目同士、似た者同士と言われるのに微かに首をかしげた。
人当たりもいい主を思い浮かべ、似ているだろうかと考えているようで。
「ええ、そのように伺っております。防御力にも優れた素材とは伺っているのですが、華奢な見た目なこともあり破れてしまいそうな気がしていまい…。ティルヒア由縁のものでしたか。確か、貴方様もティルヒアご出身だとか」
組合の造兵廠で作られたとは聞いていたが、ティルヒアから齎されたもののひとつだったとは。
彼女のまとう可愛らしい服装も、ルークに贈られたものと同じ素材らしく彼女の言葉通り、ひっかかった枝の方が折れてしまうのが見て取れる。
「神様に閉じ込められた鴉の羽…。この羽に触れた時に感じた、冷たいような熱いような痛みは、その鴉のものだったから、なのでしょうか。」
氷よりも尚冷たいものに触れたような、そんな痛みともとれる感覚を思い出しながら彼女の説明を聞く。
しかし、いつの間にか代わり映えしなかった夏の陽気の森は太陽の代わりに青白い月が支配する森へと変化していた。
ひやりと冷たい空気に包まれた、墓所。
佇む墓標と、葉の落ちた木々にとまるのは、無数の鴉の群れ。
「………。…此処が、蒼月の森…。」
どこか物悲しく、寂しい雰囲気の森。先程まで天真爛漫な笑顔を振りまいていた彼女には、不似合いなようにも感じる。
しかし、聞き覚えのある問いを紡ぎ出す彼女の雰囲気は、どこか先ほどまでとは違う、冷たい音を奏でている。
「…好きか嫌いかと、考えたことはありません。マグメール王国という器を維持する事が重要だと教えられてきましたので。」
秘書の少女の問いよりも、更に絞った問いかけに少し困ったように視線が動く
■リーゼロッテ > 冗談が下手で、真面目に真っ直ぐで、それでいて根っこは優しさや暖かさがある。
義兄は根にある部分が見えやすいが、言葉を直接交わしたからこそか、彼女にも同じ温かみを感じたからこそ、似た者同士と告げたのだ。
分かってい無さそうな仕草もまた、兄を思い出させて微笑みが溢れる。
「詳しいことは私も知らないんだけど、特殊な加工をした生地を使ってるんだって。うん、田舎の教会の神父の子供なの。教会はなくなっちゃったけど、孤児の子は皆集落に引き取ってもらえたから良かったの」
元々は魔法学校で新技術の魔術成績がずば抜けて高かったことで、戦争に駆り出されている。
その技術に目をつけた義兄が、リーゼロッテを引き取り、その部隊と資源ごと引き抜いたのが、今日のドラゴンフィートの足がかりとも言える。
当の本人はそんなことはもう忘れたのか、軽やかに森の草地を踏みしめていく。
「ぁ、ごめんねっ!? ちゃんと封印処理したんだけど……。それは鴉たちが使う炎の力なの。魂を直接焼く、……安楽死させることも、苦しませて殺すことも出来る、危ない炎」
厳重に封印処理をしても溢れたのは、彼女の生まれたての心に反応したのかもしれない。
ずっと心を持って濁っている人間に比べ、最近になって寵愛を受け止めた彼女の心に。
冷たく焼ける痛みは、溢れた力で僅かに彼女の魂を直接焼いた結果なのだろう。
そうこうしているうちに、辿り着いた森。
振り返り、彼女に問いかけた言葉の答えは、素直な言葉だった。
そっかと呟きながら苦笑いで頷く姿は、納得したようにも見えるだろう。
しかし、微笑みながら紡ぎ出す言葉は、その全てをひっくり返す。
「私は……大嫌い、集落の人とか、ルークさんとか、あと大切な人とか…私が大切に思う人以外、みんな死んじゃえばいいってずっと思ってるの」
微笑みながら宣うようなことではない、殺意に満ち溢れた本性。
それを語りながら胸元に手を当て、苦笑いへと表情が歪む。
「この服もね、元々は着るのやめようって思ってたの。私のお姉ちゃんが、可愛い格好が似合うからって言ってくれたから……今も着てるけどね。だって、こうして可愛い格好すると、犯そうとしてくるんだよ?」
愛らしく、可愛らしく。
それは女性が男性を魅了するための手段の一つ。
けれど、決して性を誘い、体を明け渡すためのサインではない。
だが、この国ではただそうあるだけで、そういうものだと欲望が裏付けても否定されない。
見た目が変わると人の目が変わってしまう、それは彼女にも覚えがあるだろう。
知ってから知らずか、そんな欲望に深い殺意を抱くほどに歪んだ黒い一面を曝け出すと、彼女へと歩み寄る。