2016/11/25 のログ
ご案内:「朽ちた教会」にオーベさんが現れました。
■オーベ > 古びた教会はすえた匂いと埃っぽい空気が漂う
フードを被った人影が、祭壇の裏に立ち、こつこつ、と石床を叩けば周囲との音の違いに手を止めた
「…この下…か、反響音が少し違う」
所々、破けた赤い毛氈をひっくり返し、再度、杖の先でその下を探るようにすればやはり返ってくる音は異なる
確信があったわけではないが、他に怪しい箇所もなく…二言、三言、と詠唱すれば足下から染み出すように、
二匹の古代魚のようなフォルムの召喚獣が現れて、空を泳ぐ…自分の身体の周りを身体をクネラせながら
回遊するさまを確認すれば、そのヒレを軽く撫でるようにして
「…久々だけれど頼む。おそらくこの下に眠っているハズだから…」
こつこつ、と杖の先で床下を示せばゆったりと泳ぐように二匹の召喚獣は地面に溶けるように潜り込んだ
それを見届ければ、祭壇から少し離れていく。しばらくまでば、がらがら、と音を立て、
先程、召喚獣が潜っていった辺りが崩れ落ち地下へと繋がる階段が現れた
「それじゃあ、参ろうか…」
何時の間にか戻ってきた二匹を伴いながら地下へ続く階段を下りていく
階段を下りきってしまえば、そこには広大な地下墓地が広がっていた
■オーベ > 伴う二匹の召喚獣が燐光を放ちながら前を行く
周辺にはおびただしい数の白骨死体が眠っていた。はっきりとはしないが、その種族は様々で、
人間のものもあれば、ミレー族などの亜人のものあり、中には魔族のものらしいものすらあるように見える
一つ一つ、白骨体を気にしていたら日が暮れてしまいそうであったから、そこそこに切り上げて、
目当ての場所へと向かう…時折、猫ほどはあろうかというネズミが足元を走っていったり、
現在は流通していない硬貨などを見つけたりしたが、死者の眠る場所で物をくすねるのも気が引け、
小さな素焼きの香油入れを1つだけ、拝借するに留めて進む…しばらく進めば、ようやく目的の場所につく
「…この石棺だな。埃が凄いけれど…ちょっと失礼して」
これまでの無造作に置かれた白骨体とは異なり、そこにだけは祭壇が設けられ、その周辺には
燭台や香油入れ、花瓶などが配されており、貴人を葬ったような趣であった
石棺にうず高く積もった埃を、失礼、と叩いて落とせばそこに彫り込まれた紋様と、自前の手帳に記した
紋様の記述を見比べていくのだが、ふわふわ、と二匹の召喚獣が絶えず、空中を泳ぎ回るので、
明るさが足りない…これを見越して拝借した香油入れに落ちていた布地の切れ端を浸して、蝋燭代わりにすれば
手帳と紋様を何度も見比べて
■オーベ > 間違いない、と判れば手帳を懐へとしまいこみ石棺の蓋へ腕を掛け開こうとする
これが中々に、重い。知識はあれども、身体能力はそこいらの一山幾らの冒険者たちと大差はない
いや、むしろ冒険者の中においても中の下、と言った所であろう
ようやく、蓋を地面へと引き落とせば、舞い上がる埃に咳き込みながら中で眠っていたものと対面する―――
「…ミレーの名も知らぬ聖人…一応は、聖遺物、ということになるのかな…」
自分はそれほど信仰熱いわけでもないのだが
薬を塗布した包帯に巻かれた物言わぬ聖人は白骨化はしておらず木乃伊のようにカラカラであった
外見では包帯に邪魔されほとんど姿は見えないが、所々、かすかに見える包帯の内側は、
白骨化はしておらず、細くひび割れたような皮膚が残っている
「族長の縁者というが…眠っていた所、すまないね…どうしても、と頼まれたもので…」
ミレー族の小さな隠れ里の族長曰く、カビ臭い石棺の中、1人で眠るのはあまりに不憫、故郷の土に
返したいのだそうだ…かと言って、山中に隠れ住む彼らの氏族の若者が大手を振って王都を
歩き回るわけにもいかず、苦渋の決断ながら、付き合いのある異国から来た魔術師に回収を頼んだ
魔術師の方も、族長には取引などで少なからず恩義を感じていたから、承諾し、今に至る
「しかし…聞いていたより小さい…女か?」
来ていたマントを脱げばそれを敷き、物言わぬ聖人をそこへ寝かす。そうして包むようにしてから、
すまないね、と語りかけながら革製のベルトで包んだマントを固定した
後は街の葬儀屋で手配した棺に入れて馬車で街道沿いに進み、そこで族長の手配したミレーの若者に引き渡す
という、算段であった
「…よいしょ、と…スマンがもう少し我慢してくれよ
念願の帰郷で錦を飾りたいだろうけれど…
世捨て人のマントもそう、捨てたものではないさ…」
燐光を放つ召喚獣…否、召喚魚たちは辺りを照らすのに飽きたのか、戯れるようにしながら、
地下墓地を行ったり来たり、回遊している
帰り道も頼むよ、と二匹に告げれば、マントに来るんだ木乃伊を背中に背負い、来た道を地上に向かって
歩いていくのだった
ご案内:「朽ちた教会」からオーベさんが去りました。