2016/07/04 のログ
ご案内:「北方山岳」にエレイさんが現れました。
■エレイ > マグメール王国の北方、魔族の国との境目。
そこに存在するその山は氷の魔力に覆われ、季節を問わず雪山となっている。
その中腹辺りで、ズゥン、と轟音が一つ響いた。
音のした場所では、吹雪の中で金髪の男が一人、マントをはためかせながらぼんやりと突っ立っていた。
「…王国の方は最近はちょっと僅かに暑さを増してきているが───」
口から白い息とともに独り言を零しながら、うつむき加減で前方を見下している。
その視線の先には、水色の毛並みを持つ巨大な狼の魔物───魔獣ダイアーウルフェンが倒れ伏していた。
その胴体には無残に大穴が空き、地面の雪は広がる血で染まっていた。
当然、魔獣は既に絶命している。
「───だからといってここは避暑地には向かんわなあ」
それを無感動な表情で眺めながら、流石にいくらなんでも寒すぐる、と自らの二の腕を軽く擦って寒がった。
■エレイ > 何があったのか、魔獣の死体より後方では、積もっていたはずの雪が大きく扇状に吹っ飛び地面が露になってしまっている。
今も吹雪は続いているため、程なくまた白い雪に覆われるだろうが──。
「───……さて。コイツの牙を持って帰らなきゃいかんのだったな」
フンス、と鼻を鳴らせばそれも白い息として吐き出され、すぐに掻き消える。
男は冒険者としての依頼でこの場所に来ていた。
ダイアーウルフェンの討伐、及び牙の採取。
後ろ腰のナイフを引き抜くと、死体におもむろに近づきしゃがみ込む。
「……何に使うんだろなあ、こんなモン? まああこれはこれで武器とかにできそうだが……どうでもいいか」
呟きながら、カキン、カキンと軽快な音を立て、大きな鋭い牙を切り取った。
それを鞄に入れてから、改めて魔獣の死体を眺め、ふむ、と唸り。
「……毛皮とかは需要はにいのかな? コボルトの毛皮と違って冷たそうだからイカンかねぇ。肉は……問題外だろうな、硬すぎてもうだめ」