2016/05/27 のログ
クライブ > 「出来てるなら良い事だよ。次は俺がどこかで死ぬ前にリゼの子供でも見せてくれな?」

これでもいろいろ見てるからなと悔しそうな声に返し、出来ているのなら安心だと一瞬だけ妹を見るような目で祝福するが一言多く。

「表に出ねぇだけで今も変わってねぇよ、そういうのはな。俺も仕事で2、3組始末したがああいうのは直ぐに増えるぞ」

ごく稀とはいえミレー族から受ける仕事もある。ほとんどが村を狙う奴隷狩りの対抗なだけに、金づるにはいいのだがそれは言わずに変わらずに多いとだけ。
顔を赤くしてそっぽ向く姿に暗い雰囲気もなくなり、その姿を見てはまた笑い。

「そりゃ残念だよ。また可愛いリゼを見たかったんだが無理強いはしたくねぇしな。もし気が乗ったら付き合ってくれよな?」

否定されてもさほど気にせず。あの時とは違う危険もさほどない今では断られるのも解っていたというようにして。

「傭兵は雇い主との契約を守らねぇと悪評が立つからな。立ったら最後食えなくなる。だからな…雇われ先次第じゃ敵になるのも覚えとけよ。そん時は迷わうに撃てよな」

少女の子供っぽさは殺伐とした生き方をするものほどその時間を忘れられるものだが、同時にそういう策略や知人が出来になった場合に戦えるのかが心配になり。
もしそんな状況では迷わずに撃てと告げる。

「何ってナニの事に決まってるだろ。男は大変なんだぜ、な?」

楽しげに笑う門番の男に同意を求める様に問いかければ隣でまた赤くなる少女を撫でる。
指された方向に目を向け宿並びを目に収め、値は張るが身なりや見た目、衛生も大丈夫と聞けばあとで繰り出そうと決める。

「変じゃなくて大事な事だぜ」

急かす様にゲートを抜ける少女の背中を眺め、門番に礼を言えばその後を追いかけて

リーゼロッテ > 「う、ぅぅ……それは無理…かも知れないです。その、女の子…ですから」

多めだった一言がぐさっと懸念していた部分に刺さり、苦笑いを浮かべながらそろそろと呟いていく。
同性の恋人と答えてしまったものの、どう思われるのか…嫌われないかなと、少し不安そうに彼を見上げる。

また増える…その言葉には嫌なことですと呟きながら頷いていく。
ただ欲望のために殺して踏み躙っていた女戦士と戦った時、自分は彼女を倒せなかった。
また同じように暴れるかもしれない、不安が蘇りながら胸がチクリと痛む。

「あ、ぅ……」

気が乗ったらと言われても、そんなことないと言い切れない自分がいる。
そんなこと、言い出せるわけないじゃないですかと心の中で呟きながら、曖昧な言葉だけで恥じらいながら俯いた。
そんな気持ちを消してしまう警告が語られれば、ぎゅっと胸が苦しくなる。
もし彼が敵になったら…想像しても言えるのは、彼に呆れられるような答え。
それでも、困った様に苦笑いを浮かべながら彼を見つめる。

「…出来ません、クライブさんは…優しくて良い人ですから。お仕事で戦わなきゃってなっても、撃っちゃったらずっとずっと引き摺りますから…その時は撃たなくていい方法、考えます」

大を取るか小を取るかと、天秤にかけられているにしても、彼を撃てるとは言えなかった。
自分なりに精一杯考えて浮かんだのは、撃たずに終わらせる方法。
例えば捕まえてしまうとか、寝かせてしまうとか、ぼんやりとした答えながらに思った通りに答えていく。

「そ、そんなの知りませんっ!」

重たい話はそこそこに、門番も彼の答えにそうだなと楽しげに笑っていた。
大事なことと言われても、同じ言葉を繰り返しながら集落の中を案内するだろう。
彼と戦わずに済むことを祈りながら…。

クライブ > 「……あー…そうか。お互い納得してるならいいんじゃねぇか。見れねぇのは残念だがリゼが幸せならいう事はねぇよ」

同性の恋人と聞けば驚きはするがお互いが幸せならいう事はないと不安そうな少女に笑いかける。

「奴隷狩りってのは楽でも儲けれる商売だ。しかも国が禁止してねぇから減る事はねぇよ」

呟く少女に国が認めている事だ、増える原因を簡潔すぎる言葉で返す。
自分は仕事ならば容赦なく摘み取っていくが、優しい少女にはそれは無理だろうと見下ろす。

「女は好きだが誰彼言ってる訳じゃねえからな」

押していけば頷きそうな気はするのだがそれはせず。
よく知る少女だけにそう言う事はしないでおこうという男なりの優しさであり。

「優しいのは敵対してねぇからだよ。もしそうなったら俺も仕事だ。リゼを殺さなきゃなんねぇよ。それこそあの時に言ったみたいに掴まって玩具にされるぞ。それが嫌なら撃て、いいな?最も誘惑されりゃ転がっちまうかもしれねえがな」

撃たないという少女に仕事では手を抜けないと告げ。
戦場での凌辱の可能性を改めて告げれば自分を守るためにも撃てと告げる。
少女のあげる言葉にそれは難しいとは言わずに僅かに困った顔をして。

「こればっかは男の問題だからな。そう怒るなよ、悪かったって」

同意する門番に楽しげに笑い返して別れ
同じ言葉を言いながらも案内をしてくれる少女について歩く。
敵対することなく今の契約が終わればいいと考えながら立ち入れない奥以外の場所を案内してもらい、少女と別れれば宿を取り休むことになるだろう。

リーゼロッテ > 「…ありがとうございます」

どうやら杞憂に終わったようでよかったと安堵の吐息を溢す。
奴隷が減らないのはそういう国絡みの事だとは知っているものの、ここに来てからは腐った世界を見せられて、心が苦しくなる。
静かに頷くのが精一杯だが、それでも今していることが間違っていないのだと、心の中で呟いた。

「ぅ、ぅ…っ、その時は察してください…っ!」

自分からは言い出せないと真っ赤になりながら答えて終えると、彼の厳しい声が現実に引き戻す。
そうかもしれない、彼の言う通り死ぬ前に壊されるかもしれない。
小さく震えながら、苦しみから浮かぶ雫が瞳を潤ませていく。

「私が撃てるのは…本当に悪い人だけですっ、それだけは…躊躇いなく撃てたんです。でも、クライブさんを撃っちゃったら…きっと生きれても壊れちゃいます。それなら、クライブさんを誘惑して、こっちに来てもらいますっ」

自分の中にある決まり事を、こうして言葉にできるほどに理解できた。
彼はどうあっても自分の中で悪い人には出来ない、それなら彼の言う誘惑だって可能なら選ぶだろう。
そこまで言うと、涙が零れそうなのを堪えながら歩き出す。

「大丈夫です…っ、女の人以外にも色んな所あるんですから!」

ぐしぐしと目元を拭い、いつものように微笑んで彼に振り返ると料理の美味しい屋台や、人気の酒場に便利なものを取り扱っている店や馬車の駅と、案内していく。
帰り道には自分ができる答えを見つけようと、ほんの少し強くなれたような心地で寄宿舎へと戻るのであった。

ご案内:「九頭龍山脈麓の集落付近」からリーゼロッテさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈麓の集落付近」からクライブさんが去りました。