2016/05/26 のログ
ご案内:「九頭龍山脈麓の集落付近」にクライブさんが現れました。
■クライブ > 「今思えば面倒なモン受けたよな…」
とある組織が管理する集落の偵察の仕事を受け数日。
あくまでバレない様にとの契約の元に様子を伺う。
どう見ても普通…種族差別もないいたって平和な集落を眺める事に飽き始める。
「貴族の馬鹿どもにすりゃこういう場所は気に入らねぇって事か。本当に下らねぇよな」
依頼を受けた折、色々と言ってはいたが要は師団の人間の私有地にある自分たちの権限が及ばない場所が気に入らないだけ。
依頼内容の節々でそれを感じながらも受けた事を今更に後悔をして。
割り切れる訳ではないが仕事は仕事と…少しでも見つからない様にと草むらに伏せ集落を眺める。
依頼人が求める情報になるものがないかと探す様に
■クライブ > この位置から見えるのは商売などのエリアだろうか。
人やミレー族が混じり行きかう王都ではまず見られないような光景を遠目とはいえ見ていればこういうのも悪くはないなと考えてしまう。
男自身も種族差別的な考えはないだけにむしろ見ていれば視線と笑みが浮かんでしまう。
「別にこんな場所があってもいいだろうがよ」
小銭を貯め偉そうにする以外脳がなさそうな依頼人を頭に浮かべれば吐き捨てる様に口にして。
もしかすれば王都には及ばずとも並な都市よりも活気のある様にみえる街並み。
それを見ていれば普通に混じりたく気持ちを押さえて眺める。
ご案内:「九頭龍山脈麓の集落付近」にリーゼロッテさんが現れました。
■リーゼロッテ > 「疲れたよぉ、組合長さん…酷使し過ぎだよぉ」
馬車道の護衛、狙撃銃の試用から改善の提出、それを持ってのティルヒアまでの高速飛行での往復。
さらに事故の様な状態から入り込んだ魔族軍の構成員が、再度拠点を騒がせたこともあり、集落の奥にある組合拠点は大忙しだった。
急遽取り寄せることになった狙撃型魔法銃に、マスケット型魔法銃の改良パーツなどなど。
それを足で鷲掴みにして運んでいるのは相方たる大きな隼だが、あっちにこっちにと動き回れば、空飛ぶ隼の上でぐったりとしながら愚痴を零した。
その内増員すると言ってたからもうひと踏ん張りだと、珍しく優しい言葉を掛ける隼に、力なく微笑みかける。
「ありがとう~、頑張る」
そして麓近くまで来ると、不意に隼が速度を落とした。
下に誰か居ると、狩人の瞳が草むらに伏せる人影らしきものを見つけ、匂いと気配も重ねて位置を特定していく。
かなり上空からとなるため、リーゼには見えないが、どんな人影?と問いかけると、伏せてるのはわかると曖昧な答だった。
「もしかしてこの間の人のつながりがある人とか? それだったら…攻め込もうとか…っ!?」
そんな不安が込み上がると、アレだけぐったりしていたというのに、体を起こして鞍に掛けたライフルに手を伸ばす。
「私、ちょっと行ってくるね! ザムくんは荷物を皆のところに届けて、この事教えてあげてっ」
わかったと返事が帰ると、上空数百メートルから小さな体を空へ投げ出した。
胸元に宿した契約の紋章が淡い光を放つと、空気の流れを操り、減速しながら茂みの方へと落下していく。
地面到達まで数秒足らず、草地がよく見えるようになったところで地面に突風を叩きつけて勢いを殺し、その余波が周囲に吹き荒れるだろう。
ひらひらとした服装が派手に踊る中、ぽすっと着地すると、ライフルを構えながら茂みにいるという人影を探して視線を右に左にと揺らす。
■クライブ > こんな野ざらしの場所での観察もいい加減に飽き飽きし始めるが仕事だと自分に言い聞かせて投げ出したくなる気持ちを抑える。
数日に渡りこの場所で判りそうな事は判ったはずと場所を移すかと身体を浮かせようと腕に力を込めるが直後に首過ぎにチリっとした感じを覚えより見えない様にと伏せ直す。
「まさかな…だがこの感じはな……」
今まで生き延びれた直感に近い感覚。
これを感じた時は大抵碌な事は起きないと周囲の気配に警戒を飛ばし別の繁みに移るか一度山に駆け込むかと思案する。
気のせいならいいがと考えるが突然に近い上から迫ってくる気配に体を浮かせ。
「ッチ、上だと。どんな馬鹿だ!」
完全に想定していない場所に感じた気配。慌て身を起こして先に目を付けていた身体がぎりぎり隠せる窪みに向け。背後に感じる凄まじく吹き荒れる風を背に窪みにと滑り込む。
「荒事は契約に入ってねぇってんだよ」
相手が同じ間合いならば切り伏せれば済む。だがそうでない場合を考え、聞き手にバスタードソードを、左手に遠征から愛用している小型の魔法銃を持ちそっと相手の姿を伺おうとする。
■リーゼロッテ > 着地し、茂みにいると言われたとおりにあたりを見渡すものの、既に退避している彼の姿を見つけることは出来ず、あの頃と変わらぬ服装で注意深くあたりを見渡す姿が見えるはず。
違うところといえば、ケープに描かれていたティルヒアの紋が無くなっていることだろう。
代わりにチェーンブレイカーの紋が描かれ、腰には以前持っていなかったマスケット拳銃の魔法銃を下げている。
「ザムくん、人なんていないよ?」
お使いを頼まれた子供のような、気の抜けた高い声で隼へと語りかけるも、隼は拠点へと飛翔していっているためひとりごとのように響いてしまう。
よく探せ、確かにいたと言われれば、不機嫌そうに唇を尖らせつつさくさくと草を踏みしめながら辺りを散策し始めた。
(「これで見間違いだったら、後で絶対羽の付け根こしょこしょしちゃんだから」)
などと、隼への仕返しを考えつつも森の中を探る仕事に就きたいと言っていただけあり、風に紛れる様に動き、大きな動きはせずに探り続ける。
後一歩か二歩、前に進むと彼の隠れる窪みの傍に辿り着くだろう。
同時に剣の射程でもあるが、まだその姿を見つけられずにいた。
■クライブ > どうやら場所を移した姿は見られていなかったようだと安堵しそっと様子を伺えば見た事のある服装。
更にと見ればそれを纏う少女にも見覚えがある。
あの戦乱を無事に生き延びていた姿にほっとするが同時に見つかればやばい状況なだけにどうするかと考える。
誰かに話しかけているような様子にもう一人いるのかと考えるが感じ取れる範囲での気配は一人。
恐らくは二手に分かれて探していると考え、少しずつ近づく足音に剣を鞘にとしまう。
「よぅ、リゼ。久しぶりだな、あの戦乱を生き延びてて安心したぜ」
迫りくる気配と足音に息を潜め…剣の間合いに少女が踏み込めば軽く肩を叩く様にして不意打ちのように声をかける。
記憶にある少女なら近接戦は苦手だったはず。どうにでもできると考えて
■リーゼロッテ > さくさくと草を踏みしめながら歩くと、通り過ぎそうになったところで肩を小突く感触。
「ひゃぁっ!?」
そして耳元に響いた声に、驚いた猫のようにビクッと体を跳ね上がらせると、素っ頓狂な悲鳴を上げて勢い良く振り向いた。
聞こえた声と昔の記憶との姿がぴたりと一致する光景に、暫し硬直した後、柔らかな微笑みを浮かべながら彼を見上げる。
「お久しぶりですっ! クライブさんも元気そうでよかったです…!」
あの戦争の時に優しい夜をくれた男性、あれからもう会えないのかなと思っていたのもあって、久々の再開にホンの少しだけ目元が潤んでしまう。
良かったと何度も心の中でつぶやくうちに、はたっとこんなところでの再会の理由が気になっていく。
「でも…何でこんなところに?」
きょとんとした表情に代わりながら彼を見つめる。
ここから見えるのはこちらの集落であり、彼は魔族側につくような感じには思えないかった。
こっちの様子をうかがう理由が皆目検討つかず、軽く首を傾げている。
■クライブ > 「わりぃな。驚かせたか?」
身体を跳ねさせ悲鳴を上げる姿を面白そうに眺め全く悪いと思っていない表情で。
知っている少女だと判ってはいたがこうやって見ればあのころと変わっていないように見える姿に見つかったのがこの少女でよかったと内心安堵する。
「俺は傭兵だぜ。リゼの隊から別に移った後はいくつか点々として敗走して戻ったって訳だ」
一夜を共にししばらくとはいえ行動を共にした戦友のこうやって新たな道を歩んでいる姿を見、こうしてきた以上あの集落の関係者だろうと見る。
「あぁ、なんでかってか?久しぶりにこっちに来たら知らない集落が出来てるからなどんなのか見てたんだよ。やばい場所なら面倒だと思ってな」
まさか王都にいるこの集落をよく思っていない貴族の依頼で来ているなど言えるはずもなく。
それっぽい理由をでっちあげて自分を見る少女の肩にと腕を回して抱き寄せ誤魔化そうとする。
■リーゼロッテ > 「びっくりしました…」
未だに激しい鼓動を打つ心臓、胸元に掌を当てて目を丸くしながら小さく頷く。
彼もどうにか逃げ延びたと知れば、良かったですと呟きつつ安堵の笑みを見せる。
肩に腕を回されても、クスッと微笑みだけでされるがままなのも、優しい人だと心をゆるしているから。
「えっと…ドラゴンフィートの事ですか? ちょっと変わってますけどいい場所ですよ。私はそこで魔法銃の先生とか、お庭いじりとか…色々してるんです」
たまに戦うこともありますけどと、苦笑いで困った様に呟きながらも、腕の中で彼の方へと向き直る。
「良かったらご案内しましょうか? その、奥の部分は入っちゃダメなんですけど、そこ以外なら色々ご案内できますから」
奥にある拠点部分は関係者だけの立ち入り区域、おまけに今は慌ただしくて、とても見学者を通せる状態ではないのを知っていた。
だから奥以外と限定しながらも、どうかなと思いながらこてりと首を傾ける。
■クライブ > 「リゼは油断し過ぎだぜ。もし俺じゃなかったら今頃どうかなってたぞ。そんなに無警戒なら食われちまうぜ?」
目を丸くする少女に冗談を交えながらあの頃と同じようい笑いかけ。
安堵の笑みを見せる姿に騙している罪悪感を覚えるが腕を肩に回してなされるがままの少女を軽く撫でる。
「そういう名前なのか。ま、変わってんのは見て何となくな。他と違って自由そうでいい場所だよな。先生に庭いじりか、そっちの方がリゼによく似合ってるよな、ほんとによ」
あの時も戦いが似合うとは思えなかった少女がまだ戦っている事に複雑そうな顔で苦笑いを、向き直る少女を見下ろし。
「案内をしてくれるなら大助かりだな。ん、その奥はなんかあるのか?」
その入れない奥がこの集落の中心部かと覚えながら、案内をしてくれるという少女に頼むと頭を軽く下げる。
詳しい人物に聞けば遠目に見るよりもよりわかると考えもして。
■リーゼロッテ > 「そ、その時はちゃんとどうにかするから…大丈夫ですっ」
油断しすぎという言葉には否定する言葉も浮かばず、子供のような反論を紡ぐものの、撫でる掌の感触に安堵して目を細めるたりと、あの夜から変わりないような反応を見せる。
「はい、竜の足元って意味らしいです。 ふふっ、ここの組合長さんがミレーの人を自由にさせたいって、戦争の時から頑張って、ここを作ったんです」
それから参謀さんが自分を連れて、ここへと導いてくれた。
国を渡る時に少しだけ恥ずかしい思い出も出来てしまったものの、嫌なことではない。
そんな昔話を脳裏で巡らせながら、その時に贈られた銃のグリップを軽く撫でる。
「皆同い年の娘とか、お姉さんとか…男の人もいても、悪い人なんていないから、凄く楽しいです」
こくこくと頷けば、続く言葉に少しだけ顔色が曇る。
それこそ、ここに急に飛び降りてきた事に関わりがあるからで、少しだけ視線を彷徨わせてから、彼へと視線を戻す。
「ドラゴンフィートを管理している、民間軍事組合の拠点があるんです。チェーンブレイカーっていうところなんですけど、今、色々忙しくて…。クライブさんのところに飛んできたのも、魔族の人が探りに来たかもって、心配してなんです」
ここから集落までならそれほど遠くない、山道に抜けて少し歩けば街道に抜け、正面ゲートが直ぐ側だ。
行きましょうかと、行く先を指し示しながら、詳しい話は道中に語るつもりなのだろう。
■クライブ > 「本当にか?今から実践させたく見たくなるな」
子供のような反論を楽し気に聞きながら優しく髪を梳くように撫でる。
「ここが九頭龍山脈だから竜の足元か。確かにぴったりの名前だな。ミレー族を自由にか。あいつらは良い奴らが多いからな、こうやって自由に暮らせる場所だと集まってくるだろ?」
それでここを危険視している訳かと依頼の内容に納得し。
その組合長という人物の話をしていなかった貴族に内心で毒を吐く。
「参謀や部下以外にも多く知り合いが出来たって訳か。リゼはここでようやく年ごろの楽しみが出来るようになったんだな」
楽しげに話し今を満喫している姿を見下ろし、顔色が曇った事に疑われたかと一瞬身を固くするがその様子はなく力を抜く。
視線を彷徨わせて戻す少女を安心させるように笑い。
「なるほどな。そりゃ案内できねぇわな。俺みたいな他所もんを連れて行ったら大問題だな。魔族?もし見かけてりゃリゼが来る前に俺が殺ってるぜ、あいつらはいい稼ぎ相手だしな」
魔族まで来ているのかと警戒レベルを上げ、少女に示されると頷き足を進める。
道中に詳しい話を聞きながら集落や今までの事を尋ねながらに
■リーゼロッテ > 「うぅ、そんなこと言うとザムくん呼んじゃいますよっ、絶対驚きますから…っ!」
ムスッとしながら子供っぽい脅し文句を紡ぎつつ、ゆっくりと歩き始める。
続く言葉には小さく頷き、嬉しそうに微笑み返す。
「沢山きてくれました、移動できないってミレーの人達とはお約束をしてるんです。立場上、奴隷って言っちゃうんですけど…農作物をちゃんと買い取って、お店に出すって」
点在する隠れ里で、見つけて手を組めた里とはそんな契約を結びながら互いに利益を取り合う仲。
たまに首輪をつけているミレー族が集落内にいたのも、理解のない者達から彼らを守るためのフェイクというもの。
そんな話をしつつ、年頃の楽しみと言われれば、出来てますと微笑んで頷いていた。
「そ、そんなことないですよっ! 私、もしクライブさんと会えたら来て欲しいってお願いしようと…」
と言いかけて、ぁ と間抜けた声の後、頬を赤らめながら掌を口元に当ててそっぽを向いた。
いきなり急過ぎる話を切り出してしまったと、恥ずかしさが込み上げてしまう。
「ぁ、あはは…それなら、良かったです…。でも来た人って魔族じゃなくて人間なんです。魔族の軍勢に入った人だって……でも参謀さんが言うには、多分攻め込んでくるとかはないんじゃないかなっていうんです。ここを落とすにしても砦があるしと」
何時も取って取られてを繰り返すタナール砦を抜けて辿り着くのがここになるけれど、砦が奪還されると挟み撃ちに合う。
意外と落としづらい環境にあるのだと、暗に伝えながらも歩いて行くと、正面ゲートが見えてくるだろう。
見張り台には魔法銃を持った歩哨、ゲートの左右には整った装備に身を包んだ門番の姿もある。
宿を求めて山から降ってきた人達に何かを語りかけては中へと招き入れているのが見えるはず。
■クライブ > 「ザム君?それが今のリゼの相棒か?驚くっていうからには…リゼの男か何かか?」
なりゆきとは言え魔王とまで戦ってしまった身。
草々な事では驚かないと脅し文句に楽しそうに笑い歩幅を合わせて歩く。
「あぁ、里から離れられねぇ奴らもいるしな。そうやってやっとけば馬鹿どもの奴隷狩り対策にもなるって訳か」
目先しか見えない貴族共には浮かばない方法だと集落が行っているミレー族との契約に驚きを見せ。
集落に見えた首輪があるなしの理由にも納得をする。
少女の微笑みにやっぱ少女のような年の娘には戦場は似合わないと、見ているだけで癒される様な感じを覚えて。
「俺にも…?それは俺が欲しいって事か?俺を雇うのは高いぜ?」
リゼなら格安でいいけどな、頬を赤らめてそっぽを向く少女に囁くように告げ。
この空気を壊す様に軽く少女の尻を撫でようとする。
「そりゃ魔族と人間が組んだって事かよ。例がないとは言えそういう奴らは見分けが難しいからな。あの参謀がいうならそうだろうが…人間の敵は魔族だけって訳でもねえぞ?」
砦があるだけにここまで到達する前に騎士団が追い返すだろうがこの集落をよく思わない人間も王国にはいるだろう。
そう言う者たちの対策はあえて聞きはしないが自分の様に雇われて情報を集めている者もいるという事を分かっているのかと心配にもなる。
やがてゲートが見えてくれば思っていた以上にきっちりといる門番が目につく。
「武器は預けとく方がいいか?」
自分は旅人ではなく傭兵。もし武器を預けるのであれば知らない相手よりも知った少女の方が安心できると告げて。
少
■リーゼロッテ > 「相棒…みたいな感じでしょうか。ち、違いますっ、男の子ですけど、人じゃなくて鳥さんです」
楽しそうに笑う彼とリーゼの頭上から月光を遮るようにして大きな影が飛び去っていく。
見上げれば広げた翼で横幅10mはあろう大きな隼が、飛び去り、集落の奥の方へと飛んで行く。
あんな感じですと、何処か満足気な様子で小さな胸を張って見せた。
「そういう事です、文句を言われても、買い取った奴隷をどうしようとこっちの勝手ですって言えますから」
買い取った奴隷のすべてを得るなら、まっとうに生かすも自由と逆手に取った考え。
山で作ったお野菜って美味しんですよ なんて他愛もない事を喋りながら歳相応に無邪気に微笑んでいた。
「その…クライブさんなら、お金だけとか、悪いこと放置とか…そういうこと、ないかな…んくっ!?」
臀部をなで上げる刺激にぞぞっと甘い痺れが走ると、くぐもった声を上げながら尻を隠すように両手を臀部にぐっと押し当てていく。
恨めしそうに真っ赤になった表情で彼を見上げて、何するんですかと抗議の声を上げた。
「えぇ…取り敢えず怪しい人は一旦捕まえなさいってなってるんです。魔族以外ですか、一番怖いのはここをくれるのに手を貸してくれた人達って言ってましたけど…同じ王国軍ですから、余程のことがないとぶつかったりはしないのかなって」
国の軍務を請け負い、土地を得て自由をつくる。
身内のやってることとなると貴族が気に食わないと潰すには、色々と鎖があって面倒な場所だろう。
叩いて埃でも出れば、それを口実に潰せると考えるにしても、やろうとしていることが善ばかりで埃も出なければ、腹も立つことだろう。
そんな事情はリーゼは分かっていないらしく、難しいですねぇなんてしみじみと呟いて困った様に笑っている。
「ぁ、多分大丈夫ですよ?」
そうこうしているうちにゲートに辿り着くと、門番と一言二言喋ってから、門番の一人が彼に近づく。
武器は取り上げないものの、代わりにこんな説明を彼に語っていく。
理由もなく武器を使わないこと、王国軍第9師団 副将軍の私有地であり、副将軍以外の存在は全て平等な存在となっているので種族差別などによる暴行や危害は許されない。
それを厳守することだけが、入ることの条件であり、治安を守る鍵ともなって平穏を作っていた。
■クライブ > 「人じゃなくて鳥か。リゼに良いのが出来てるなら祝福をしてやろうって持ってたからな。流石にその程度じゃ驚かねぇよ」
まさかその相棒が10mある大きな隼だとは考えもせず、頭上を飛んでいく影に気が付けばそれを視線で追いかける。
「逆に言えば買い取った奴隷にちょっかいを出されたら集落的には報復する権利を得るって訳か」
確かに真っ当で自由な権利だと納得し、予想以上にしっかりとしているルールに舌を巻く。
山産の野菜が美味しいなど他愛のない事を話す姿は無邪気で可愛く手を出してしまいそうになるのを堪えるのに苦労し。
「そりゃ契約は守るのは信条だからな。雇われてる間はきっちりとするぜ。こっちも経験してるみてぇだな」
声をあげ尻を隠すようにする姿を面白そうに見下ろし。
真っ赤な顔で恨めしそうに見上げる視線も何のその。抗議には食いたくなったなどと冗談のように口にしたりして。
「それを言えば俺は怪しさしかねぇだろ。このなりだぜ?……リゼ、あの戦争で人の汚さは見ただろ?正面切ってはなくてもな、裏から仕掛けてくるってあるんだぜ?」
ミレー族を奴隷として扱う国としては表向きはそうだとしても実際は公平に扱うこの場をよく思わない者。雇い主を含めて多いのは雇われた自分がよく知る事。
もし叩く隙を見かれば大変な事になる事を分かっていない様子に思わずため息を隠せず。
「そうか?それなら安心だが……次は俺か」
話している間に自分の番が来たのか寄ってくる門番。
説明を聞けば相槌を打ってた頷き、ここでのルールを守る事を告げるが…
説明が終わった最後に門番にここでは女を買えるのかと聞く当たり女好きは変わっていないと解るだろう。
■リーゼロッテ > 「むぅっ…ぁ、でも…恋人は出来ましたよ?」
それほど驚く様子がないと悔しそうな声を溢すものの、良い人はできていると報告する。
集落の人や組合の人には、それが幸せならと受け止められたものの、彼はどうだろうかと思うと、しどろもどろになってしまう。
「そういう事です、でもちょっと前まで見境ない人達がいたから…困っちゃいましたけど」
殺戮と蹂躙で踏み潰された里もあり、悲しげに目を伏せる。
臀部を撫でられ、そんな暗い雰囲気も消えてしまうが、食いたくなったと言われれば相変わらずに羞恥は強く一気に頬を赤らめて、ぷいっとそっぽを向いた。
「だ、だめです…っ、あの時は…その、そうしないと…で、でしたから…っ!」
陵辱の果てに初めてを失うのは嫌だからと、優しくしてくれた彼に捧げてしまった。
あの時とは違い、いまはそんな理由はないのだからと恥じらいながら否定をするも、あの夜の記憶が蘇って心臓の高鳴りが収まりそうにない。
「クライブさんは私が知ってますし、参謀さんも知ってる方ですから…。それは…知ってますけど…」
その辺の大局は見えていないようだが、怪しい者は一度捕縛したり、この厳重な守り自体は彼が言う汚い手段も分かってのことだろう。
知らない分、こうして子供っぽくいられるのも、ここの恩恵かもしれないけれど。
「なっ、い、いきなり何聞いてるんですかっ」
彼の質問に隣で再び赤くなるリーゼに比べ、門番の男は楽しげにケラケラと笑っていた。
娼婦宿は観光地区にあるから安心してくれと、宿並びの方角を指差す。
見た目も身なりも綺麗だし、部屋も衛生も全てしっかりしてるが…綺麗な分王都に比べると割高かもしれないと、苦笑いをするも、値段にあった女はいると答える。
「変なこと聞かないでいきますよっ!」
隣りにいるこっちが恥ずかしくなる心地で、いこうと急かすようにゲートの向こうへと抜けて彼へと振り返った。