2015/12/03 のログ
ご案内:「野原」にロマナさんが現れました。
ロマナ > これから始まるのは、アダンに捕らわれなかったら、というもう一つの物語

草原の中、一本の野草と分厚い図鑑を何度も見比べている少女がいた。

「うーーーーーーん、これ、であってるのかなあ……」

少女の家は小さな治療所を開いており、医師である母からの使いで薬草を摘みに来ていた所である。
まだまだ知識は未熟なようで、見ている草は、頼まれた薬草と似てはいるがただの雑草だ。

ご案内:「野原」にラバンさんが現れました。
ご案内:「野原」からラバンさんが去りました。
ご案内:「野原」にラバンさんが現れました。
ラバン > 何を待っていたわけでもない。
ただ暇を持て余し、適当にぶらついていた男が偶然、野原で何やらガサゴソと探し物をしている小さな人影を見つけただけの話だ。

亜麻色というのだろうか、癖のある髪を二つに結んで、民族衣装らしいコートをすっぽりかぶった幼い女の子が
体格と比べたら大きな本と草を見比べている。
あたりに人影は無く、暇つぶしには絶好の玩具のようだ。
口角の端を吊り上げて悪く笑うと、雑草を踏み分けて背後から近寄っていく。

「ほぉー薬草探しかい。小さいのに感心だなあ」

ひょいと背後から本を取り上げると、そこに乗っている絵と幼女が見ていた草を見比べる

「似てるが違うな。そりゃ雑草だぜ?ただの草だ。おっと怪しいもんじゃないぜ。ただの通りすがりさ」

両手を上げ、敵意がない事をアピール。
ほらよ。と本を返し、善人そうな顔を作って見せる。
その間も、目は目の前の幼女の体つきや、体格などを、コートを見透かすように観察している」

「おれはラバンだ。お嬢ちゃんはなんてーの?ん?名前だよ名前」

ロマナ > 小動物。その少女の様子をこれ以上ないほどによく表した単語だ。
男の一声と共に悲鳴のような短い呻きを発した途端、脱兎のごとくその場を去ろうとしたのだ。
だが、運動性能まで小動物と同じとは行かないようで、大きく足を滑らせてすっ転んでしまった。

「ひゃ、ひゃぃっ、ぁ、ありがとっ、ござます!!」

男に敵意があろうとなかろうとロマナには関係がなかった。
人間、そして男であるという時点でロマナには十分恐怖の対象なのだ。
治療所では受診に来た男性にすらびくつくほどであり、母親にたしなめられることもままあった程。
当然顔も見ようとしないので、男の視線が劣情を帯びている事にも気づかず、そもそういった知識もまるでなかった。

「え。えと、えとえと……!! その、あ、う……ろ、まな……です……」

言葉の端に行くに従ってトーンが下がっていく。