2015/11/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 倉庫街」にエレミヤさんが現れました。
■エレミヤ > 騒々しい通りから逸れ、幾分か静かな路地へと一人逃げ込んだ少女。
背中に携えていた杖を抱えながら、物影に隠れるようにして息を潜める。
(ううう…何でこんな事に…。)
何で、と言われれは不運だったとしか言い様がないのだろう。
仲間達の後について通りを進んでいた筈が、いつの間にやら一人はぐれた上に酔いどれに絡まれた。
良い様にあしらえば良かったのだろうが、少女にそんな話術は無く、ああだこうだと言っている内に追いかけられて今はここでひっそりと己の身に降りかかった不幸が通り過ぎるのを待つのみ、と言った所だ。
服装やら持ち物は目立つが、暗がりに隠れてしまえば見つかりにくいだろう、そう考えて。
ご案内:「港湾都市ダイラス 倉庫街」にシドさんが現れました。
■シド > 大通りを歩んでいると、微かな喧騒が耳に届いた。普段ならば酔っぱらいの喧嘩と気にも止めないだろう。
広大な大通りの、その喧騒溢れる中でも凛、と耳朶の銀細工を震わすかの、第六感にも近しいものだった。
外套を翻すと鬱蒼とせし路地裏に、大股に歩んでゆく。
走りゆく酩酊した男たちが肩をぶつけるのに葡萄色の眸が横目で捉えながら。
やがて微かに何かの気配が感じる所へと歩み行けば、埃はびこる木箱にと肘を預けて見渡していく。
「誰か。いるのかい? ……物騒な奴らなら。今、向こうに消えていったが。」
夜目利くものでなし。周囲をくぅるりと巡らす相貌は朽ちかけた資材から砕けた硝子の破片まで。
周囲に見渡しながら語りかけていく。
■エレミヤ > しゃがみ込んで息を潜め、それでも足りずに声が出ないようにと自分の口を覆い隠す。
震える身体を何とかこの場に留め置こうと必死に堪えていた矢先、不意に掛けられた声にびくりと肩が跳ねる。
幾度か、細く長い息を繰り返した後、そろりと通路に置かれている大きな木箱の向こう側から顔を覗かせ。
「ほ、本当…ですか…?」
怯みきった声音は隠そうとしても言葉尻が震えて。
■シド > 「ああ。そんな所に居たのか……。」
肘を預けた木箱の隣から出す顔へと硬質な足音を立てて歩み寄っていく。
そしてその小柄な見目を検分せんと片方の膝に手を宛がう様に、前傾姿勢。もう片方の手で肩から滑る銀髪を纏め持ち乍。
葡萄色の輝きはじっと、少女の顔を伺っていた。
「ふぅん。賞金首でも無さそうだし。悪い奴らに追われてこんな汚い場所に追い込まれたって感じかな。
大丈夫。立てるかい?」
■エレミヤ > 木箱から覗き込んだ向う側には、先まで少女を追いかけてきていた酔いどれの姿は無いようだ。
きょろきょろと忙しなく周囲を窺い見ている内、近付く足音にまた肩が跳ねた。
然し、上手く足に力が入らず脱兎を決め込む事も出来ず、身を強張らせた儘互いの距離が縮まるのをただ受け入れて。
「…っ、あ、え、いえ、あの、…っ、は、はい―――…!」
しどろもどろ。だが、相手の推測は完答である。
矢継ぎ早に無意味な音を繰りながらも、青年の問いに小さく頭を上下に揺らしながら勢い良く立ち上がろうと――して、がく、と膝から力が抜けた。
先まで追いかけられていた恐怖からか、同じ姿勢で居すぎたからか、上手く力が入らなかったようだ。
ぐらり、少女の身体が僅かに傾ぐ。
■シド > 「おやおや。 …見だだけで逃げだすほど、私は酷い顔はしていないと思うのだけれど…。 それとも、知らない間に、
男性の顔に対する美的基準が、変わったのだろうか?」
相好を、よく言えば慎ましく―――悪く言えば落ち着きが無い、その少女が詞為らぬ戸惑いと、矮小な動物の如く身を跳ねる様子へと。
態とらしく拗ねた風に詞綴る表情は、意地悪く眸を細めて見守るのみ。
されどその均衡が崩れるには流石に慌てて腰をあげ。少女の顔を胸板で支えるように抱きかかえて立ち上がらせてゆく。
「どう?少しはこれで落ち着いたかい?」
嫌がらぬならその背筋を緩く撫でて落ち着くのを纏う。詞は謳うように低く静かに告げられる。
■エレミヤ > そんな事はない、と答えようとした矢先に頽れた膝に地面へと顔面から飛び込む覚悟をしてきつく双眸を閉じる。
が、頬を打ったのは固い地面等では無かった。
明らかに異なる衝撃と感触に恐る恐る目を開き――
「――――あっあああああのっ、す、すみま、すみません…っ!」
自分が突っ込んだのが青年の胸板だと気付くや否や、ぶわ、と羞恥に熱の昇る顔。
彼の流れる様な挙動や、心地よく感じられる声音が一層少女の気恥ずかしさを煽っていた。
暫し、恥じ入るように顔を伏せていたものの、背を撫でる手に少しずつ落ち着きを取り戻し始めれば未だ熱の引かぬ顔をゆっくりと持ち上げ、
「あ、あの…お手数をおかけしてしまい、すみませんでした…。」
酷く申し訳なさそうな表情と共、再び垂れる少女の頭。
■シド > 「どどどどど、どういたしまして。」
少女の口調を真似て吃る返答を。少女が頭を下げるのに腕の抱擁を緩めてゆく。が、その掌は未だにシスター服の稜線に指を滑らせて。
眸は不躾にも薄闇にも映える真っ赤な丹い熟れ顔をじっと眺めては、仔細な皺を衣服に広げていく。
「それで。どうしたんだい?ただごとじゃあ、無かったみたいだが。」
眦下げる眸は真面目にも頭を下げるその人へ。囁き終わりにその胸元を軽く突く戯れをしてから漸く手を離して。
腕を折り曲げて返礼をした。
■エレミヤ > 自身の吃りを真似られれば、困ったように眉根を寄せはしたものの、怒るでもなく小さな呻き声を上げるのみ。遠慮なく注がれる視線は気にした様子は無いようだ。
それから、掛けられる問いに気まずそうに視線を彷徨わせ。
「ええっと…運悪くほろ酔い気分の方とちょっとお話をしたと言いますか…その…。」
手に持っていた杖を背へと戻しながら曖昧な笑みを浮かべて語る少女。
大分マイルドな表現をしたが、有り体に言えば酔っ払いに難癖つけられて追っかけ回された、と言う物だった。
■シド > 落ち着きが戻るならもう揶揄は出ない。内ビルを引き絞り頬を緩める微笑みは其の儘。
腕を組みて清聴する。
「お話ね。きっと物騒なお話だったに違いない……ま、逃げられて良かったな。酔っぱらいの頭は明日には君のことを忘れてるだろう。」
皆まで聞かずとも察しは着く。
視線は相手の相貌から装飾へ……背に抱える杖を定めてゆく。
「若い神官様か……または魔法使い。その杖でガツンとやっつけられなかったのかい?殴打するでも魔法を使ってもさ。」
ゆっくりと相手の周りを巡りゆく。自衛するには小柄な体なれど。抱えた杖に何か惹かれたのか。
輪を描くような歩みは相手の背後に止まる。