2023/07/27 のログ
■セレンルーナ > 「仲は良いんだけど…ちょっと歳が離れてるせいか、過保護なところがあるかな…。
いや、分かるんだけど…不出来な妹を持つと苦労するっていうのも…。
早く嫁の貰い手みつけろという言い分も…、分かるけど…なんというか…ね…。
おほん、この話はやめておこう。折角の美味しい料理の前なんだから。」
ジャミルも見たであろう、遠い目をした表情。
そう、兄の言い分も理解はしているのだと言いつつも、プルプルとグラスを持つ手を震わせて、俯いた唇から心からの訴えが漏れ出てしまう。
しかし、顔を上げたらスンとして気持ちを切り替えていこう。
くいーっとグラスを傾けて、華やかなお酒を流し込んでいく。
そうしていれば、前菜が届いてお腹の虫の音が聞こえるのにどこか既視感を覚える。
「ふっ…ふふ…。そうだね、食べよう食べよう。」
騒ぎ出した虫に、お小言の思い出も吹き飛んだように吹き出して、くすくすと笑い。
律儀に、食事前の祈りを捧げる様子も、学院で出会った少女とかぶるところがある。
意外にも箸が使えるようで、たどたどしくも取り皿へと棒々鶏を移していくのを眺めて、自分もスプーンではなくお箸を使ってみるかと手に持っていく。
「ん…やっぱりお箸っていうのは、使いづらいかな。」
クラゲの和え物をお箸で取ろうとしてみるが、選んだ対象が悪かったか。
つるつると滑って取りづらい。
その間にサウロが棒々鶏を口に入れれば、ぱあっと表情が輝いていくのが見えた。
「ふふっ、気に入ってくれたなら良かった。そういえばサウロって、妹さんとかいるのかな?」
お箸で取るのを諦めて、スプーンでクラゲの和え物を掬いぱくっと食べていく。
コリコリとした食感は、ほかでは味わえないような食感だろう。
甘酸っぱく、ごま油と唐辛子が効いているのもいい。
前菜を食べ勧めていれば、次々とメインが運ばれてくる。
パリパリの飴色になったアヒルと、胡瓜やネギと甘辛い味噌だれ。それらを包むための皮。
牡蠣の油炒め、フカヒレの姿煮、トンローポーに麻婆豆腐、水餃子に小龍包と、ぞくぞくとターンテーブルの上に並んでいくだろう。
それと一緒に瓶に入った紹興酒も運ばれてくる。
こちらも、上品な小さめのグラスへと注がれて変わった香りを放っている。
■サウロ > 「年の離れた弟妹には過保護になる気持ちわかるなあ」
(孤児院育ち故に、10歳ぐらいだったサウロから見てもあうあうだあだあしていた赤子の弟妹は可愛くて仕方なかった。
不出来な妹だなんて思ってなさそうな気もするけれど、貴族社会のことは分からないので、
スンとした表情に切り替わる様子にふふ、とおかしそうに笑みを零して。
しかし腹の虫の声が聞かれていたようで、笑う彼女に少しばかり恥ずかしそうに腹を撫でて収めようとしていた。
昼を抜いたせいで空腹が限界らしい、素直な虫である。
以前もこんなことあったな、と思いながら、彼女も箸を使うのを見ながら、
二本の棒で物を掴んで食べるというのがこんなにも難しいとはと思うばかりである。)
「これを日常的に使ってるなんて、帝国人は手先が器用ですね……」
(クラゲの和え物に苦戦する様子を見ながらも、あっさりとした蒸し鶏に絡まるタレの深いコクに感動している。
食べ慣れない味ではあるものの、舌に残って美味しい。
甘味と辛味の刺激を堪能していれば、妹、と尋ねられて軽く首を傾げて。)
「妹ですか? ……いるといえばいる、んですけど。
孤児院育ちなので、そこで一緒に育った弟妹は、何人かいます」
(一緒に育った子たちであれば弟妹ではあるけえど、どうしたのだろうかと首を傾げつつ、他の前菜にも手を伸ばす。
野菜とドレッシングのかけられたヌードル状のサラダ。つるりとした触感とシャキシャキとした野菜の触感を楽しみ。
クラゲには真顔になりながらも、息を吸って、食べる。コリコリした触感にしばらく目を瞑っていたが。
美味しかったのかすぐにぱっと表情が明るくなって彼女を見た。美味しい、と目が伝えている。
次々運ばれてくるメインの料理を見ればまた、目が輝く。
どんとおかれる湯気と食欲をそそる刺激的な香り。豪勢にターンテーブルの上に並べられる品々。
こんな贅沢してもいいのかと、一人では食べきれない量を見ながら感動している。)
「…こんなにたくさんのシェンヤン料理を食べられるなんて…!
ありがとう、セレンルーナさん、すごく嬉しいです…!」
(一人では到底これなかった場所だ、だからこそお礼にと連れてきてもらえたことに最大級の感謝を興奮気味に伝えて、
子供みたいな少し幼さの見える無邪気な笑顔を浮かべて見せて。
料理を器に取るための蓮華もあり、深めのお皿に気になるものから移していこう。)
■セレンルーナ > 「そういうものなのかな。」
兄の気持ちが分かる様子のサウロに、うーんと首を傾けて。
「本当、器用だよね。クラゲとか、つるつるで掴める気がしないかな…。」
何回かトライしたものの、掴めずに断念してスプーンで掬ってコリコリ食べていく。
「孤児院かぁ…じゃあ、血は繋がってない感じかな?
…あー、でも一緒に育ったら似てくるっていうから血の繋がりは関係ないのかな。
サウロと同じ髪色で、瞳の色も碧い10代半ばくらいの妹さんとかっているかな?」
首をかしげるのに、セレンルーナも他の前菜に手をつけながら、えらく具体的な人物像を問いかけていくだろう。
クラゲはサウロにとっては未知の料理故、意を決して食べていく姿を微笑ましく見守って。
そうしれいれば、ぱっと表情が明るくなるのを見れば、美味しいと伝える目を和ませた目で見返して。
「コリコリして、甘酸っぱくて美味しいよね。食感がクセになるというか。」
うんうん、と楽しく前菜を食べ進めていればメインの料理が続々と運ばれてくる。
キラキラと感動に輝く瞳は、やはり既視感があった。
「ふふ、喜んでもらえると連れてきた甲斐があるかな。
あ、食べる前に二つだけ条件が。敬語なし、名前はセレンと呼ぶこと。
サウロは私の恩人なわけだし、ジャミルもそうしてるからね。」
こんなに感動を表してもらえると、こちらまで嬉しくなる。
にこにこしながら言葉を聞いていたが、ふと彼の言葉を聞いていて思いついた。
ぴっと人差し指をたてると、そう条件をつけていく。
じゃないと料理はお預けでーす、と冗談めかしてウインクして。
「この料理は、こうやってアヒルの皮と身の部分、胡瓜とネギを皮の上に乗せて、この茶色いタレをつけて巻いて食べるんだよ。
油っぽい料理が多いから、この紹興酒がよく合うかな。」
彼が条件を受け入れてくれたなら、メインも食べ進めることになるだろう。
ちょっと食べ方がわからないであろう、アヒル料理の食べ方を説明して、包んだものをぱくっと口にいれれば皮がパリっとしていて、身がじゅわっと旨みが溢れてくる。
胡瓜とネギがしつこさを消して、甘辛い味噌だれがまろやかにしていく。
■サウロ > (彼女の兄の気持ち全てを理解できるわけではないが、兄という立場であれば弟妹を守りたくなる気持ちはよくわかる。
クラゲの味をしっかりと味わっている時に、これがあの海辺に打ち上げられているものだとはと感慨深くなる。
そんな中で告げられたやけに具体的な容姿に、首を傾げて。)
「僕と同じ髪色と目の、十代半ばの……妹、」
(孤児院を出る前の十年前のことを思い出してそんな子いたかな、と思っていたが、
顔を上げた先にある鏡に映る自分の顔を見て、ぴた、と固まる。
思い当たる節が一点。しかしそれは妹ではなくてサウロ自身なのだが。
口の中で咀嚼しながら少しばかり思案する。いやまさかどうして急にそんな、と。
そんな中で届いた料理に目を輝かせていたら、食べる前に条件を出された。
敬語なしで愛称で呼ぶこと。その条件を呑まねばこの料理がおあずけになる。
貴族の女性をそのように気軽に呼ぶなんてことは……!と少しばかり葛藤するのは真面目過ぎる性格ゆえか。)
「~~~……わかった、セレン……さん。
ジャミルと一緒にされてしまうと本当にあいつは礼儀がなっていなくて申し訳ないのだけど」
(誰に対してもあの態度を崩さない相棒を思うと頭が痛くなるが。
彼女がそれでいいというのであれば、そうするほかない。
目の前の料理を人質ならぬ飯質に取られてしまっては、サウロに選択肢はなかった。
この大きなアヒルの食べ方を指南してくれることが許可でもあったか。
同じように見様見真似で、薄い皮生地にパリパリの皮と身と、ネギやキュウリを乗せて、たれをつけてクルリと巻く。
そのまま食べる様子まで見れば、同じように口を開けて頬張る。
油のよく絡んだ皮と身の触感、濃厚なみそだれが味を引き立てて、噛むほどに口の中で広がる旨味に目を瞠って。)
「……っ! ん、ん、……食べ方も面白いしすごくおいしい…!」
(シェンヤンは大勢の人でたくさんの料理をシェアする風習があるのだろう、
だからこういう料理が発展してきたのかもしれないとしみじみ実感する。)
ご案内:「龍輝閣」からサウロさんが去りました。
ご案内:「龍輝閣」からセレンルーナさんが去りました。