2023/07/15 のログ
ご案内:「王都近郊の森」にセレンルーナさんが現れました。
■セレンルーナ > 昼下がり、王都の門を潜って馬が一頭街道へと走り出ていく。
長い銀髪を風に揺らしながら、街道を少し走り曲がり道を右へと向かっていく。
今日も相変わらず、空は晴れ渡り太陽がこれでもかというくらいに照りつけていた。
馬が駆ける事で浴びる風も、熱を孕んでいてじっとりと汗が滲む。
カカッカカッと軽快な駈歩の音を響かせながら、進んでいけば小規模な森が見えてくるだろう。
枝打ちなどの手入れがされており、王都の民が憩いの場として利用している事も多い森である。
森の中へと入れば、多少日差しがマシになって吹き付ける風の熱が和らいでいく。
駈歩から並足へと馬の速度を落として、騎乗したまま森の中の小道を進んでいけば少し奥まった場所に小川が見えてくる。
以前も訪れたことのある小川を視界に入れると、セレンルーナは馬から飛び降りて手綱を引いて小川の上流へと足を向ける。
奥まっている故に、あまり人が立ち入らないのか少しだけ木々の小枝が多くなっていくが特に問題はなく、サクサクと若草を踏みしめて歩いていく。
「んっ…んーーーっ」
だいたいこの辺かと、目的の場所へと着けばそのまま一度大きく伸びをして。
こき、こきっと首を左右に傾けていく。
「…っはぁ……。」
伸びをする間詰めていた息を、吐き出すと体の力を抜いて改めて小川へと視線を向ければ、サラサラと涼しげな水音と光を反射する水面にセレンルーナは目を細めた。
「暑い中ご苦労様かな。」
暑い中を走ってくれた馬の鼻筋を撫でていたわると、手近な枝に手綱を結んである程度馬が自由にできるようにする。
「はー…やっぱり森の中は街の中より涼しい…。いい場所を見つけられたかな。」
以前も来た小川の上流は、水の流れと木陰のおかげで街中に比べると随分と涼しい。
レイピアを腰から外し乗馬用の上着を脱ぐと、ラフなブラウス姿になり以前と同じようにブーツや靴下を脱いでパンツの裾を捲くりあげていく。
「ふぅ…水も相変わらず冷たくて気持ちいい…。」
パシャンと川辺に座って、水の中に足を入れると九頭竜山脈から流れ込む雪解け水の小川はひんやりとしていて表情が思わず緩むというもの。
■セレンルーナ > ポケットからハンカチを取り出すと、冷たい水に浸して軽く絞ってから顔を拭い、第一ボタンを外して首筋や鎖骨の辺りまで拭っていけば、それだけですっと涼感が増す。
「子供の時みたいに、全身ずぶ濡れになりながら水遊びしたら気持ちいいだろうな…。まあ、さすがにこの年になっては憚られるかな…。」
濡らしたハンカチで顔や首を拭いているだけでも、淑女のやることではないと兄に怒られそうだが…残念ながら淑女ではないのだ。
人の目がなければ、演じる必要も取り繕う必要もないから気楽なもので、もう一度伸びをするとそのまま後ろへと倒れ込んでいった。
それでも、柔草のクッションが背中を受け止めてくれるため、痛くはない。
長い銀糸を緑の上に散らばせながら、木漏れ日をグリーンブルーの瞳で見上げる。
「…………。」
ふー…と大きな吐息に、形のよい双丘を上下させてキラキラと不規則に光を変化させ、緑の万華鏡のような木漏れ日をぼーっと眺めていく憩いの時間。
体を横たえると、どっと疲労感が押し寄せてくる。
体も疲労が溜まっているのだろう。
今日のところも当直明けという事もあり、寝不足だ。
騎士団と監査官の二足の草鞋を履く毎日は、充実しているといえば聞こえはいいが多忙すぎてあっという間に一日が終わる。
寧ろ、一日が足りない…。
「もう少し、要領よくできればいいんだろうけど……。」
気になったらとことんやらねばならぬというのも、性分だ…。
騎士団のほうでは、サボっているふりをしているものの、それはそれで別の気疲れが起きてくる。
とりあえずは、無理矢理にでもこうやってリフレッシュする時間を作らなければ、自己管理もできないと以前見つけた穴場に再びやってきたわけだが…。
やってきて正解だったようだ。
サワサワと吹く風に、木々がざわめき草花が揺れる音に耳を傾けて、鳥の囀りと小川のせせらぎを聴く。
とても心地いい、とゆっくりと瞳を閉じて。
ご案内:「王都近郊の森」にファルスィークさんが現れました。
■ファルスィーク > 快晴である青空は気温が高く無ければさぞかし心地の良い天気と言えただろう。
それでも森の中に入れば幾分か涼しくはある。
加えて川があれば涼を取るには最適とも言えるか。
時折、聞こえてくる鳥の鳴き声も木々や土の香りも、リラックスするには丁度いい。
「…こういう場所に来ると、街の空気が悪い事に気付かされるな」
王都は活気はあるが、同等の陰鬱とした気もあるように思える。
王城や富裕層地区辺りが特に顕著ではあるが、権力闘争や謀反、内乱でも画策しているのか…そんな思考を巡らせつつ、特に道など無い川沿いを歩く。
サンダルからも伝わってくる柔らかい草と土の感触。
手にした長竿と魚籠。
釣りでも楽しもうかと思っての事だが、如何せんフード付きのマントという姿では怪しさが倍増ではある。
川を眺めつつ進める歩みは、いい場所がないかと探しながらではあるが、ふと目に入ったのが寝転がっている女性の姿。
倒れているのか、眠っているのか……周囲を見渡せば、外された細剣や馬の姿も見えはするが―――。
如何したものかと逡巡はしたが、取り敢えずは近付いて確認する事にしてはみる。
気配や足音を隠す訳でもないので、意識があるのなら気が付くだろうとも思いつつ。
■セレンルーナ > 暑さに火照る体は、足を冷たい水に浸している事で徐々に冷まされていく。
木漏れ日の揺らいだ光が、閉じた瞼越しに感じられて風の音や水の音はいらない考えを洗い流していくかのよう。
眠るつもりはなかったが、しばらくそんな自然の音だけの空間にれば寝不足も相まってうとうとと意識が沈んでいきそうになるだろう。
とはいえ、ここは外。
今の王国内で、野外で完全に安全な場所など極僅かといえるから意識の一部分だけははっきりとしており、聞こえてくる草を踏みしめる音や人の気配に、はっとグリーンブルーの瞳を開くと傍らに置いたレイピアに手を伸ばしつつ、がばっと半身を起こしていくだろう。
「―――……えーと、こんにちはかな?」
視界に捉えた相手は、フード付きのマント姿。
少々怪しい格好と言えなくないが、手に持っているのは魚籠と長竿。
ここが小川であることを考えれば、釣り人が来るのもまったく不自然ではない。
レイピアを手にしたまま、やってきた人物を見上げてとりあえずは声をかけてみようか。
■ファルスィーク > 剣を帯びているのであれば、それなりに腕と経験はあるのだろうと踏んで、近付けば何かしらの反応があるという思惑もあり…。
もっとも、威嚇と見栄えをよくする為の飾りである可能性も高いのだが、さて…反応はどちらだろうか。
と―――傍まで来る前に勢いよく剣を手にして身を起こしたのを見れば、ふ…と口元を上げて作る笑みの形は、下から見上げる形となった女性には見えるかも知れず。
「ああ、こんにちはだな。
うら若い女性が寝転がっているのを見かけてね。
襲われて倒れているのか、寝ているのか分からなかったので迷いはしたが確認しようとしただけだ。
惜しむらくは…寝顔を拝見出来なかった事くらいか」
流石に剣を手放す事なく警戒する素振りを見せたままであるのは、素性もしれぬ己を前にしていれば当然の事。
反応を見る為に、まさか長竿でつつくわけにもいくまい。と少し笑いながらの。
■セレンルーナ > 男性の姿を見上げれば、フードで顔の部分に影がかかっているが口元が笑みの形を作っていくのが見えた。
同時に、癖で男性の魔力の流れも見てしまえば体の中に巡る魔力は多く、しかし抑制されているかのような流れにも見える。
魔力量が非常に多い人間というのも、めずらしいがいない訳ではないがその他の種族と考える必要もあるだろう。
そんな訳もあって、レイピアからは手を離さないままでいて。
「あはは…冷たい水と木陰が心地よくてつい、ね。
心配してもらったようでありがとう。
でも、うら若い女性の寝顔は覗き込むものではないかな。」
うら若いと言われれば、外見は確かに若いだろうが…どうだろうか。
人間からすれば若くないし、長命な種族で長く生きているものからしたら若輩という微妙な年齢故に苦笑をしつつも、その言葉を使って寝顔を見れなかったという言葉に返していくだろう。
「虫ではないのだから、竿でつつかれるのもごめんかな。」
笑いながらの言葉にも、苦笑を返して。
危ない危ない、意識の一部が起きていたから反応できたがこんなところでうとうとするなんて、気を抜きすぎたと内心反省しつつ応対して。
■ファルスィーク > マントの内には冷却の術を掛けている為に暑苦しい格好であるにもかかわらず涼しく汗一つなく。
観察するような目から、色々と己の事を窺っているのだろう。
初対面であれば、それも当然の事ではあるので指摘する事はないけれども、己の方もまじまじと眺める女性の姿。
馬を所有し帯剣し身なりもよく衣服の仕立ても良い。
となれば、豪商か貴族、王族に近しいのだろう。
魔力量も多く剣の心得もある…が、油断はしない姿勢には、場数は踏んでいるようだとの認識を。
「ああ……それは確かに理解できる。
最近は特に猛暑続きで街中の方が熱く感じるくらいだからな。
――無防備な寝顔というのは貴重なのでね。
特に女性は価値が高いので、大体の男は見たがるものだ」
容姿から判断した言葉ではあり人とは若干違う耳を見ると察しはするものの、己からすれば殆どはうら若いという認識にはなる。
「とは言え、慌てて安否確認のために走り寄っていれば、今頃はその剣の餌食になっていた可能性も示唆するに――あながち悪い手段ではないのか。
――しかし、身分の高い娘が1人で森まで遠乗りとは珍しい。
息苦しい日常に疲れた…と言った所だろうか?」
他に従者などの姿も見かけず、特に周囲から魔力の反応も窺えない事から、彼女一人なのだろうと判断しての言葉。
■セレンルーナ > 一見すると暑そうなマントとフードであるが、汗一つかいていない様子から暑さを凌ぐ術かなにかを使っているのだろう。
マジックアイテムにしろ、魔法にしろ常時そんなものを使用し続けられるのも魔力の高さ故だろう。
そして、身につけている装身具の類も質が良さそうで裕福なのが伺える。
…と、お互いにお互いの身分を見た目などから推察しつつ、会話を続ける。
「街の中だと、石畳が熱を吸って日陰でも暑いからね。
…そういうものかな。
それでも、ヨダレをたらしているかもしれないのに、見られたいと思う女性は少ないんじゃないかな?」
男は見たがるものだという言葉に、人差し指をたててだらしない顔は見られたくないものだろうと苦笑しながら言って。
「そうかな?…そうかもね?
それか、慌てて飛び起きておでこ同士がぶつかっていたかもね。
深窓の令嬢という柄ではないからね。お供なら、この子がいるかな。
ま、そんなところかな。たまには一人になる時間も大事だと思うからね。」
冗談めかしていいつつ、お供がいないことを指摘する言葉には傍に寄ってきた愛馬の鼻筋を撫でていく。
言われてみれば、高位貴族の娘がひとりでこんな所に出かけるというのは奇妙かもしれないが、騎士職についてからそれなりに長く感覚がマヒしているのかもしれないな、と考えて。
■ファルスィーク > 「全くだ。
屋内はまだ良いが屋外となると水場はあるが涼を取るには流石に足りない。
日が落ちても熱せられているので、下からの体感熱がきついな。
――それはそれで、違った意味で無防備ではあるな。
そっと拭ってやる楽しさもありそうだ」
涎という発想は無かったので思わず噴き出して笑ってしまったのは、女性の涎を垂らしている寝顔を想像しての事でもあり。
視覚から得た情報や女性からの言葉から大体の目星を付けた後は、会話を楽しんでみようかとも思いつつ、寄ってくる馬を見れば使い魔を持つというのも良いかもしれないな…との思考も生まれる。
信頼関係がしっかり構築されている様子が窺え、いざという時は頼りになるのだろう。
「ふむ……額を当てて2人で昏倒…という惨状になる可能性もあるな。
もしくは押し倒す切っ掛けにもなるのか。
深窓ではないが、それなり飲み分であり…か。
張り詰めていると糸は切れやすい。
と、私が言うでもなくその世界で生きて来たのだから理解はしているか。
荒事を切り抜けるだけの腕もあるようだし」
王侯貴族内の社交界は腕だけで切り抜けられる物でもなく…そちらの方が気苦労になっているのだろうか。
等とも推察しつつ…言葉のやり取りを楽しみ。
■セレンルーナ > 「区画整備がされているのはいいことなんだけど、夏場は石畳だと暑いよね。
冬は冬で石畳が凍結すると滑るし…
かといって、土の道だと雨がふるとぐしゃぐしゃになるし…
難しいところかな…。
本当に疲れて寝落ちたときなんかは、はっと起きたらヨダレの跡が…なんてあるからね。
さすがに、そんな情けないところを男性にみられるのは嫌かな。」
気絶するように眠った後なんかは、あるあるだと更に冗談めかして。
拭う楽しみなんて言う相手に、眉を下げて苦笑するだろう。
愛馬は、鼻筋を撫でられると心地よさそうにしながら、ブルルと小さく鳴いているだろう。
「お互い、額にたんこぶを作るなんてことにならなくて良かったかな。
……ふ、あはは。押し倒されていたら、流石にレイピアを抜いてしまっていたかな。
んー…まあ、一応貴族ではあるけれどね。
そういうそちらも、富裕層に見えるかな?
あ、名乗っていなかったね。私はセレンルーナ・カイエスタン。
カイエスタン家の当主の不出来な妹だよ。
やらないといけないことが山積みでね…
とはいえ、その通りで息抜きをしないともたないと思ったから、こうやって憩いに来たって感じかな。
経験上荒事には慣れてるといえば、慣れてるんだけど…荒事とはちょっと違うかな…
まー、もうちょっといろんな方面に才能が欲しかったなと思う最近だったり。」
押し倒すなんて言葉が出てきたものだから、一瞬きょとんとしたあとに、吹き出していきながらも、冗談か本当か分からない言葉を返しつつ、身分を尋ねる言葉には素直に答えていく。
答えながら相手にも問い返して、ふと名乗っていないことを思い出して自らの名を名乗り。
それなりに長い歴史はあるが、特筆すべき特徴といってはない貴族の家柄の一つ。
相手が知っているかどうかは、分からないところであるため当主が兄であることも付け加え。
肉体的というよりは、精神的な疲労もたまっているのは認めて、ひとつ伸びをしつつそんな事をぽつりと呟いて。
「立ち話も疲れるんじゃないかな?
良ければ、座ったらどうかな?」
相手が立ったままでいるなら、そう促していくだろう。
■ファルスィーク > 「一番手っ取り早いのは排水用の小さな側溝と街路樹でも植える事だろう。
適度に日陰も作り水捌けも良くなる。莫大な金額が必要になるだろうが。
――ふむ…其処までの疲労となると相当だが…容易に想像できるのが不思議だ」
疲労困憊するほどの事があると聞くと、課せられている職務の重さがあるのだと察し…となれば、それなりに地位という事にもなる。
そして、それらを真面目にこなす責任感もあるようだと。
「お互いに遠慮のない不意打ちの頭突きをしあうようなものだからな……考えるだけで額が痛くなりそうだ。
剣を抜かれた場合は、さてどうするか……。
―――ふむ…カイエスタン家の…身分と共に名乗られたからには、私も返さなくてはいけなくなるな。
いい具合に先手を取られてしまったか。
―私はファルスィーク・フォン・エインウィスナー。
王都よりは少し離れた地方領主であり、ラディスファーンの主だ」
確かそれなりに歴史のある貴族の家名であったはずと思い出しつつも、先手で正式な名乗りを聞けば己も返すのが礼儀。
まさかこんな所で身分を明かす事になるとは…と、軽く肩を竦ませた。
「山積みという言葉だけで、王都の現状を察する事が出来る。
ふむ…一人でやろうとしているからだろうな。
そこは信頼に足る右腕と懐刀を見つけて鍛えておくことだ。
自分が足りない部分は人材で補えばいい。重要な部分で安心して任せられることで、自分の事に集中できるだろう?」
彼女の言葉に対しては年長者らしい言葉の助言をしつつ、向けられた言葉に促される様に腰を下ろして竿と魚籠を置き、改めてフードを上げて晒す顔。
■セレンルーナ > 「今の王国でその事業を開始したら、どれくらい関係貴族の懐に入ってしまうかな。
…それは、私が寝落ちてヨダレを垂らしているところを、想像できるという意味かな?」
流石に富裕地区あたりになれば、街路樹も多いし排水設備なんかも整っている部分が多いものの平民地区、貧民地区へと下るにつれて狭い家がひしめき合って建っていたり、道が荒れていたりする。
それらを修繕や改善しようとすると、かなりの金額がかかるというのは同意できる所ではあるが、予算にくまれた内のどれだけが横抜きされていくのだろうかと考えただけで乾いた笑いが出る。
容易に想像できると言われると、横目で彼を見つつふーん?といった感じで問いかけ。
「流石に、恋人でもない男性に押し倒されたらレイピアは抜くかな。
そこは、素直に引いて欲しいところだけどね。
エインウィスナー……ああ、あの商業都市で有名なところかな。」
聞き覚えがある家名と、思い出すように考えていれば付け加えた領地の名前に思い至った。
確か、交易が盛んなことで有名な都市だったと記憶している。
「誰かがやらないと、終わらない仕事ばかりだからね。
…右腕と懐刀…んー…そういうのはいないかな。
そもそも、人員そのものが足りてないからいくつもの仕事を皆が掛け持ちしているような状態だしね。」
年長者らしいアドバイスをもらうものの、そういう人物に心当たりはない。
膝の上で頬杖をつくようにして、難しい顔で考えながら想像しているのは本職のスターチェンバーの業務の方。
職務の特殊性もあり、外部の人間を雇ったりするのは難しく新しい人員を入れるにしても、その人物の人柄や交友関係に至るまでの審査が厳しく新人が中々入らない。
結果、万年人手不足に悩まされているという事情があるが、さすがにそこまでは言えず。
腰を下ろして視線が近くなった相手を、見やるとフードをあげて顔が晒される。
下から見上げていたため、今までも見えていたが日の光に照らされる金髪に、冬の凍った湖のような蒼銀の瞳と整った容姿が顕となっていく。
フードを被っているときに見えた顔より、明るいところで見る顔は思ったより若い印象を与えていく。
■ファルスィーク > 「そう言う事に関して鼻が利かないようであれば、他の貴族に食われてしまうだけだろうからな。
大体が、うま味の無い仕事など見向きもしないだろう。
うむ…想像出来る。職務に関しても実直で裏表も無さそうだから余計に」
そう言う中抜きがあるからこそ円滑に進む場合もあるが、私腹を肥やす事で新たな火種を生む結果にもなりかねない。
上手に進めるのなら肥やした私腹を、関係各所へ適度にばらまく事なのだが……己であればどのように采配するかと…ふと思案に至るので僅かに沈黙して生まれる間。
横目で見られれば向き直り、正面から見詰めつつ――想像よりは実物の方がより良いに決まっている。…と言ってみたり。
「ほう……どうやら身持ちは硬いようだ。
貴族であれば許嫁や婚約者などは居そうだが…恋人という単語が出るという事は、そう言う存在とは縁が薄いのか。
―そういう時は引かない方が良い場合が多いのでな。
王都でも多少は名は知れているようで何よりだ。
今は氷果がそれなりに好評だ。近くまで来た時は立ち寄って欲しい」
そんな領主が、こんな所でのんびり釣りでもというのだから、随分と変わり者扱いされそうではあり、そこは当人であるかどうかも疑わしく思われるかもしれず。
「誰かが…という事は、少々強引な言い方をすれば誰でも出来るとも言える。
面倒事が多いので誰も手を付けようとしないんだろう。
なので、君が全てを背負い込む必要もない気はするが。
――人員不足か…極秘事項が多い場合はそれなりの人材が求められるが…そうでない場合は冒険者辺りに仕事を振ってみるなり、引き抜いてみるなりもありだろう。
意外と非凡な才を持った輩が地に埋まっていたりするのでな。
…人材発掘は、財宝探しに似ている部分はあるか」
右腕と懐刀は自身で見つけ、育て鍛えていくしかないので、一朝一夕で手に入れられる物ではなく。
女性がどのような任務に就いているのかは知る由もないので、試しに案を出してはみるが、深刻な問題のようなので恐らくそれには当てはまらないのだろうなとも。
他愛のない会話から込み入った内容に発展してくるが、己なりの言葉を向けてはみる。
■セレンルーナ > 「貴族も弱肉強食の世界だからね…糧になる事に飛びつくのはいいんじゃないかな。
経済を循環させるのも貴族の役目でもあるわけだし。
でも、実際は自分の懐に収めて溜め込むだけだから、お金が巡っていかないんだよね。
……ヨダレを垂らして寝る話を持ち出したのは私だけれど…なんだか褒められてる気がしないかな」
私腹を肥やすばかりの貴族が中抜きすれば、本来行き渡るはずのお金が行き渡るべき場所に行かない事態になってしまう。
今の王国の貴族の大半は、彼のように真面目に采配について思案に至るなんてないだろう。
横目で見ていた瞳が、少々ジト目になっていき想像よりは実物のほうがと言われても、それはどうもとツンとした返しを返して。
「そうかな?誰でもそういうものじゃないかな?
許嫁に婚約者……。まあ、縁がなかったわけではないけど…濃いかと言われれば…うーん…。
そういうファルスィークは、遊びなれてそうかな。
交易は重要だからね、貴族の合間でも結構有名なんじゃないかな。
氷菓、この暑い時期にはぴったりだね。その時はぜひ立ち寄らせてもらうよ。」
許嫁や婚約者の単語が出ると、うるさい兄の顔が思い浮かんで少々苦虫を噛み潰したような表情になってしまいつつ…
今までの恋愛遍歴を思い出してみて、そこに難しい顔が重なっていく。
からかっているのか、ふざけているのか軽口っぽい言葉に、また横目でみつつ、ほほぅというように女性とのやり取りになれていそうだという感想を零して。
服装や装飾品の上質さや、考え方などを見ていると領主当人であると感じられる。
そもそも、影武者がわざわざこんな森の奥に釣りにはこないだろうと考えて疑いは特に持っておらず。
「そういうのもあるかな。
全てを背負い込んでいるつもりはないし、背負い込めるとも思ってないけどね…出来る事はしたいと思ってるかな。
使える所で使える人材を確保して、上手く回せればそれが一番いいんだろうけど…人を使うというのも一つの才能じゃないかな。
私には、そういう才能は無いみたい。
そういった点では当主が兄で良かったのかも」
極秘事項が多い、守秘義務がある…といった点が一番の難点になるわけなので、せっかく提案してくれた案も解決には至らない。
もしかしたら、極秘事項に関わらない部分を上手く冒険者などに振り分けることができたら…と考えなくもないが、そこで至るのが人を使う才能である。
ゔーん…というように、小さく唸りながら頭を悩ませていくだろう。
ご案内:「王都近郊の森」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「王都近郊の森」からセレンルーナさんが去りました。