2023/06/30 のログ
セレンルーナ > 自然の空間というのは、心が癒される。
普通の人でも感じる事だろうが、時折無性に自然に還りたいという願望を抱くのは、体の中を流れるエルフの血故だろうか。
人よりも先端の尖った耳に入ってくる、小川のせせらぎ、小鳥の歌う声、木々のざわめき、風の音…。
今の職について、色んな『皮』を被る中で自分とは何なのか時折分からなくなるけれど、自然の音に耳を傾けていればそんな事はどうでも良くなってくる。
自然の一部である自分が、自分なのだと感じ瞳を閉じていれば人の気配が近づいてくるのが感じられた。
閉じていたグリーンブルーの瞳を開けば、黒髪の青年の姿を視認できる。
視認するよりも先に、魔力の流れを見るのが癖になっているセレンルーナが感じるのは、彼の中にある魔力。
ミレー族特有のそれは、隠した耳や尻尾などを感知していく。
左側に置いているレイピアに指先を触れさせながら、川を挟んで向かい側に立った青年を見上げるだろう。

「それは、気を付けないといけないね…。誰もいないから、ついつい気を抜いてしまっていたよ。」

王が崩御して以降更に治安は悪化している。
王都内でも犯罪行為が横行しているのだから、ひと目の少ない森の中というのはより犯罪もしやすいだろう。
青年の言葉にも一理ある、と素直にそんな言葉を返してさりげなく第二ボタンは留め直していくだろう。

「それで?君はアブナイ奴なのかな?」

正面に立つ青年に向けて、穏やかな表情のまま少し首を傾げるようにしながらそんな問いかけを投げかけて。

グァ・ジャミル > 「────お?」

(見られている。不可視の魔術をすり抜けられるような視線を感じて、意外そうに片方の眉を吊り上げる。
 ただの人には分からないようなミレー族の感覚のようなものだ。
 アナライズされているとまでは言わないが、恐らくは己がミレー族であることも知られたかと僅かに双眸を細めた。
 仕返しとばかりに金の眼差しが、彼女を見る。視る。
 彼女もまた魔力の流れを覗かれていると感じられるかは分からないが、人のようでいて魔力が高いとすぐに知れた。
 その耳の先の尖りはエルフ特有のものだが、長耳とも言えない。混ざり血か、と結論を出すのは早かった。
 ちゃんと警戒して武器に触れつつ身を隠す姿に、かと言って何をするでもない。
 こちらは武器を納めただろう、と軽く腰の剣を叩いて見せる。)

「俺が非番で今が夜なら、お姉さんを口説いて誘うケダモノになれたンだけどな。
 まことに残念なことに、今の俺はとてもいい子にお仕事をする騎士様ですよ」

(胸に手を当てる自由騎士の敬礼に、彼女は覚えがあるかもしれない。
 ジャミルのジャケットの胸元には自由騎士の印章が施されている。
 とは言え、王国の騎士にも間違えられることも多いので、そう簡単に警戒は緩められないだろうと知っている顔で。)

「自由騎士団所属、グァ・ジャミルと申します。以後お見知りおきを。
 ────ま、お姉さんに不埒なことはしないんで、ゆっくりしててよ。
 代わりに、お姉さんも"見えた"ことは、他言しないでくれると嬉しいね」

セレンルーナ > 彼がミレー族であると感じ取っても、それに対して特に何を言うわけでもなく、侮蔑や見下す瞳を向けるでもなくかといって必要以上に友好的な瞳を向けるでもなく、穏やかな表情のままに彼を見つめる。
僅かに細められた双眸に、ミレー族と感じ取った事が分かってしまったかなと思う所ではあるが、代わりにこちらへと改めて向けられる金色の眼差し。
魔力を見られていると、感じ取ることはできないが少なくとも外見的特徴を捉えようとしているのは分かる。
特に隠しているわけでもないから、特徴的な色合いや尖った耳の先端などからエルフの血が入っている事は見抜かれるだろう。
腰の剣を叩いてみせるのには、レイピアに触れていた指先から少しだけ力を抜いて。

「それは、随分と真面目な騎士様だね……。――ああ、なるほど…。」

ジャミルが行った敬礼はつい最近見覚えのあるもの。
そして、その印象に視線が向かえば納得といったように唇を綻ばせていくだろう。

「よろしく。私はセレンルーナ。君とは違ってなまけものの騎士だよ。
 では、お言葉に甘えてゆっくりさせてもらおうかな。ああ、大丈夫こう見えて口は硬い方かな。」

先日学院で出会った自由騎士の少女の事を思い出せば、自然と表情が愛想笑いにも似た穏やかなものから、柔らかなものへと変化していくだろう。
ジャミルの名乗りに、冗談めかして名乗り返すと彼の続いた言葉には肩を竦めてみせて。

グァ・ジャミル > (ふぅん、と穏やかな表情を崩さないままの彼女の反応に杞憂だったかと数度瞬きをしてから覗くのを止める。
 この国、とくに王都の人間はミレー族と見れば奴隷につなげる者が多い。
 下位的存在に認定されるのはまあまあ腹が立つが、さりとて暴れて仲間に迷惑をかける気もない。
 そもそも看破されること自体が珍しいので、彼女が吹聴するような人間ではないのなら、警戒もいくらか緩む。)

「はは、俺は割と不真面目な方だけどなぁ。てか俺も涼んでいい? 暑くてかなわねーや」

(自由騎士と称してからの反応や表情の変化を機微に感じ取れば、物珍しそうにする。
 まさか性転換した相棒と顔見知りであるという発想にまで至る筈もなく、自由騎士に知り合いでもいるんか、程度の感想。
 小川の前でジャケットを脱ぎ、帯剣するベルトを外して脇に置く。
 ブーツを脱ぎつつ、彼女も騎士であると知れば、へえ、と興味をひかれたように視線を向けつつ、
 ズボンの脚を捲り上げて岩の上に座り、同じように脚を入れよう。)

「あ~~~……生き返る。
 てか騎士は納得、お姉さんピシッとした感じするし、怠け者に見えないんだけど。
 ふつーに真面目そう。口が硬いんなら信じられるわ。」

(そんな感想を述べつつ、軽く腕を振って、不可視の魔術を解除する。これも地味に魔力を喰うのだ。
 ジャミルの人の耳が髪に埋もれ、頭部から同じ黒色の猫耳が現れる。臀部からは長い猫の尻尾。
 くるんと丸めて岩の上でゆらゆらと揺らし、清涼な空気と冷たい水で、はー、と気持ちよさそうに息を吐く。)

セレンルーナ > 国には、ミレー族を奴隷という立場に貶めていたい理由があるのだろうが、セレンルーナには彼らを見下す理由はない。
彼らが人とは違う種族であるというのが理由なら、セレンルーナにも人ではない血が流れている。
というのが、彼らに差別的意識がない理由ではあるが初対面の相手にわざわざ言う事でもないだろうと、彼から触れられないなら特には触れず。
警戒が少しでも緩んだのなら、幸いといったところか。

「自分の勤務時間に職務に励むだけでも、十分真面目じゃないかな?どうぞ。今日は特に暑いからね。茹だってしまうよ…これからますます暑くなると思うと、気が重いね。」

興味深そうに、美味しそうに料理を食べて一つ一つ感想を伝えてくれた少女の事を思い出せば、その時に感じた気持ちまでも蘇ってくるようで、思わず表情が緩んでしまう。
思い出し笑いにふふっと小さく笑ってさえしまい。

「水が冷たくて気持ちがいいよね。ふふ、そうかな?
 とても不真面目で、勤務態度が悪いとよく隊長からお小言を言われている不良騎士だよ?
 でもまあ、不良騎士だけど他人の秘密を吹聴するような趣味はないから安心してほしいかな。」

不可視の魔術をジャミルが解除すれば、黒い猫の耳と尻尾が顕になっていく。
ミレー族を見て思うのは、その耳や尻尾は柔らかくて触り心地が良さそうだという感想。
ゆらゆらと気持ちよさを表すように揺れる尻尾を眺めて。

「猫や犬でもそうだけれど、耳や尻尾は毛に覆われている分夏は暑そうだね。」

率直に抱いた感想を口にして。

グァ・ジャミル > (どうぞと許可も下りたので水に浸して寛ぐ様は年齢よりは若く見えるだろうか。
 「いやー流石にサボるとゲンコツじゃ済まねえしなー…」なんてぼやきつつ、
 身近に真面目というか生真面目の代名詞がいるのでついつい比べてしまうのもあり。
 何かを思い出すように笑う様子には、先ほどよりは親しみのある魅力的な笑顔で、
 不思議そうにしつつもそうやって笑うとマジで美人だなぁとしみじみ思う。)

「お姉さん……てか、セレン姉さんでいい?
 不真面目には見えねーけど、もしかして今日もサボってるとかそういう?」

(雰囲気からすれば真面目に職務を全うしてそうな人柄に見えるが、エルフもまぁまぁ自由気ままというし、
 その血が入ってるんならあり得るんかという思考で軽く首を傾げ。
 耳や尻尾を眺める視線を感じれば、その後に続いた発言には軽く笑って。)

「ははっ、いや犬猫は基礎体温高いからわかんねーけど、まぁ夏は誰でもあちーんじゃねぇかな。
 セレン姉さんも髪の毛そんな長いと肌に当たったら暑いだろ? それとおんなじ感じ」

(尻尾の部分は肌に当たったらその部分が暑く感じるけど、基本的には気にならないのだと説明する。
 視線が向けられる尻尾の先を揺らしつつ、シャツの胸元も軽く寛げて涼を取り。)

セレンルーナ > 「随分と厳しい上司がいるんだね?」

ジャミルの年齢は20歳前後だろうか…緊張が解けてくつろぐ姿は、10代後半にも見える。
ぼやきを聞いて、なるほどと言いながらそれくらい厳しい方が、規律も守られるのかもしれないなと思う。

「好きに呼んでくれて構わないよ。名前が長いからね。
 今日は流石に非番の日かな。家にいると兄がうるさくてね…。それで、涼みがてら逃げてきたってわけ。」

首をかしげているようではあるが、不良騎士というのに納得してくれただろうか。
連勤の最後の当直明けに続いて、本業の方の情報収集にひと晩費やしてフラフラで本邸へと戻ったものの、家に戻れば兄のお小言…逃げたくもなるというものと、思わずため息が零れる。

「そういうものかな?確かに言われてみればそうかもね?
 髪を下ろしていると首筋あたりが暑いけれど、結っていれば特に気にならないね。」

猫の耳や尻尾がある感覚というのは想像できないので、ジャミルの言葉を聞けばなるほどと、数回瞳を瞬かせていく。
自分のうなじに触れてみて、確かにそうだなとこくこく頷き。

グァ・ジャミル > 「そりゃもう、怒ると角が生えてくるぜ!」

(にょき!と魔族の角を真似るように指で示してケラケラと笑う。
 その姿は学院にいるような悪戯好きな若者とそう変わらないように見えるかもしれない。
 貴賤や身分を問わない組織だからこそ、纏める者にはリーダーシップやカリスマ性が求められる。
 その点、上司のことも笑顔で冗談が言えるのだから良い環境であることも伝わろう。)

「あざーす。あー…成程。
 てか見た感じいいとこの出っぽく見えるけど、お貴族様?」

(言葉遣いや所作に擦れた感じがしないので平民ではなさそうだなぁと思いつつ、
 気になったことはついつい聞いてしまう性分だ。
 ため息を零す様子におにーさん厳しい人?なんてことも聞いたりしながら、
 小川に両手を突っ込んで水を掬い、バシャバシャと顔を洗う。
 濡れた手で前髪を掻き揚げて後ろに流し、猫耳がぴぴぴと跳ねて水を払う中、シャツで軽く顔を拭い。)

「そういうもん。生まれてからついてるモンに人より暑いわーなんて感じないしな。
 なんなら触ってみる?」

(こうしてミレー族と対する機会が彼女にあるかは知らないので、興味があるならどうぞ、と尻尾を揺らしてみる。
 乗ってくれるならそれは近づくということなので、美人に近づく口実にもなるのでウィンウィンだ。)

セレンルーナ > 「あはは、それはおっかないね。」

おとぼけた調子で、指で角を示すのに笑って。
先日会った自由騎士の少女は、とても真面目という印象だったが彼は学院の生徒のような気軽さがある。
騎士だから堅苦しく真面目でいなければいけない、という事はないが先日会った少女との印象の違いが大きく感じる。
冗談めかしているものの、彼らの上司が慕われている事は感じられてとてもいい組織なのだろうと思う。

「厳しいというか…口うるさい感じかな。
 早く身を固めろだとか、嫁の貰い手がー…だとか…最近特にうるさくなってきている感じでね。
 当主は兄だし、兄は結婚して後継もいるんだから、私はどうでもいいと思うんだけれどね。
 一応貴族に名を連ねているね。カイエスタン家という家名なんだけど。」

聞いたことあるかな?と首をかしげて。
それなりに由緒ある家柄ではあるが、何かに特化している訳でもないため数ある貴族の中で知っているという可能性は低いかも知れない。
ひとつ有名な事があるとすれば、先代の当主がエルフの妻を迎え入れたため、当代の当主はエルフのハーフで長く当主の座にあるといったこと位か。
豪快に顔を洗ったあと、ぴぴぴっと猫耳が水を跳ねさせる様子は、やはり猫を見ているようで可愛らしく感じてしまう。

「なるほど。いいのかな?結構君たちにとって敏感な部分だと聞いたことがあるけれど。」

触ってみる?と言われるとそう問いかけるものの、興味はあるようすで川の縁から立ち上がってジャミルのほうへと近づいていくだろう。
どうぞといわれて、揺れる尻尾に指先を沿わせるようにして毛並みに沿って撫でていき。

「やはり感触は、猫のそれとあまり変わらない感じかな。でも猫よりもしっかりしている感じがするね。」

猫の毛並みをなでるように、痛くないように優しい手つきでジャミルの尻尾を撫で。

グァ・ジャミル > (だろー、なんて軽快に笑って見せるところは、この国のミレー族らしくはないかもしれない。
 規律はあれども自由もある、己の信念に従って行動するが故にその精神性は高く維持できているとも言える。
 彼女の兄との関係やら、貴族らしい名前を聞けばはーやっぱり、という顔をしているが、
 貴族については詳しくありませんという様子で目を泳がせた。)

「そりゃセレン姉さん美人だし、貴族のことはよくわかんねえけど幸せになってもらいたいんじゃね?
 俺の部族もまぁ、女は15くらいで一人前の戦士に嫁ぐ風習もあったし」

(懐かしきグァ族の故郷を思い出しながら今でもあそこは変わってないんかなと物思いに耽るように空を見上げる。
 周囲が森という自然の環境から、そんなことをふと思い出したようだ。
 というわけでカイエスタン家と言われてもわからないが、きっといいとこの貴族なんだというのはわかった。)

「尻尾の付け根のほうは勃っちまうから、そこ避けてくれりゃあ大丈夫。
 責任とってくれんなら話は別だけどな」

(ちゃんとそこは性感帯というか、気持ち良くなってしまう部分でもあるのでそんなことを軽口めいて告げて。
 小川を渡ってくる様子に隣に座れるようズレてスペースを開けつつ、揺れる尻尾に触れる指先に尾の先がうねうねと揺れる。)

「ん゛ッ……」

(思わず声が出たのは予想以上に気持ち良かったせいだ。
 流石に勃起したりはしないが、女性のいい匂いが近くにあり、優しい手つきで撫でられる感触。
 そう言えばあんまり尻尾触らせたことなかったなーと、耳がピンと立って忙しなく尾が揺れる。
 普通の猫よりも体格がある分太くて長い。
 ミレー族の種によって尾の形に個体差はあるが、さらさらというよりは髪質に似て、少しごわつきのある硬さがあるだろう。)

セレンルーナ > 大半のミレー族は、迫害され危険にさらされる事もおおくどこか悲壮感をたたえている者も多い。
そんな彼らに比べれば、あっけらかんとした様子で笑ってみせるジャミルの様子は、ミレー族らしくないといえばミレー族らしくはない。
それだけ彼が、安心できる環境で働けているという証拠でもあるだろう。

「幸せになってもらいたい…っていうのは、理解できる所ではあるんだけれどね…。
 貴族としては、年齢的にもとっくに行き遅れの部類だし、自立できるだけの職にはついているんだから、もう良くないかなって思うかな…。
 15歳で嫁ぐ…普通はそんなものだよね。
 ジャミルの部族は、奴隷狩りなんかは大丈夫だったのかな?」

物思いにふけるような視線は、おそらくは故郷を思い出しているのだろう。
ミレー族を狙った奴隷狩りは横行しており、ひどい時は部族まるごと壊滅させられることもあると聞く。

「ああ、猫なんかも尻尾の付け根はとんとんして欲しいってお尻を上げてくるよね。それと同じ感じかな。」

軽口めいた忠告にくすくすと笑いながら、分かったと言ってジャミルの隣に腰掛けていく。
隣に腰掛ければ、花のような甘い香りがジャミルの鼻腔をくすぐっていくだろう。
うねうねと揺れる尻尾を丁寧に、痛くないように気遣いながら撫でていけば、思わずジャミルが声を出していくのに手を離し。

「そっと触ったつもりだったけれど、痛かったかな?」

触った感触は、男性の髪質のようで少しごわつきがある感じだった。
これは、ブラッシングをしたらもっとサラサラになるのでは、と揺れる尻尾を見つめて。

グァ・ジャミル > 「はは、それでも妹の幸せを心配するのが兄貴ってもんじゃね?
 セレン姉さんも弟や妹がいたらめちゃくちゃ可愛がりそうだよな。血筋とか?」

(顎に手を当てながらまじまじと彼女を見る。
 放任主義に見せかけて無茶をしたらお小言を言いそうだ、なんて予測を立ててみるが果たしてどうか。
 奴隷狩り、と聞けば腕を組んで「うーん」と考え込む。
 何せ九頭龍山脈の奥地も奥地、王都からもバフートからも、魔族との最前線を挟んだ奥だ。)

「奴隷狩りはなかったけど、まあ侵入者はそこそこいたな。
 まー……うちは強い部族だからそういう心配はねえかな」

(仮に魔王級が攻めて来ても血潮を滾らせて戦う非常に危険な部族だ。
 グァをつけて名乗った時に何の反応もなかったので、知らなくても問題はない。
 仮に知っていても、その詳細は王国ではほとんど知れない蛮族程度の情報しかないだろう。)

「そうそう。けど美人相手にケツ上げて強請るのは流石にこっぱずかしいわ」

(流石にそこまで猫めいたことは、雄はしないだろう。雌は知らないが。
 隣に腰掛けた彼女からは案の定とてもいい匂いがした。花のように甘やかで、森のように清涼で。
 色気もあるし胸もデカい、顔が良い。はー、美人最高。と内心ではご満悦である。
 手が離れていけば、首を横に振って咳払いをして。)

「いやいや、思いの外セレン姉さんの手つきが気持ち良くてビックリしただけだから!
 あー……姉さんの手は魔性の手だ、そんな優しく撫でられたらどんな男もイチコロだろ」

(尾っぽにまだ視線が向いてることに軽く揺らして彼女の手に置く。
 ブラッシングなんて滅多にしないずぼら男なので、彼女の予想は正しいと言える。)
 

セレンルーナ > 「そうなんだろうけど…口うるさく言われるとうんざりするのも本当の所かな。
 確かに、妹や弟がいたら幸せになって欲しいと口出ししてしまうかな。
 甥っ子や姪っ子も可愛かったし…とはいえ、甥っ子も姪っ子ももう可愛いなんて年齢ではなくなっているから、今は、その子供たちかな。
 確かに血筋なのかもしれないね…いや、やはり兄は特別口うるさい気がするかな…。」

確かに、自由にはさせるけれど無茶をすれば叱りもする。
相手が何が悪かったか納得するまで、こんこんと言い聞かせてしまうかもしれない…というところは、兄と似ているところだろうかと考えて、少々嫌な顔になってしまった。
兄ほどではない…と思いたいところ。

「奴隷狩りがなかったなら、まだ奴隷狩りに発見されていない部族なのかな?
 最近の奴隷狩りも狡猾になってきていると聞くから、安心はできないけれど、部族全体が強いならリスクは減るかな。」

グァの部族の事はさすがに知らないが、ジャミルに特に心配する様子がないなら今のところ大丈夫なのだろうと思い。

「流石に私も、猫のようにお尻を挙げられると困ってしまうかな。」

あはは、と可笑しそうに笑いながらも、嫌ならばもう触らないでおこうと思ったのか尻尾から手を離していくだろう。
しかし、ゆらゆらと動く尻尾は見ていて楽しいのか視線は尻尾に落とされたまま。

「大げさかな?痛くないようにそっと撫でていただけだし。ジャミル、まだ尻尾を触ってもいいならちょっと櫛で梳いてもいいかな?」

しっぽが手の上に戻ってくると、やはり毛羽立っているように見えてポケットから折りたたみ式の櫛を取り出してみせ、お伺いを立てる。

グァ・ジャミル > (思い当たる節はあるようで、浮かべる嫌そうな顔になるのをおかしそうに笑う。
 家族、兄妹ってのはいいもんだなあと頷きながら、何だかんだ言ってもきっと兄のことも慕っているのだろうと思い笑みが浮かぶ。
 奴隷狩りに発見されていない、という点についてはまたも「うーん」と唸る。
 基本的に里に入れはしても生きて出てはいけない、という部族なので、
 発見はされているようでされていない、ということになるだろう。
 人の狡猾さも嵐のような純粋なまでの暴力に果たしてどこまで通ずるものか、と掌をわきわきと動かす。
 そういう点では、心配していない。里を出た時点で俺が心配してもしょうがないという意味でもある。)

「はは、尻は上げるより上げて貰うほうが好きだわ。
 ん? おう、別にいいけど、お高そうな櫛じゃん。俺に使っていいの?」

(軽いセクハラめいた発言をしつつも、尻尾に向けられ続けている視線に軽く揺らして見せ。
 尻尾なんて普段から隠してるから手入れを気にしたこともない。
 蚤取りついでに梳くぐらいなので、してくれるんなら喜んでというように彼女の腿に移して。)

セレンルーナ > 兄妹っていいものだなぁなんて頷いているジャミルの横で、もっと女性らしさを磨けとか、花嫁修業を、とかお見合いを、とか言ってきて実際にセッティングしようとしてくる兄を思い出して複雑そうな顔をしてしまったことだろう。
奴隷狩りの問いかけについては、うーんと唸って考え込んでしまうのに、見つかっていないとかという要因以外にも奴隷にされない何かがある種族なのだろうかと感じる。

「ま、確かに責められるほうが好きな男性でなければ、相手に向けてお尻をあげる機会なんてそうそうないかな。
 ん?べつに構わないよ?」

しれっとしたセクハラに普通に返しながら、腿の上に乗った尻尾に櫛を通していく。
最初は少し絡まった毛に引っかかる感じがあったが、さっさっと梳いていくうちに絡まりもほぐれて行くだろう。
暫く梳いていけば、つやつやとした毛並みが戻ってくるようで、手触りのゴワつきも毛の太さ由来のものだけとなっていくだろう。

グァ・ジャミル > (兄妹愛の理想を思い描いている傍で、現実への複雑そうな顔をする二人は傍から見ても奇妙だったかもしれない。
 もはや別離したふるさとを思い出しはしても心配して里帰りなんてことはしていない。
 何せ生きて出たのがジャミルが初めてなのだから、今帰ったら殺し合いに発展しそうである。
 そんな危険な部族であることを、わざわざ教えるつもりもないようで、へらりと気の抜けた笑みを浮かべている。)

「はは、確かに。あーでもいるわ、責められるのが好きな……あー、名誉の為に黙っておこう」

(一瞬過った真面目な相棒の事を思うが、あれは責められるのが好きというより弱いだけだなと。
 変なことを言っていざ二人が今日のように逢う日がくればそれは変な先入観にもなりそうだ。
 同じ男として名誉を守ろう。大分手遅れな気がするのは無視だ。
 構わらないと言って尻尾に櫛を通される。
 やっぱり梳くのは気持ちがいい。自分で梳くよりやってもらう方が気持ちいい。
 頬を緩ませながら耳を後に倒してぴこぴこご機嫌に揺らしているので、
 やって貰っている間は大人しく気持ちよさそうにしていただろう。
 終わる頃には手触りの良さも割増しで、嬉しそうに尻尾を振っている。)

「あー、気持ちい……さいこー……。ありがと、セレン姉さん」

(とろんと細められた双眸を向けて、身を寄せる。もともと5㎝程の、そう差のない身長差だ。
 顔を寄せてその滑らかな頬にちゅ、と唇を触れさせる。
 感謝の気持ち、そのお礼、ぐらいの感覚で、悪気もなく年下らしい素直な笑顔を浮かべている。)

セレンルーナ > へらりと気の抜けた笑みを浮かべるのは、知られたくないという意思表示かと部族のことにはそれ以上つっこまずにいて。

「まあ、そういう男性もいるだろうね。ふふ…誰のことかは知らないけど、聞かなかったことにしておこうかな。」

言いかけた言葉を飲み込むのに、知り合いにそういう人物がいるのだろうことは分かる。
言葉を飲み込んだせいで、好きと弱いという同じようでいて大きく異なる趣向を勘違いすることとなってしまっただろうけど…。
腿の上にある尻尾にすっすっと櫛を通しては、撫で付けるように手のひらで優しくなでていくと、あっという間に手触りが良くなっていく。
梳いている間、気持ちいいのだろう猫耳がぴこぴこと揺れているのも可愛らしく映る。

「それはよか……」

ありがとうと言われるのとほぼ同時に、ジャミルの顔が近づくとちゅっと唇が頬に触れて、きょとんとした顔をしていただろう。

「ふふ、そんなに喜んでもらえると嬉しいかな。自分でももうちょっと手入れをしてあげたほうがいいかもね。」

甥っ子や姪っ子の子供たちが、挨拶やありがとうの際に頬にキスしてくれる感覚とあまり変わらないのか、年下らしい素直な笑顔を浮かべる彼の頭をよしよしと撫でており。

グァ・ジャミル > (そーして、と笑う顔は楽し気だ。察しのよい彼女に勘違いさせたということまで思考は及ばず、
 修正もしないので果たしてそれがどう影響するかは、今はまだ分からないが。
 さておき、梳いて貰ってすっかりつやつやになった黒い尻尾は機嫌も良さげである。
 頬へのキスも怒られることはなく、頭も撫でられれば、ゲンコツ以外で撫でられる機会もなかったので嬉しそうだ。
 彼女の持つ包容力、あるいは年上のお姉さんという雰囲気がそうさせるのだろう。)

「手入れはまぁ……そのうち。っと、流石にそろそろ戻んねえと」

(大分時間が経ってることに気付けば、脚を川から引き上げて立ち上がり、軽く魔力で風起こして水気を払い。
 ブーツに足を突っ込みつつ、装備を整え直す。
 最後に魔術で耳と尾を隠せば、最初に邂逅した時と同じ姿になるだろう。)

「そんじゃ、俺は行くわ。話せて楽しかったぜ、姉さん。
 姉さんもあんまり遅くならないうちに帰んなよ?」

(暗くなってから帰ったらまたお小言増えるぜ、なんた揶揄うように笑って告げて。
 他に何もなければ、踵を返して任務へと戻るだろう。)

セレンルーナ > 思わず、子供にするように頭を撫でてしまっていたが気分を害しはしなかったようだ。
むしろ嬉しそうな様子に、弟がいたらこんな感じだろうかと思って撫でなでしていく。

「時間があるときにでもね。ああ、随分と時間が経ってしまっていたね。これはサボっていたと怒られてしまうかな」

皮から脚を引き上げて、魔法で乾かして装備を整え直す様子を見守り。
最初に出会ったときと同様の姿になるのを、セレンルーナは未だ川の中に足を浸したまま眺めているだろう。

「ああ、任務がんばってね。私も楽しかったよ。尻尾を触らせてくれてありがとうジャミル。
 足も冷えてきたからね、私もそろそろ帰ることにするよ。」

お小言が増えるのはごめんだなぁと笑いながら、踵を返していくジャミルを見送るだろう。
ジャミルの姿が見えなくなるまで見送れば、さて…といいながらセレンルーナも川から足を引き上げていく。
風魔法で乾かしたあとに、靴下とブーツを履いて、乗馬用の上着を羽織れば馬に乗って王都の中へと戻っていくだろう。

グァ・ジャミル > 「大丈夫大丈夫、今日は俺一人だから!」

(果たして本当に大丈夫なのかという疑問はさておき、身なりを整えたら軽く手を振って。
 彼女になら見えているだろうが、梳いて貰ってふわふわになった尾っぽが連動するように揺れている。)

「おう、こっちこそありがと! じゃーまたな!」

(また会うことがあれば、声を掛けに行くだろう。
 姿かたちを変えようとジャミルの"目"に焼き付いた物は消えない。
 いつかまた再会する日も来るだろうと予感しつつ、手を振って再び森の中へと去っていった。
 その後も、彼女が帰る時も森は魔物一匹出ない安全な森であっただろう──。)

ご案内:「王都近郊の森」からセレンルーナさんが去りました。
ご案内:「王都近郊の森」からグァ・ジャミルさんが去りました。