2023/05/13 のログ
ご案内:「平民地区 酒場」にオウルさんが現れました。
オウル > 平民地区の酒場はいつもと変わらず賑やかである。
今夜は取引の為に酒場に来たのだが、思いのほかスルリと取引が終わり、誤魔化すために注文した飲み物が今更届いて少し困っている。

酒場には似つかわしくない少年が一人、酒場の片隅にあるテーブル席に座っており、テーブルにおかれた飲み物と焼いた肉を前に頭を抱えていた。

酒、呑まずにはいられない!人間ではない。
なのに置かれたのはお酒であり、焼肉も香辛料たっぷりで、美味しそうを越えて辛そうで、呑めない食べられないモノが揃っていて、どうしていいのやら。

例えば香辛料がたっぷりとふられた焼肉。
香辛料を払って食べるには肉にしみこんでいて手遅れ感。
お酒、飲むと記憶が飛ぶので飲みたくない。
注文したのは自分ではなく取引相手が誤魔化すために注文した品で、飲まないのに注文したと思われると後で何かあった際にその違和感で何かしら疑われそうで、怖い。

さーて、ひとまずどうしようか。
テーブルに頬杖をついて、エールが注がれた木製のジョッキをもう一方の手で指先でツンツンと突く。
飲んでしまえばいいのだろうけど、ほんとどうしたものか。

オウル > モノは試し。
で飲んで前後不覚になるのは大変よろしくない。
ならせめてスパイス漬になってる焼肉の方を頂く。

「……辛くても、死ぬわけじゃないし。」

辛いモノは苦手、甘いモノ万歳の味覚の自分にとっては香辛料は得意じゃない、だけど冒険者の端くれとしても食べ物飲み物は無駄にもしたくないという事もあって、眉間に皺をくっきりと寄せて真剣な表情を浮かべたまま、ジョッキを突いていた指先で焼肉を一切れ摘んで、あーんと自分の口に放り込む。

そのままムグムグと咀嚼。
途端に口内に広がる無数のスパイスが織り成す何ともいえない芳醇な香りと極上の辛さ。

んー!?んーー!んー!!と呻いて頬杖を解除して、両手でバンバンとテーブルを叩く、叩いても解決するわけじゃないが、叩いてしまった。

幸い賑やかな酒場ではテーブルの叩く音くらいでは注目されなかったが……。

オウル > 勿体無い精神はここでも発揮される。
何とかスパイス漬けの肉を飲み込むと、近くにある飲み物に手を伸ばして、グッとジョッキを持ち上げて中身を喉に流し込むと、手をあげて給仕さんを呼んで肉を持ち帰りに包んで貰う。

代金は前払いで、支払って……い……。

――…きおくはここでとぎれている。

ご案内:「平民地区 酒場」からオウルさんが去りました。