2023/03/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 鍜治場工房地区」にスピサさんが現れました。
■スピサ > ◆
ガラガラガラ
工房が並ぶ地区の中 スピサはその日、木材をいくつか調達してこうして揃えていた。
材木屋で何年も干しておいたような希少な罅割れ知らずではない
なるべき身の詰んだものを選ぶものの基本的には外を歩いて切り取ってきた素材。
持った重さ 眼で見る木肉の詰み具合 それらで判別しながら削り上げて使う為か
全て消耗品と変わらない扱いである。
乾けば罅 細くなりどんどん勝手は変わっていく。
木像や楽器で使うようなものほど、年単位で干したものを使うだろうが
ここでは完全な消耗品でしかない。
木材を何に使うかと言えば、いくつか先に仕上げて置いた手斧の部位
樹液や虫人の筋繊維で仕上げた伸びる弦で用いる弓の矢素材など
須らくそれなりに雑に扱えるものばかり。
「…、…。」
金属製の物差しやナイフを用いて、ある程度成型する時間に黙々と費やす薄青い肌の両腕
眼帯を額にずらし、夕焼け色の大きな単眼がジッと手元を見下ろしている。
コリ、コリ シュッ、シュッ 鍜治場での木材を削る音だけが響く光景もまた
鍜治場の音の一つと言えるだろうか。
来客もおらず、売り物にするか自前にするかもわからないハンドアックスだ。
ナイフ替わり 投擲 野宿での簡易な寝床造り 色々な用途があるだろう。