2023/02/27 のログ
ご案内:「魔族国への国境付近」に赫徹さんが現れました。
赫徹 >
外に出ている間だと、やることは木の実取りや野鳥、または獣を狩る方向になりやすい
しかし今の時期ではまだ雪を忘れる頃合いではないせいか、冬眠を知らない猪
もしくは野鳥や野兎が主流だろうか。

そんな獲物を片手に帰宅し、自作している密造酒の通名 月光 を盃に注いでグッと開ける。

透明な、水のような酒 雪のようにクリアな味わい。
味ではなく熱で伝えるようなそれを一杯だけ中に注いで体を労わるれば
赤毛のドワーフ 赫徹 は外に出ている間に、ふと鉄を打ちたくなり工房のほうへと出向いた。

店とは名ばかり
出来上がった刀に分類される作品らは基本的に漆を塗りつけ、錆びの防止がされて保管。
見世物のように店頭に並ぶわけではなく、打ちたいものを打っているだけでしかない。
川べりに構えた店故に、水車が動く音が聞こえるだろうか。
水車運動の杵つき仕掛けのように、鉄を錬る際の相槌を求めて動かす為の円柱槌が備わる大仕掛け
それがある工房は、日明りをたっぷり取り入れられる場所で行われている。

昼と夜で見える鉄が違うからと、閉鎖的ではなくむしろ開放的な場所だ。
炉に鞴で火を入れながら、革と芯になる鉄から鉄を選びながら、ぼんやり考える。


        「打ちたかっていったっちゃ、何ば造ろうか。
         たいがい素材も充分溜まったけんよかし。」


赫徹は、今から造る刀の形がまだ見えてこず、ゆっくりと鉄棒の先に鉄片を積み上げながら
一人生活が長いせいか、独り言を良く漏らす。
割れた鋼の欠片を積み上げた後は、濡らした上質紙に包んでから泥藁を掛けるのだが
そこで一度手を止めているのは、造形を思い描いている故だろうか。

ご案内:「魔族国への国境付近」から赫徹さんが去りました。