2023/02/05 のログ
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にリスさんが現れました。
リス > トゥルネソル商会は何時も活気だっている商店ではあるが、今は殺気立っている。
 無論、店員が、ではなく客の方が殺気立っている。
 その理由は、リスの行なっている、バーゲン。

 ―恋人応援フェア―

 という物である。
 今は、万愛節であり、恋人たちの月である、恋人だけではなくて、夫婦とか家族とかもあるけれど。
 まずは、恋人である。
 そして、フェアの内容としては、恋人に送るための贈り物全品30%引きから、リスを捕まえれば、最大1ゴルトに。
 商品に関してはなんと、三階の武器防具以外であればなんでも、という頭のおかしい値段設定。
 普段、高くて手には要らないような貴族様が着るような服、アクセサリーなども、リスを捕まえれば1ゴルト。
 そうでなくても、普通の値段の30%引き。
 元々、薄利多売を旨としたリスの商店からの30%引きは、赤字覚悟も良い所。

 そんなフェアだからこそ、恋人に贈り物をしたいと思う男女が、全力で1ゴルトの元=リスを探して走り回る。
 ちゃんと、店内に居る事は間違いはなく、店外に出る事は無い事は、表示しての事。
 店員たち総動員で、リスを逃がし、客が追う、そんな鬼ごっこな状態。


 そんなことして店が保てるか、と云えば、他では無理だろうが、トゥルネソルは問題は無い。
 そもそも、物流に関しては、ドラゴン急便などで大幅カットの上、安く新鮮。
 それをしても大丈夫だと、両親の認可も得てのことである。

 なので、店内をとたとた走る、どんくさい少女。
 つかまってないのは、店員のガードがとても上手だからに他ならない。

ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にヴェルニールさんが現れました。
ヴェルニール > 何かの気紛れ――ではなく。
勿論それなりに要り用があっての買い物だったのだが。
大店の商会は随分と広く、目的の商品を探すだけでも随分と歩き回る事になり。
そして、ついつい他の品にも視線を取られていれば、半ば冷やかし客のようになってしまっているのだが。
しかし、押し売りの店員が居るでもなく、のんびりと長居…は、できそうにない雰囲気だった。

「一体…何事ですの?」

何故か殺気立っているのは、客たち。
露店でバナナを叩き売りする如く、目玉商品でもあるのかと思ったが…

自分の傍らを一陣の風のように駆け抜けていく人影に小首を傾け。
薄手のコートの裾が跳ね上がり、その下の長いワンピースの裾もふわりと持ち上がって。
黒髪を靡かせつつ、視線で追えば。
どうやら鬼ごっこらしきものに興じている店員と客。
そこで漸く、張り紙に気づいて。

「まぁ…随分と面白そうなお遊戯ですこと。」

さりとて、鬼の仔が分からないので、暫くは店内の騒ぎを眺めるだけなのだが。

リス > 商売人というのは、何時でも商売をしている者である。
 そして、商人というのは、何処にいても商人なのである。
 新しいお客様の来店となれば。
 とことことーと、小走りに、ヴェルニールに近づいていく。

「いらっしゃいませ!トゥルネソル商会へようこそ!
 わたくし、当店の店長、リス・トゥルネソルと申します。
 この度は来店いただきありがとうございます。

 ただいま、万愛節セールを行っておりまして。
 冒険者用の武器防具を覗く、贈り物に使える食料やアクセサリーなど、全て30%引きにさせて頂いてます。

 そして、私を捕まえると。
 どんな物でも、1ゴルトで進呈しますわ。

 私も恋する乙女ですし。応援しますわ!
 ああ、そうそう、私、足とか速くないので、店員さんに、お邪魔してもらってますの。」

 と言う事で、お気が向けばどうぞご参加くださいまし。
 ペコリと少女はヴェルニールに向かい、お辞儀をする。
 そして、くるり、と背を向けて、とことこ走り出す、その足の速さはなんと。
 子供が必死に走っている程度、まあ遅い。
 踊り子をしている彼女であれば、直ぐに捕まえられる速度だ。

ヴェルニール > 駆け抜けていった一陣の風を視線で追ったその後、小さな足音に気づいて。
その気配が近づいてから、ゆったりと振り返った先には小柄な少女がおり。

「あら、これはどうもご丁寧なご挨拶、恐れ入りますわ。
店長さん――リスと仰るのね。
あたくしはヴェルニールですわ。

えぇ…なんだか楽しそうな催しをされているのね。
それではお誘い頂いた事ですし、ひとつ参加致しましょうかしら。」

可愛らしい彼女を眺めて唇を持ち上げ。
同じように腰を折って一礼を返して。
そう参戦の旨を告げる前には、踵を返した背がとことこと軽快な音を立てて去っていくところだったのだが。

本人が言う通り、どう見ても鬼ごっこ向けではない速度。
さて、それではお邪魔されてみようかしら…と。
妨害前提で追いかけてみる。

リス > とことこ。とことこ。必死に走っているリスは、之で全力なのだ。
 これが人竜、半分人間半分竜の存在と知れば、まあ、驚きだろうが、リスはこれが全力なのだ。
 足が遅いだけで、体力があるので、ずっと走って居られるのが幸いという所。
 妨害に関しては、全力で体当たりするお客さんを止めたり、とか。
 危険な客から、リスをガードするのが主であり、普通に追いかけていく分にはそこまでの妨害は無い。
 在ったとして精々横から、わっと、声を掛けて脅かすくらいか。

 全力タックルとかする客に対しては、壁になって受け止めたりしてる。

「ふふ、楽しんでいただければ幸いですわ。
 そうそう、ヴェルニール様。
 私を捕まえたら、このお店の、贈答用の商品、どれでも一つ1ゴルトにしますわ!
 私を捕まえて、素敵な恋を頑張ってくださいませね。」

 とことこ走りながら、参加表明をするヴェルニールに、ちゃんと趣旨と報酬をお伝え。
 意中の人に送る物。
 値段は確かに気に成るところだが、必要なのは、贈る心。
 そして、物の価値が確かな物なら、値段は気に成らないだろうし。
 何より、その為に、努力をしている、1ゴルトで渡したとして、プレゼントとしての価値が下がる事はあるまい。
 だから、頑張れ、の意味を込めて。

 とたとた走る鈍重娘。

ヴェルニール > とてとて、と云った効果音のとてもよく似合う足取りは、とても遅いけれどもリズミカルで聞いていて飽きず。
弦楽器で伴奏でもしたいところ…と、表情を緩めつつ後を追う。
韋駄天並みの俊足、などという訳ではないものの、それなりに体力はあるのか様子見しつつ追っていれば、成程彼女を取り押さえに掛かったところで妨害が入るらしい。
と、他の戦士達を眺めて頷き。

「困りましたわねぇ…
そう言っていただけるなら是非にという心持ちですけれど。
生憎と本日の所望は、巷でなんとやらの愛の宴に贈る品ではありませんのよ。

…と、いうよりは…。
素敵な恋とやらを1ゴルトで売って頂きたい処ですわ。」

万愛節にちなんでチョコレートでもひとつ、という訳では無かったらしい。
そして今のところ、薔薇の花束を贈る予定もないのだが。
プレゼント目的でない事を馬鹿正直に告げる必要など見当たらないのに、そんな事を言いながらも追いかけ――

敢えて遊んでいるのか、会話を楽しんでいるのか。
距離が近づいても飛び掛かるでもなく。
あまり近づき過ぎると、お化け屋敷のスタッフの如く横槍で店員に驚かされるようなので、そんなギリギリの頃合いを保ちつつ追いかけて。
あぁ、と思いついて立ち止まると、お品書きにはありますかしら、と首を傾けてみる。

リス > 危険なタックルでなければ、店員たちのガードが入るわけでは無い。
 矢張り、足が遅くとも、恐竜のような走りでも、リスは人竜だ、パワーはそれなりにある。
 だからこそ、普通の人とか子供とかがとやーとぶつかっていくことに関しては、店員が止めることがない。
 止めるのは、大体戦士などの冒険者の屈強な人たちの、全力タックルだ。

「ふふ、万愛節は15日まで、まだゆっくり時間がありますので、ゆっくりお考えいただければ。

 素敵な恋……ですか。
 一応、奴隷は販売しておりますが……素敵な恋、というのは違いましょう。
 恋仲の奴隷が居るなら兎も角ですわね。

 むしろそう言うのは、娼館が、メインでしょうし。

 ―――私を口説くお積り、というのであれば?
 でも、私は人妻、ですわ?」

 恋自体は売り物ではない、というか、そう言うのは娼館がすることだと思う。
 気に入った奴隷が居るのだろうか、だからそれを買うのだろうか。

 若しくは、と小さく笑って左手の白金の指輪をみせて。
 其れでも宜しければ?と、冗談を一つ返して。

 会話の出来る範囲て突いてきているので、返答を返して見せる。
 というか、どんくさい小娘が左手の指輪を見せようと振り向くものだから。

「あ。」

 当然の帰結とばかりに足を縺れさせて、コロコロり、と転がってしまうのだった。

ヴェルニール > 「あらあら…
全力で捩じ伏せにいくだなんて、紳士的ではありませんわねぇ…」

種族的な問題があるにしても、見目からして厳つい戦士の身でタックルというのはいただけない、と大仰に溜息などついては、片手を自らの頬に押し当てて。

足を止めずに走りつつ。
…しかし、手を抜いている訳でもなかったのか、余裕があるように見せながらも、息は上がってきている。
軽く肩を上下させつつ、コートを翻して、長いスカートの裾を足で捌いて。

「愛とは万人に与えられるもの…ではなかったかしら…
あら、そうですわね、恋と愛とは非なるもの。
鎖に繋いだ恋、あるいは一夜に鬻ぐ恋というのも素敵ですけれど…」

奴隷自体は扱いはあるらしい。
楽し気に口元を持ち上げるものの、未だ奴隷の商品は見繕ってすらいないのだから気に入るも何もなく。
掛けられる最後の言葉に、片眉を持ち上げて。

「ふふ、勿論魅力的なお嬢さんを口説くご用意ならば…」

言いかけて振り返りざまに片手を持ちあげてみせる彼女の身体が傾ぎ。
足を縺れさせるのが見えれば駆け寄って。
間に合うのならば転ぶ前にと受け止めようと腕を伸ばし。

リス >  ころり、と転がってしまう体は、然して加速した彼女の腕の中に。
 ぽっちゃりな体系な少女としては

「ええ、ええ。
 ヴェルニール様の言う通りではありますわ。
 でも、一般的に婚姻を結んだのなら、その相手との愛を重ねていくのが、婚姻という物でしょうし。
 矢張り、鎖につないだ愛というのは、倒錯的にも、程がありますわね。」

 万人に与えるべき、博愛の精神は、確かに彼女の言う通り。
 しかし、婚姻を結んだとなれば、伴侶相手に愛を育んでいくしかないと思うのだ。
 彼女の腕の中で、彼女を見上げて、成程、と小さく。

「では、一ゴルドと、言いたい所ですが……。
 そろそろ時間的に、私、交代の時間なのです。
 ですので……そうですね?

 別の機会を、作ると言う事で如何?」

 仕事も24時間お店の中に居られるわけでは無いし体力的には難しい。
 家の事もあるのだから、帰らねばならぬ。

 なので。

 ヴェルニールに一枚。
 九頭龍温泉、九頭龍の水浴び場の無料券を。
 よくそこに居るし、おさそいくださいましね?と。

ヴェルニール > 腕の中に捉えた少女のふわふわとした体躯を抱きとめて起こし。

「ひとの域でいうところの婚姻はそうですわね。
決まった相手との情を深めていくもの…というのが一般的かしら。
婚姻の相手は一人きり…という場合も多いようですし。
だからこそ倒錯的なものにも惹かれる心は皆どこかにあると思いますのよ。」

愛だの恋だのを語るにしても、偶然で抱き留めたままの態勢とあっては不利も甚だしい。
こちらを見上げてくるスカイブルーの瞳に水のような緑色を返して目を細め。

「これで捕まえた積りになって舞い上がってしまっては、何だかあたくしが囚われたようですわ。
…ええ、楽しいお時間をありがとう。」

身体を離して、差し出された券を恭し気に受け取れば、それを衣服の隙間から胸元に滑り込ませて。

「九頭龍温泉…は、まだ足を運んだ事はなかったの。
またリスと逢う事があれば、運命を感じそうですわね。」

それではお身体を労わってね、まだ期間の間は店内鬼ごっこを開催するのだろう彼女へと笑みを残して。
本来の目的だった品はそれはそれで普通に購入して帰宅する事にしたらしい。
一体何に使うのか、鬼面と升と大豆を購入していったとか。

リス > 「その倒錯に、酔いしれるのか、溺れるのか―――そこは、その人のセンスという物なのでしょうね。」

 自分を支えてくれる彼女、起こしてくれるのであれば、有難う御座います、と微笑み零して見せて。
 自分を見やる緑の瞳を、人ならざる彼女を見上げてみて。
 それからもう一度、ふふ、と笑って見せる。

「どのような形であれ、捕まえたのですから、ルールにのっとって、1ゴルドでプレゼント、ですわ。
 先程もお話ししましたが、ええお疲れ様です、楽しんでいただければ幸いですわ。」

 その為のイベント、その為の催しだ。
 売りもの買い物、それはメインであろうとも、楽しんでいただけての買い物は最高だ。
 イベントだけでも楽しんでいただければいいのだ、と少女は笑って見せて。

「呼び出しても、良いんですよ?良く、其処にお風呂に入りに行きますから。
 でも、其処で出会ったときは覚悟してくださいましね?
 肉食の恐竜ですから。」

 九頭龍温泉にはよく遊びに行く。
 行く理由は―――今は秘しておくことにする。
 ただ、迂闊に来ると大変ですわ、と脅しておくことにして。

 30%安くなった、東方の節句の道具を買って帰る彼女を見送り。
 引継ぎをして、リスも帰るのだった―――。 

ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からリスさんが去りました。
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からヴェルニールさんが去りました。