2023/02/03 のログ
ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』2」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > 「……ふーむ。【万愛節】ねぇ……。
 丁度、ぼくが来る前の催しだったからか……こういうのもあるんだねー……。」

自分の店。そのカウンターに肘を付き、催されているイベントに関して独り言ち。
それはそう。想い人に対し、贈り物――― 一般的にはお菓子などを贈る。というもの。

「という事で、早速作ってみたわけだけどー……うーん、やっぱり食べ物類は魔具と違って、完成度があんまりよくないかなぁー……。」

そう、他の店がそれに肖って様々な贈り物を用意しているので、自分もまさにそれを用意してみようと想ったのだ。
カウンターに並ぶそれら……以下、説明。
・個包装された袋の中に入ったナッツを散りばめたチョコスティック×6本入り。
・糖分補給に向いていそうな一口サイズのレーズンパン×3切れ。それとなぜか氷砂糖。
・アメジストを埋め込んだ銀色の指輪。付けたものの愛情を深める―――所謂、魔具。一歩間違えれば催淫まで行えるやつ。

「他のお店のと比べると、しんぷるだぁねー……はてさて、売れるかどうかー……。」

なお、お菓子関係は売れなかったら店主のお腹の中である。

アシュベール > 「人によっては、これ。食べれない人もいるからってレーズンパン用意したけどー……うーん。普通にぼくが食べたくなってきたなぁ。」

チョコはともかくレーズンパン。何故かお菓子でもなんでもないのは、カカオという食べ物を苦手とする人がいるかもしれないから。
それはそれとして。変な時間に起きた事で、微妙に小腹が空いている。其処に、美味しそうなチョコやレーズンパンがあるとどうなるか?

「……いやいや、これはお店の品物。流石にねぇ……食べるわけには。
 いやまぁ、また作ればいいんだけどー……。」

――夜も更けてきた頃。おそらく、こんな時間に起きているのはちょっとした悪い子か、冒険を終えて戻ってきた冒険者か、仕事を終えて帰宅する一般人ぐらいか。
閑古鳥が鳴く店の中―――食べるか、食べざるべきか。葛藤……。

アシュベール > ――そんな葛藤を続けて数分。扉から伝わるのは人の気配ではなく、肌寒い風によって揺らされ、きしきしと音を立てるその建付けの悪さ。
あー、ちょっと整備しないとな~……。なんて思いながら、足元が定位置となっているミミックのミミッくんから取り出すのは―――炎の魔石を内部に詰め、魔力を伝達させることでその中にあるものを温める。

まぁ、所謂トースターである。

「―――よーし、食べよう。この時間のご飯は罪の味~……♪」

愉しげにカウンターにセット。魔力を使って熱を起こすため、電気なども必要ない。
レーズンパンの包装を開け、機械の中にIN! そして掌を其処に添え、魔力の伝達。
一気に炎の魔石は熱を灯し、小麦とレーズンが熱されたことで甘酸っぱい香りが店中に広がる。もしかしたら、店舗の外にも。

「……今度、これの実演販売でもしてみるかねぇー……。まぁ、問題は魔法使えないとガラクタってことだけどー……。
 お、よーしよーし……ふかふかしてきたねぇ。うへへ……。それと、牛乳もっとぉ。」

そして、更に用意するはミノタウロスから絞られた栄養満点、濃厚な牛乳瓶と銀色のマグカップ。
瓶の中身をカップに注ぎ、魔力伝達。そう―――これもまた炎の魔石。中に注いだ液体を熱するもの。ホットミルクである。

――甘酸っぱい香りにホットミルクの淡い香りまで加わった。

アシュベール > 熱し終えれば、機械から取り出し、魔力を止め。
薄暗い店内で、ふわふわと湯気がわかるぐらい熱を持つそれらを見て、満足げ。

「さて、と。準備完了……いただきまーす……。」

―――ほかほかレーズンパンにホットミルク。完璧な夜食。
これを食べて、ゆっくりして。

また起きたら、新しいパンを作って売り出そう。
きっと、それは美味しいから。

ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』2」からアシュベールさんが去りました。