2023/01/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 飲食店街」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 昼の王都マグメール。昼時の平民地区には多くの店が連なっている。そしてその中には無論において人間達の三大本能の一つである食欲を満たす為の飲食店もまた揃い踏みになっていた。現在は丁度昼食時であり、人気の店を筆頭にしてそれなりに客入りも悪くない、店としてはかきいれ時の時刻だろう。
その中、若干人の通行が乏しき交通の便の宜しく無い一角において或る異変が起きている。全く客が入っていないのに、何となく続いている店、そんな店をきっと見た事があると思う。いかにも寂れ切っており、店構えも古めかしく一切整備の手を広げていない。余り美味しいものを食べさせるようには到底に見えない店内からくゆる湯気と共に芳しい香りが立ち昇り続けている。

「………」

店員すらも見受けられない店のキッチンでは窯に火をかけ続けていた。その魔女の窯と見紛うばかりの大釜の中で煮え立っているのはあたかもコールタールのような黒いうねり。そして今も匂い立っている『美味しそうな匂い』の根源たるや他でもない見目においては食欲の欠片も湧きそうもないその怪物であった。
熱を加えて自らの放つフェロモンのような様々な誘発物質を揮発させ、こうして誰かをおびき寄せようという魂胆であるのだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 飲食店街」からドラゴン・ジーンさんが去りました。