2023/01/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」にスピサさんが現れました。
スピサ > 昼の鍜治場工房が並ぶ王都マグメールの一角
煙突が突き出た店が多くあり、煙を昇らせて炉を発し、鉄を打つ。
その音がいろんな場所から聞こえてくる。

店によって作風は変わり、得意とするもの 譲れないもの
色々な個性が見えてくるだろう。
手にする者が求めるものは、武器防具屋の販売店に並ぶものではなく
敢えて店に作った代物を並べている事から直接購入する
それで値を抑える者もいれば、一対一で向き合って注文する者など
それは懐の具合まで選ぶ理由になる。


「…、…。」


スピサは、炉と向き合う時間ではなく現在 一本の剣 に対して向き合っていた。
工房の中 一定の向きに固定された明りの中 使い込まれた剣に対する全体的な直しである。
古ぼけた柄 凹んだ鍔 剣身は先端下の片側の部位が薄く潰れている。
罅こそないものの、歪み 血が流れ滴ることで柄の内側に侵食する血錆などがある。


刃は使えば使うほど 朽ちていくもの 道理である。


スピサは器具を用いて、まずは柄となっている木製と巻布を解体した。
完全に固定できるよう接着の乾きと目釘が打ち込まれた後、片側を潰している。
取り外す為にノミを用いて柄を割り、目釘を金鋸で切り落とすというもの。

完全に掃われた姿を眺め、傍には水に漬けていた砥石とブラシ
粉末を練り込んだペーストなどが並ぶ。

スピサ > 剣は錆びても、芯に練りあがった鉄があれば蘇る
大きさは縮むものの、確実に。
罅も薄ければ取り払えば問題ない

研ぎは研ぎ過ぎたことで薄い凹みを造ることや、逆に刃を尖らせることで生まれる食い込みと亀裂など
専門商売にしている者は、魂の入った剣は1000年保たせるか10年で折るかはそれ次第ともいう。
無論、使い手が剣に対する気遣いなく無遠慮な振りを繰り返すのもいただけない
武器を手加減して振り下ろす事に異を唱える者は 岩に剣を叩きつけることに異を唱えない者である。

問題の剣は、パリィや防御 それらを同じ個所で打たせずに適度に分散させることで長く保っている。
鞘に納める前に汚れも払ってから納めれば、余計な砂利や異物で貫き納めで余計な傷が入ることもいない。
刃を拭ってから鞘に納める行為は、損は一切ない。

スピサは、その大きな単眼を凝らしてから血錆をとある根菜の粉末を混ぜた湯の中に漬けたままブラシで擦る。
何度か繰り返しながら、やがて箆で削りきると元の鋼の粗い部位が姿を見せるだろう。
ここに艶が出るほど求めてしまえば、柄はアバズレ同然になる。

コリコリ カシカシ 小さな動作 細かい作業 それらを終えてから
剣の対する研ぎの作業に入ろうか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房地帯」からスピサさんが去りました。