2023/01/05 のログ
■アッシュ > 幸せの種、と何に対してか呟き返したけれど、それは聞こえているやらいないやら。
「おお、何だ何だ……おや、そんなものが紛れこんでいたのかい」
外へ出ている間は、身につけている物の色んな所に色んな物が隠されているから。危ない物を掘り出さないように実は上手く体勢やらで誘導してはいたけれど。
毛玉猫の迷子対策用、と言うそれを見やりながら、なんだか自分の方が迷子対策されているような気もして少々面白い。
「将来の仕事、か。学生ってのは確かにそこが一番悩む所なのかもしれんなぁ。
学んだりしながら自分を高めつつ……その間に自分向きの何かを探す、ってのは学生の本来の姿なんだろう。おじさんは……学生ってやつはやらなかったがね。
ま、普段の仕事の合間に、リアの事をあれこれ考えるのも好きでやっていることだから、楽しみの一つとしてそっとしておいてやってくれたまえ。お膳立てしようとしてるわけじゃあないのは、もう解ってるだろうしな」
自分のジョッキがふと空になっていて。
隣で飲んでいるものが美味しそうに見える、と言うのはよくある話、次の一杯は折角だから同じものを貰おうか、と空いたジョッキを返すついでに自分のぶんも頼むことにして。
「実家……例の商売もしているやんごとなき家の方、か。
反則技のようなものもあるにはあるが……まぁ、それは最終手段かねぇ。おじさんが直に手出しすることになるしな。……これでも意外と、色んな所に顔が効くんだぞ?
とは言え、今は進路相談に乗ってやるぐらいが無難な所だろうさ。そっちはいくらでも好きなだけ、ってやつだ」
自慢気に胸を張って見せる。大げさなそぶりのせいで、本当かどうかは実に怪しく見えるのだが。
■リア > 「これが無いと毛玉を自由にさせてあげられないから、なるべく早くと思って。
ペアの方を持ってきていなかったら、行き違いでしたね。……。
……行き違いにならないように、アッシュさんにも首輪をつけておくと……便利なのでは……?」
布リボンもポケットにしまい、名案が浮かんだ顔。
思いのほか炭酸の強かったジンジャーエールをちびちび飲みながら。
「ふふ、雇われの身に余る優しさですねえ。甘え癖がついたら困ります。
うちの学校は特に色んな科目があるので、逆に決めきれなくて悩んじゃいますね。
……アッシュさんはなりたかったものってありますか?
子どものころとか……探偵さんが第一希望でした?」
幼少時代……あるいは少年時代のアッシュを思い描こうとするけれど、なかなか難しい。
意外とぽっちゃりだったりしたら面白いな……と一人で想像して口元が緩んでしまう。
が、最終手段云々に表情を翳らせて。
「はんそく……? ……何かしら、怖いことはしちゃだめですよ。
アッシュさんにご迷惑がかかったら私、泣きますよ。うちの父は何というか、血も涙もないんですから」
鬼なんです、悪魔なんです、とまじめな顔で並べ立てる。
■アッシュ > 「ああ、なるほどな……広い個人邸ならともかくも、部屋の外を自由に散歩させてやれないのはかわいそうだものなぁ。
はっは、おじさんは首輪なんか付けてもいつのまにかするりと抜け出ているようなやつだよ。むしろリアの方に付けて――いや、それは何だか嫌だなぁ。どうせ主張するなら、指輪をワンサイズ大きくするとか、そういう形の方がいい」
アクセサリーと言うより拘束しているみたいになりそうで、小さく首を横に振り。
以前、指輪がどこに合っていたかもしっかり覚えていたものだから、やり返すのにはそれで充分だろうとにやにやしていて。
「ん、なりたかったものか。王様になりたい、と思ったことはあるな。思うままに善政を敷くなら一番上に居なきゃならん、と思っていたような気がするねぇ。
……もしくは、悪い王様なら逆にやっつけるような勇者とか? 探偵の仕事は、色々あって行き着いた先、と言う感じでな。気に入ってはいるがね。
必ずしも一番に思い描いていたものが、自分に本当に合う、とは限らんものさ」
悪い輩をやっつける、と言う意味では今でも実はある意味現役ではあるのだが。
自分のぶんのジンジャーエール、をわりと一気に流し込む。このぐらい強めの刺激も男には丁度いいぐらいのようで。
「いやいや、そんなに大したものじゃぁないのさ。おじさんは喧嘩は苦手だしなぁ、危なくない、危なくない。
あれだな、やるとしたら……リアを人質に、返してほしくばリアを差し出せ、とかやってみるか?」
■リア > 「そうですねえ……アッシュさんの首輪は何だかイメージがわかないし。
私はつけても良いですけど、意味がないのでは……? 女子寮に遊びに来るんですか?」
まあ、とはれんちなものを見る目。主張?と首を傾げ。
「王様は面倒見が良いから向いていそう……安心なお国をつくってくれそうですね。
本当に、自分が四年後か五年後……何をしているか分かったらもう少し楽になれる気がするのですけど、……やりたいことかあ……」
頭の中のアッシュ少年に王冠を載せ、帯剣させたところを思い描いて心温まって微笑む。
少しずつ飲んでいたジンジャーエールがようやく無くなって。
やりたいことなんてあったかしらとぼんやりしかけて。振り子時計がぼおんと時間を報せる音に顔を上げる。
「いけない、明日は朝早い講義があるのでもう行かなくちゃ。
アッシュさんたら、優しいのは良いけど、危ないことしちゃだめですよ。
悪魔は人が考えつかないような遠回しな嫌がらせしてくるんですから」
人質作戦に、じゅうぶん危ない、とふくれ気味である。
グラスをカウンターへ置いて、ゆるんでいた髪を結わえ直し、帽子をかぶる。
■アッシュ > 「女装して女子寮に遊びにか? ……いやぁ、流石に二十年は若くないと無理があるなぁ」
人質作戦より、そっちの方がよほど危険そうだ、などと笑っている。
男の方は、四年や五年の後でもただ今よりもっとおじさんになっただけ、のような気はするが。少女の方はきっと今より大人で、今より綺麗になっているのだろうか?と目を細めて想像してみる。
何をしているのか、と言うなれば、その頃もまだ隣に居ればいいのだが、と思いはするが。
「おお、寝不足でうまく頭に入らない、では意味がないからな。
おじさんは悪魔祓いのお守りでも買いに行ってこようかねぇ……気をつけて帰るんだぞ?」
丁度、自分の方も飲み物は空になっていたし。
今日のところはお開きにしよう、と店を出る支度。
「学院近くまでは付いて行こうかね、その帰りに色々と買い物もあるしな」
店主に軽く挨拶の後、それじゃあ行こうか、と店を後にするのである。
■リア > 「アッシュさんの女装……ひえ……」
二十年前が想像できないので、今のアッシュに女装させるイメージしかできない。
同じように何年か後を想像されているとは思わず、目を細める前で何とも言えない顔をしている。
「アッシュさんは飲んでばかりじゃなくてご飯も食べるんですよ。
そうだ、私目玉焼きの練習を始めるので、今度毒見させてあげましょう。
ご馳走様でした!」
アッシュとお店の人にそれぞれ言ってから、連れ立って店を出る。
卵の栄養についてを懇々と説きながら――
ご案内:「平民地区/酒場」からリアさんが去りました。
ご案内:「平民地区/酒場」からアッシュさんが去りました。