2022/12/13 のログ
■アシュベール > 彼女が木のカゴを受け取ったなら、影の手はひらひらと揺れて、しゅるんっ!カウンターの奥に消えていく。
そして、それを視線で追ったなら。眠たげな表情を緩ませ、私がやりました。って言いたげな顔をしている店主に気付くはず。
「どーもどーも。うへへ。―――まー。こうやって、結果が返ってくるのは嬉しいものだよー。
帰ってこなかったり、一度しか来ない冒険者さんもいるからねぇー。
……まー。夜は基本的にやってるからー……あー。けど、素材集めとかで外出てる時もあるからー……過信は禁物だよー。」
店主の生活リズムのせいで決まった時間に開店していない店であった。
そのまま、ミミックの中から取り出したそれは、そう。一見、特に魔力を感じられないもの。
が、大型のモンスターたちの素材を使うことで、アイテム自体に効果がエンチャントされている逸品。
結果、高い。材料となったのはどちらも大型タイプの魔物であり、そこそこ強い冒険者でないと討伐出来ない者たちだ。
―――示した値段は、一般的な外套の数倍。
彼女が驚きの声を零すのも仕方がないのです。
「この外套と同じで、装備者の活力に連動して効果が発動するタイプだからねー……。
おー……見る? おーけーおーけー。あ、さわってていいよー?」
カウンターにそのふわもこあったか外套を置いたかと思えば、再びカウンターの下に身体を滑らせ―――
何かを取り出す音。それと共に、魔法を使う彼女になら分かるかもしれない。―――かなり強力な魔力を出す何かを取り出したと。
「よーっこいしょ……。これだねー……。お値段は……まー。金貨―――ン枚かなぁ。」
先程の外套と違い、全身を覆うタイプの漆黒の外套(マント)。光沢感すら感じる程のそれは、上質な絹のよう。
そして、出した金額もとんでもなかった。普通に武器、防具の店で一括で装備を新調出来る程の。
■パット > カゴを受け取れば手を振るようにして引っ込んでしまう影の手。
それを視線で追いかけ、眠たげな表情を緩ませる少年を見れば魔法だったのだと思い。
「それは私もわかるよ。同じ依頼人に仕事を貰えると嬉しいし。
ここみたいに品のいい店に来ないって勿体ないのにね。
その時はその時かな。開いてない時は出直すよ」
つまりは少年は夜型なのかと、それは昼間ではなく遅い時間に来るようにしようと考え。
開いていない時はその時はその時と口にして。
見せられた外套はその素材だけで凄さがよくわかり。
自分よりもずっと強い冒険者でないと用意も出来ないものばかり。
それ故に値段に納得もするがこれならかろうじて手が出なくはないのだが…。
「うん、見ておきたいな」
少年に見たいと告げ、カウンターに置かれた外套に触れてはその手触りにうっとりとしてしまい。
聞こえた取り出す音に視線をそちらに向け、強い魔力に瞳を見開いてしまい。
「それだけの品だから……値段も納得できちゃうよ」
全身を覆える漆黒のマントを見れば思わずに唾を飲み。
是非に欲しいとは思うが自分が持つにはもったいないと思える逸品で。
「その外套は私には勿体ないよ。買うならこっちなんだけど……。
ぅぅ…少し足りない……」
ポーションとおしゃれな耐寒の外套にしようと財布を取り出し。
少し足りない事に肩を落として。
■アシュベール > 「そゆことー……まー。此処は魔道具の店が多いからねー……。
それでいて、立地的に平民地区のいいところチョイス!っていうのもよくある話だからさー。
やってないときはー……平民地区なら、そーねー……『透明な薔薇』とかはおすすめかもねー。店員さんが可愛いって噂。まー、行ったこと無いけど。うへへ。」
確かに、自分のものを選んでもらえるのは嬉しいが。
結局買えず、アイテムなしで行くことになったら大変。
なので、冗談なのかそうじゃないのか分からない言葉と共に、他店舗の事も伝えておくのである。
―――触れることを許可した道具は、手触りだけではない。
この外気に触れさせていたというのに、肌寒さは一切感じない。寧ろ指をすべらせる度に、熱を感じる程のもの。
炎を司る獅子の毛の効果。そしてその熱を別の魔物の毛で維持しているのである。
そして、取り出したもののに―――相手は驚いた様子。
「まー。これはうちの防具の中でもかーなーりー高いやつだからしゃーない、しゃーない。あー、素材は企業秘密ー。」
―――上位の魔物の素材を、色々とお願いして譲ってもらったもの。名前を告げれば驚かれるタイプのそれなので、唇に指を添えて、秘密のジェスチャー。
ただし、着用すれば下級魔法程度なら弾き飛ばし、高火力の魔法でも威力を減衰させるという逸品である。
「まー……仕方ないねー。このあたりは、パットさんがいい感じにお金手に入ったらってことでー……。
…………ふーむ。」
どうやら彼女の持ち手は足りない様子。肩を落とす様を見れば、ちょっと考える素振りを見せる。
流石に此処まで見せて、触らせて、はいおしまい!は商人として気がひけるので―――。
「んー。じゃあ、パットさん。何か今、換金できそうなアイテムとか素材ってあったりしないー?」
と、提案を。影の手に黒い方の外套を握らせ、しまいつつ。
■パット > 「ただ行ってみると移転してるとか多いから。
その良い所をチョイスが一番難しいと思うよ?
平民地区ならそこなんだね、ここが開店してない時に行ってみるね」
貧民地区は店の移動が時々あるからと肩を落とし。
平民地区ならと勧められた店、まだ行った事はないがまた行ってみようと考え。
触れてみれば本当に手触りがよく。
そして触れておれば寒さを感じすに暖かくすら感じてしまい。
素材の組み合わせでこんなになるんだと感心をしてしまって。
「かなりって、富裕地区でもそうそう扱ってないと思うよ?
どっちかっていうと……聞きたくない?」
もう見た目と感じる魔力だけで上級の魔物の素材が必要と判り。
きっと自分では見ることもない名前が並びそうと思えば、首イブに指を添えて秘密という少年に首を振って。
「お金よりも先ずは中級冒険者にならないとだよ。
思ったよりもってなかったみたい…」
もう少し持ってたと思っていたと思っていただけに予想外。
欲しいけどちょっと足りない、どうしようと考えこんで店内を見回して。
「換金できそうなの?それだと……前に遺跡で見つけた短剣かな。
あ……あれってまだ募集してる?何でもするよ?」
少年の言葉に考え、前に見つけた短剣。飾り気のないそれをカウンターに置き。
そして店内を見回したときに見つけたバイトの募集、雇ってもらえれば何でもするよと口にして。
■アシュベール > 「まー……そだねー……。特に此処、何が起きるかわからない!って感じの王都だーし……。店によっては移転というか破壊されたりすることもあるしー……。
ああ、此処はそんな移転する予定はないって伝えとくよー。
おっけーおっけー。うへへ。そうしてくれると嬉しいねー。やっぱお店は儲かってなんぼ、だからねー。」
―――そんな、貧民地区故の事情を思い返せば、溜息がひとつ。
此処はある程度のセキュリティを持っているのでその辺りは安心。
―――少なくとも、手で触れた彼女からの印象はかなり良い。
其処まで考えてもらったものを売らない。というのはなんというか、もやもやする。
実際、目の前の彼女は寒そう。特に足回り。其処を隠すわけにはいかないだろうから、彼女も全身を覆うタイプの道具を求めているんだろう、と考える。
「まー。こう見えて……素材集めに関しては優秀なスタッフを配備しておりますゆえー。
……如何にも魔法に精通してそーなイメージだったけど、まだ駆け出しさんだったのかなー? それにしてはこー……色々と慣れてる感じがしてたけどー。」
人当たり。魔法や道具への理解。彼女から感じさせたのは、如何にも慣れた感じの雰囲気だったからこそ。
中級冒険者にならないと。という言葉には、少々驚きを隠せなかった。
眠たげな目をほんのりと開いて疑問を零したところで―――。
「おー……短剣。いいねぇ。遺跡で見つけたってことはアーティファクトかなー。
おー……? うんうん、その辺りはもちのろんー。従業員は多いほうがいいからねー。
ま。今は、そだねー……来る人も少ないから、素材の収集。前に行ってたことをしてほしいかなー……あー。」
―――ここで、どこか閃いた表情。
「そーだねー。素材集め。それと、この店のアイテムをねー……使ってみてよー。
いわゆる、テスター。で、そゆのを冒険者ギルドに報告してくれればー……いい感じにウィンウィンじゃーないかな? うへへっ。」
―――そんな提案。一日に指折り数える程度しか人の来ない店だと、店番は足りている。
結果、求めるのはそういったもの。魔法使いである彼女には向いているだろうと思っての。
■パット > 「いきなり変なのが押しかけて来るとかもあるって聞くし。
それを聞いて安心したよ。
私も代わりの店を教えて貰えて助かったよ」
ごろつきや強盗ならまだしも、衛兵がという場合もある。
この店は以前に気配も感じなかった手練れがいたのを思い出して大丈夫そうと安堵し。
その辺りで扱う薄っぺらい外套とは違い、手触りや触れれば暖かいという事にすっかりと魅了され。
出来れば買いたいが、寄りにもよって予算に裏切られたことは想定外。
動きやすさを優先した服装はどうしても布地も少なく、あの出求めていたものだけにどうしても欲しくて。
「優秀すぎると思うけど……上級冒険者でも抱えてる?
ちょっと訳があって駆け出しレベルで仕事をしてるんだ。
実力は中級はあるって思ってるよ」
驚きを見せる少年に、ちょっとした事情でランクアップしていない事を告げて。
その事情はもしかすればいずれ話すかもしれないが、今は口にせず。
「どうなんだろ。取り分でくれたやつだからなんともね。
よかった、だったら申し込んじゃう!
雇われるからには何でもするよ、店番でも採集でも、掃除でも何でもね」
「採集は得意だし任せて。店のアイテムを…?
あ、そういう事なんだね。うん、いいよ。任せて」
その提案に任せてと薄い胸を張って告げ。
そういう仕事はそれなりに得意、きっと少年が望む結果を出せるはずで。
■アシュベール > 「あー。あるあるー。ま、ここはその辺り、セキュリティ整えてるからねー。其処はご安心をー。うへへ。
―――どーいたしまして。此処にもない道具とかが並んでたりするしねー。まずはいろんな店、見てみるのが一番だーね。」
此処は幸い、衛兵に目を付けられるような悪いことはしてないのでその辺りは安心。
―――まさかそれが、単に後ろで荷物整理のために呼び出してた下級悪魔だなんて、彼女は露知らず。
「―――まー。バイトになってくれるわけだし、この辺りは伝えといていいかぁ。
……や。実のところねー。ぼく、魔物使いなんだよねー……。
だから、テイムした魔物に素材を分けてもらったり、集めてもらったり。魔物に対しての技とかを使って、こー……ちょちょいのちょいってねー?
結果、人海戦術で素材を集めて……こーやって、店を構えたってわけよー。うへへ。」
―――ウソ半分。ホント半分。自分の正体は明かさず、素材の集め方を説明。
これから素材集めをする以上、彼女にもその魔物の恩恵を伝えるかもしれないから。
実際は魔王であり、使役するのではなく召喚だなんて、説明しても荒唐無稽でしかないと思っている故に―――。
「理由があるなら、しゃーないねぇ。実際、高ランクの冒険者ってギルドに呼び出されたり、人によっては王都から命令が来るって聞くしー……。
その辺り、気にする人も多いのかねー……――ま、それなら、実力派申し分なしー。……よーし、採用。」
ぽんっ。と、手を重ね合わせ、採用通知。
普通なら面接をしたりするところだが、目の前の彼女の人となりは、この数回の来店で把握しているため不必要。
それと共に―――。
「あー、採取と掃除は有り難いから、そこらもしてくれると有り難いねー……。
てことで、これは先行投資ってことでねー。それとー……。」
―――先行投資。彼女の手に握らせるのは、彼女を魅了してやまなかったその外套。それと。
折りたたんだそれに乗せるのは1枚の護符。先日、彼女が此処で一服していった時に、こういうものがほしい!と言ったので用意していたもの。
「じゃ、まずはこの護符のテスターになってもらおっかなー……。効果は、前に所望したとおりに、作っといたからねー。」
■パット > セキュリティは整えてあると聞けば一安心。
この店にない道具と聞けば興味に瞳を輝かせて。
セキュリティがしっかりとしていれば問題ごとが起きても大丈夫だと。
本当に凄い店員がいると勘違いをして。
「え?魔物使いなの?それで……。
それなら確かに集めやすいね。今度その動物に会ってみたいかも。
自分の能力を生かすのはありだよ」
魔物使いと聞けば納得してしまい。
それでこんなに品揃えのいい店を運営できるんだと感心して。
「呼び出されるのが一番大変だって思ってるから。
本当?よかった」
採用通知を聞けば満面の笑みで喜び。
これからは、冒険者の合間になるのだが頑張ろうと意気込みを見せ。
「これでも家事も一通りできるから任せてね。
これ…いいの?」
先行投資と外套を渡されると瞳を輝かせ手早速纏い。
そして渡された護符は先日に話したときにこういうものがと言ったもので。
「もう出来てたんだ。うん、任せて。きっちりとテストしてくるね」
そうしてその護符を大事にしまい込んで次の依頼の時に早速試すと告げて。
■アシュベール > 「そゆことー。まー……セキュリティも、隠れてる魔物がしてくれるってわけー。
とりあえずは、そーね……はい、どーぞ。ミミックのミミっくんでーす。」
どんっ。此処で自己紹介。足元にあった宝箱を持ち上げ、カウンタ―に乗せた。
綺羅びやかな黄金の装飾が目立つ、如何にもなミミック。其処の蓋がぱかっと開けば、先程彼女に木のカゴを手渡した影の手が、ひらひらと揺れて―――。
「……だろうねー……何というか、その辺りはめんどくさいからねー……。
まー、実力に関しては、道具を使ってちゃーんっと戻ってきてるってことでねー。なんとなーく、把握してるからご安心を、だよー。」
それに、強すぎる道具を見て一歩引く。自分の実力を客観的に見れる人。
それはある意味安心。道具のテスターになる以上、無条件でアイテムを渡せるわけではないのもあるのだから。
「任せるよー。と言っても、眠ってるだけでなんとでもなる低燃費なんだけどねー。うへへ。
―――えー? 良いよー。そのために作ったものだし。ほら、護符は元々安いって言ってたでしょー。
効果を失ったらそこまでだからねー。そこまでがーっつり使ってくれればねー。なくなればまた用意するから、ちゃんと言うんだよー?」
外套を纏う彼女。青の衣装にチェック柄は少し目立つかもしれないけど、
シースルーで肌が見えている肩口や腕周りが隠れることで、視覚的にも肌寒さは消えたような気がする。勿論、外套の加護により、彼女も僅かな肌寒さからも解放されたわけで。
「うへへ。どーもどーも。……と。
――もう、こんな時間かー。今日は、そろそろ閉店時間だぁねー……。」
―――ふと、時計を見る。既に深夜に差し掛かる頃。
■パット > 「それは安心だね。でも本当に言うことを聞いてるんだ。
この子が色々と取り出せてた訳なんだね」
カウンターに乗せられた宝箱、黄金の装飾の立派な宝箱、ミミックがいたのならと驚き。
蓋が開いて先ほどの影の手が出てくればよろしくと握手をしようとして。
「出来れば王都の近くで依頼をこなしたいからね。
そこは大丈夫、無理はしないようにしてるから、ちゃんと戻って来るよ」
自分に不似合いなアイテムを持てば自滅をする。
それは重々わかっているので自分に合ったものを揃えるのは基本と考えていて。
なのでテストする道具も無理なく確実に効果を確かめるのを第一にしようと決めていて。
「眠っててもちゃんと食べないと駄目だからね?
それならありがたく受け取るね。効果もきっちりと確かめておくね。
判ってる、その時はちゃんと言うから。効果時間とかも記録しておくね」
外套を纏えば感じていた肌寒さは感じなくなり。
姿見を見れば少し目立つかなと思いはするが、それはそれでいいかもと思うはず。
先ほどまで感じていた肌寒さを感じずに数度の傍で軽く回ってしなって。
「あ、もうそんな時間?せっかくだし掃除でもする?」
その言葉を聞けば帰ろう、と考えるもその前に掃除だけでもと告げ。
少年の答え次第で閉店の手伝いをし、大丈夫と言われれば邪魔にならない様に帰路とつくはずで…。
■アシュベール > 「うへへ。そゆこと。―――まー、荷物を保管してくれるし、宝箱だって思って開けた侵入者を撃退してくれたりとー……大活躍だよー。」
低級の魔物なため、他の魔物よりも召喚時間が長い彼。
お陰で店の作業の最中もこんな風に近くにいてくれる。
差し出した掌を、ひんやりとした影の手が握れば、あくしゅ、あくしゅ。
「―――よーし。それならよーし。
実際、此処は王都だからって安全!ってわけじゃあないしねー……。
最近はゴブリンやドラゴンが王都内に出てくる!なんて噂も聞くしー。気をつけなきゃだめだよー。」
―――改めて、言葉にすると割と魔境である、この王都。
本当に何が起きるかわからないからこそ。テスターになった彼女は色々と頑張ってもらいたいし、戻ってきてほしいのである。
「―――おー、テスターとして完璧な。真面目だーねぇ。けど、そのぐらいが助かるかも?
まー。まとめすぎも疲れるだろうしー……パットさんの出来る範囲までで問題ないからねー。うへへ。
―――あー、じゃあ、早速。
外套の防寒作用が機能してるか。お外の掃き掃除からしてもらおうかなー。」
では、まず。ミミックの中から箒をぬるっと取り出せば、それを彼女に差し出すのである。
防寒作用が効いていれば、外での掃き掃除は全くもって苦ではないだろう。
流石に、店内は危険物が多いので―――自分がするとして。
そして、中外、しっかりと綺麗になったなら。
最後にあったかいものを差し入れし、彼女を見送るのである―――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/魔具店『シャイターン』」からアシュベールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/魔具店『シャイターン』」からパットさんが去りました。