2022/12/02 のログ
カルヴァ > 吸血鬼を狩る。そこに妥協はない
身体能力も魔力も劣る人間の少年が吸血鬼を殺すにはひたすら隙を伺う他無い。
言い方を選ばなければただの暗殺だ――忍び込み棺桶ごと壊したり毒を盛ったり呪術に頼る。弱らせて精神を疲弊させて数ヶ月かけて仕留める吸血鬼もいる。
教会、聖なる騎士として正々堂々と戦って勝てないのだから卑怯な手をいくらでも使う。

――ただ、少年は吸血鬼が憎いわけではない。

孤児として拾われ教育をうけた。生かしてもらった。
そして同様の境遇の元孤児もそうやって魔族や吸血鬼対策の尖兵になっている。
だから自分もそうする。それが任務で――自分が仕留める吸血鬼が多ければ他の仲間はこんな事はしなくていい。
生きる為に殺す。人を襲いおもちゃにするような吸血鬼ならば心は傷まないが、王国にいる吸血鬼にはそれなりに人間とうまく共存している者も多い
ならば――これはただの殺人なのだろう。教会という教義と正義のための悪を殺す儀式。

――なんと罪深い事か

「地獄があるなら、きっと行き先はそこだから」

墓碑に向かってつぶやく。吸血鬼の行き先ではない
もし地獄というものがあるならば――きっと自分は死したあとそっちにいくのだろう。 こんな事が赦される訳ないのだから。
矛盾しているが、命を救われた恩義と、同類、仲間の負担やこんな殺人をやらせないためには続けるしか無いのだろう。
珍しく……少年は疲れたようにため息をつく

ご案内:「自然地帯・森に囲まれた澄んだ泉と小さな墓地」からカルヴァさんが去りました。