2022/11/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/図書館」にバルゴラさんが現れました。
バルゴラ > ガリ、カリカリカリ、カリカリ、カリ、パキンッ!

平民地区の片隅にある図書館。
あまり人が寄らないのか、それとも担当者が書物に興味がないのか、最低限の整理整頓と清掃はされているが、出入り口の扉の鍵は開けっ放しで、館内は明かりをつけっ放しの何ともいえない無人の図書館となっている。

その中で硬質なものを削る音、硬質なものが割れる音、随分と賑やかな音を奏でてしまっているのは自分である。

今夜はいざという時の為の魔法を封じている水晶製のカード、それをとある事情で寮の部屋は使えないので、この穴場とも言える図書館で作業をしていた……で、それを削る音と割れる音である。

図書館の中央部に読書スペースとして設置されているテーブルと椅子、其処に紅いビロードを広げて、水晶板の束を積んで、その中の一枚と格闘している最中の失敗。

失敗してひび割れたそれは、端っこに避けながら新しい一枚を自分の前に手繰り寄せると大きなため息を吐く。
……これ水晶板一枚幾らするかご存知だろうか、と、誰にと無く呟くと、指先で摘んでいる専用の魔法銀のペンをくるりと回して、眉間に寄せている皺を更に深く刻むのだった。

「………っかしいなぁ……透視の魔法用は上手く出来るんだけどねぇ……。」

今製作しているカードは攻撃用のカード。
普段成功しているのは仲間内で人気の高い衣服を透過して見えるように眼鏡にエンチャント出来る透過魔法を封入したカード。

欲望が成功に結び付けているのか、ただ単に作りなれているのか、今作りたいのはそのエロ眼鏡用ではなく普通の攻撃用の魔法を封入するためのカードなのだが……。

バルゴラ > 「………ベースとなる水晶板に封入したい魔法に対応した図、その図の基礎となる点をつける……。」

復習の為に独り言を。
どうせ誰も聞く者はいないのだ。
聞かれたところで困ることは無いが、ともかく口の中でポソと魔法を封入するためのカードの作成方法を繰り返し、手順をなぞる。

水晶板。
これには最初に割れぬように防護の魔法を掛ける。
次に専用の魔法銀のペン。
それに魔力を込めればペン先は紫色の輝きを帯び、魔力を帯て、それを眼鏡のレンズ越しに確認したら水晶板にペン先を落して、大きめの点を刻む……。

ガリ

「次に刻む図に合わせて、小さな点を必要な数だけ刻む。多くてもダメ、少なくてもダメ……今回は射出用の魔法だから……イメージは矢。」

次にペン先を言葉どおり、イメージした矢の図に合わせて、カリ、カリ、カリ、と小さな点を刻む。

ペン先への魔力の集中。
常に水晶板が割れぬように魔力を送る。
二つを同時にこなしながらの作業はキツイ物があるが、同時に楽しくもある。

図書館の中、広がっている静寂。
それを支配する音は自分の水晶板に文様を刻む音。
悪くは無い。

バルゴラ > 大きな点、小さな点、この両方を刻み終えると次の工程。
次は大きな点から小さな点に小さな点から別の小さな点にラインを引くように水晶板を刻んでいく。

カリ、カリカリ、カリ……カリ、カリカリ………。

先程失敗したのは此処。
刻みすぎて貫通し、其処から水晶に亀裂が入り使い物にならなくなってしまった。

だから今度は慎重に少しずつ、少しずつ、本当に少しずつ。
上級ともなればこの段階で属性の文様を刻んで、より魔法を封入しやすくするのだが、まだその域に届かずなので、高望みせず完成を重視し目指す。

カリ、カリカリ……。

静寂を次なる音色で塗り替えて、図書館の館内にまた音を広げる。
聞く人によってはこれの音は眠くなるらしい、が。

バルゴラ > 図書館に誰来ないことをいい事に暫くは図書館を占有して作業を続ける。

カリカリ、カリ、カリカリ、カリ……。

せめて1枚、できれば2枚、と作業は続くよ何時までも。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/図書館」からバルゴラさんが去りました。