2022/10/12 のログ
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にルーウェンさんが現れました。
ルーウェン > 「………うーむ………。」

平民地区、冒険者ギルドの掲示板前。
壁の一面を占めても尚所狭しと貼り出された依頼や手配書の数々と対峙しながら、唸り声をあげる一人の冒険者の姿が其処に在った。
その様子から、受ける依頼を吟味しているであろうことは想像に難くないのだが。

九頭竜山脈に出現した魔物の討伐依頼―――どう考えても自分向きではない。
ダイラスへ向かう隊商の護衛―――悪くは無いが、もしもの際に備えて腕が立つ仲間が一人か二人欲しいところだ。
無名遺跡で新たに発見された階層の調査―――以下同文。

割の良い依頼は幾つか目に付くものの、如何せん単独ではそれに伴うリスクとを天秤にかけた結果後者の方に傾いてしまう。

「やっぱ、組んでくれそうな誰かを捜さないと駄目かねぇ………。」

前衛を任せられそうな者か、ある程度魔法に精通した誰か。
美人の女性であれば尚良し―――というのは半分冗談ではあるが、そんな期待を密かに抱きながら、掲示板に釘付けになっていた視線を一度外すと、ギルドに併設された酒場の席の方へと泳がせてゆく。

ルーウェン > 「―――いやまぁ、判ってはいたけれど。」

自嘲気味に笑う。
視界に映るのは皆いつもの顔馴染み同士で結成されたパーティーや、自分のようなスカウトの手など借りずとも十分に依頼を達成出来そうな腕自慢ばかり。
試しに近くのテーブルで談笑していた二人組に駄目元で声を掛けてはみたものの、バランスの悪さを理由にやんわりと断られてしまった。

「………となると、やっぱりこの辺か。」

再び掲示板の方へと戻した視線はその隅の方、薬草採取や荷物運び、下水掃除といった割安な分危険度も低い依頼書が集中する部分を彷徨ってゆく。
その中で、自分の技能や性分に合っていそうなのは―――
やがて手慣れた様子で掲示板から破り取った依頼書に記載されていたのは「迷い猫の捜索」。

この辺が己の身の丈にはちょうど良いだろう。
そんなことを苦笑い混じりに思いながら、依頼を受注するべく見知った受付嬢の元へふらりと足を運んでいった―――

ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」からルーウェンさんが去りました。