2022/10/08 のログ
ご案内:「看板の無い店」にメリュジーヌさんが現れました。
メリュジーヌ > そのおっとりとした面差しの魔女は、店の奥の広々とした来客スペースに独り、居た。
毛足の長い絨毯が敷かれ、中央には足の低い厚ガラスのテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで、クッションが柔らかい上等の横長ソファーが一つずつ。
魔女が座すのはその内の一つ。適度な弾力の背凭れに体重を預け、ゆったりと足を組み。

店の出入り口には魔術が施されており、無意識の内に波長が合ってしまった者は、
ふらふらと入口を潜り、商品陳列エリアを通り抜け、奥の来客スペースへと入室するだろう。
一種の洗脳の効果が店自体にかけられているのだ。そして、魔女の餌食となる。
魔術の抑制が効かない危険な者が入って来る事も有るが、滅多に有る事象ではないし、
とタカを括っている。永い時を生きた人ではない種族特有の増長と言えるだろうか。

店の洗脳効果を察知し、洗脳されずに踏み込んで来る輩も、稀に居るのだから──

ご案内:「看板の無い店」にエルビーさんが現れました。
エルビー > 余はエルビー・カルネテル。この国に住む王族の一人だ。
学校帰りに街を散策していた余は不思議な店の前で足を止める。
入り口になんだか不思議な魔術が掛かっており、耐性の無い者の嗜好を操作する様だ。
生憎余はこういった魔術で気が触れることはないのだが足を踏み入れる程度は問題ないだろう。

…うん、問題ないだろう。
嫌そうな顔をされたらすぐに帰れば許してくれるはずだ。

「こんにちは~。 お邪魔、します…。」

最後の方は語気が弱くなってしまう。
やはり初めてと言うのは緊張する。

メリュジーヌ > 「ん~?」

くつろいだ姿勢はそのままに、魔女は首を大きく傾けた。

「君、私の魔術がかかってないみたいだねえ」

嫌な顔というより不思議そうな表情を浮かべた魔女は、首を斜めにしたまま少年を見遣る。
見遣ると言っても、そのニコニコとした目元はどこを見ているか定かではないのだが……

「ウチ(自分の店)に何か用事かなあ?」

と、問いかける。
つまり少年はあえて、意図して入って来たということだが、様子からではその目的がわからない。
ストレートな問いであった。

エルビー > 「まあな。 余は魔法に関して長けておってな。
あの魔法は余には聞かんぞ。」

魔女らしき雰囲気の女性は椅子に座ったまま余を眺めている。
綺麗な人だ。
余は自らの凄さを少しアピールできる場なので、胸を張っていた。

「そうだな…物珍しい物が好きだから、目に付いたこの店に入ったわけだが。」

余はそこまで言うと、相手の顔をちらりと見上げてから近づき、耳元で囁く。

「余で良ければ一緒に楽しまんか?
勿論、そういう意味でだが。」

と言っても、余は魔術の効果を受けてないので正気を保っている。
そんな状態の余で向こうが良ければだが。

ご案内:「看板の無い店」からメリュジーヌさんが去りました。
ご案内:「看板の無い店」からエルビーさんが去りました。