2022/09/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の外れ」にフィルさんが現れました。
■フィル > 昼の賑わいも、暑く降り注ぐ日差しもどこへやら。
すっかりと人気も酒場などが並ぶ通りからはまばらとなり。
夜のとばりが落ちれば、昼間の暑さの名残を拭うように涼しい風が吹き抜けていく日々が増えれば、季節の移ろいを感じられるかもしれない。
季節によって人の出入りが変わる水遊場もあれば、年間を通して賑わいをそこまで変えない湯屋や酒場などもある。
季節ごとの賑わいを見せたり変わらなかったりといった、町の施設が立ち並ぶ中、人気も少ない路地裏というものは、どの季節も良くも悪くも代わり映えしないのだった。
「やっと…一息ですね…」
人気のない路地裏を抜けた静まり返る住宅のはずれ。
ポツンと明かりを零して佇むお店の中で一つ誰にでも聞かせるでもなくポツリと零れる声一つ。
店の中で唯一蠢く人影の主である少年は、店内の椅子へと腰を下ろせば、背もたれに身を預けるようにして、やがて体から力を抜いていくのだった。
普段から人気もなく、店主もあまり雑貨を扱う一階には顔を出さないお店は、少し少年が離れていると埃がたまることも珍しくなく。
配達続きで戻ってくれば、軽い掃除もされていない様子を見て、店番早々軽い掃除に少年は取り掛かることになって今に至るようだ。
「また、変な物入荷したんですかねこれ…」
何もしてなければ、カタカタと夜風に揺れる掛け看板が扉をたたき。
しずかに響く音が、相変わらずの静けさを感じさせる。
山の中でもないのに、痛いほどの静けさにも近い状態を感じられるのは、町の中のお店というのにちょっとした困りものでもあるかもしれない。
大人も子供もお楽しみグッズ。
そう書かれた箱が店内の棚にこれ見よがしに置かれているのは、恐らく店主の仕業なのだろう。
如何わしいものは大体店主の気分でとられるものであれば、何が起こるかわからないものを、不用意に触れるというは店員の少年であっても、少々勇気がいるものであり。
そのせいで置きっぱなしになっているといった所か。
■フィル > 「これは…後で倉庫にでも入れておきましょうか」
全く売れていない。
といった様子が見受けられないのは、箱が空いているのと、箱の隙間から見える部分に空きができているからだろう。
もっとも、どんなものが入っており。
どんな層がこの人気のないお店で買ったのかと思えば、想像しきれるはずもないのであった。
説明書も付いていないとなれば尚更人目につく場所に置いておくのも、雑貨階の店番をしている少年からしたら不安なところもあるのだろう。
カタカタと、相変わらず静けさの中に音を立てる、夜風に揺られる看板を唯一の賑わいにしたまま時間は過ぎ。
やがて夜もすぎ、朝を告げる時刻が近づき始めていけば、少年もまた一休みの準備を始めることにしたようだ。
「倉庫に入れて…あとは戸締りで今日はいいかな…」
箱を開けることはなく。
そのままお店の裏。
カウンターから続く扉を開けた先にある、さまざまな品物の押し込まれた倉庫へと少年は足を運べば、もうそのままお店を閉めて返るつもりにしたようだ。
パタパタと店内に響く足音。
そして薄暗い廊下や倉庫とくれば、慣れないものが踏み入れたりすれば、路地の先という場所もあり少々涼しい思いをできるかもしれない。
人に化けず元の姿で接客をしていれば、出会ったお客は確実にホラーの一幕を楽しめることにもなるだろうが。
接客中は流石にそういった悪戯をしようとは思ってはいないのだろう。
しばらくすれば倉庫にしまいこみ。
店内に戻ってくるままに、少年はまた店内啞を歩き回り。
戸締りを終えていけばそのままやがて出入口すらしめて、帰路へとついていくことにしたのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区の外れ」からフィルさんが去りました。
ご案内:「洞窟」にミメシスさんが現れました。
■ミメシス > いつもより大きく響き広がる小波の音。
空に浮かんだ月の輝きが水面を照らすが、薄雲により少し陰りが見える。
――セレネルの海。
その海岸にある岩場に隠れた「とある条件」を満たすと姿を見せる海賊の宝が眠ると噂されている洞窟。
洞窟を訪れるの一攫千金を夢見る冒険者か、ただ海岸を散歩しに来た牙無きものか。
今夜は偶然にその洞窟が姿を見せる条件を満たし、洞窟の入り口は潮の満ち引きにより、多少は海水が流れ込んではいるが、何か誰かを待ち受けるように解放されている。
闇と潮騒と白波で磨かれて滑らかとなった地面と天井と壁――それと潮溜り、それに天井に走る亀裂より注ぐ弱く淡い月の輝き、奥に行けば夜空に通じる亀裂はなく、闇だけが冒険者を待っている。
今はまだ弱くも輝きある場所でアレはつるりとした天井に張り付いて獲物をじっと待っていた。
闇の中で僅かな月明かりに姿を晒すのを避けるため、天井の岩と同じ色に身体を変えて身を隠しながら、皮膚より溢れ滲ませる粘液を落とし、じっと、じっと……。
ぴちゃん……ぴちゃん……
今夜は特にアレが滴らせる水音は大きい。
何故ならば潮の満ち引きの加減により洞窟には海水が流れ込んでいる。
幸いな事に洞窟が海水により閉じるまでまだ時間が掛かりそうではある。
が、その時は確実に訪れるモノだと示唆するように人の踝程度の高さまで海水が入り込んでいた。
ご案内:「洞窟」にルキアさんが現れました。
■ルキア > セレネルの海の砂浜を、さまようように歩いていると薄雲に陰る月の光の先に、ちらりと洞窟のようなものが見えた気がして、少女はそちらへと興味をひかれるように訪れていた。
砂浜から岩場へと移動して、足場の悪い中を進んでいけばやはり見間違いではなく洞窟がぽっかりと口を開けていた。
そこが、海賊の宝が眠るとうわさされている洞窟であることを少女は知らなかったが、洞窟そのものに少女は惹かれた。
喪ったわが子を育てていたのも、また潮の香の強い入り江の洞窟だったから…少しでも思い出に浸りたいという気持ちがあって、少女は洞窟に足を踏み入れていく。
ぴちょん、ぴちょんと、どこからか水滴が滴り落ちる音と波打つ音が洞窟内に反響している。
潮だまりを避けるように、滑りやすい岩を慎重に少女は奥へ奥へとカンテラの明かりを頼りに進んでいくだろう。
ご案内:「洞窟」からミメシスさんが去りました。
ご案内:「洞窟」からルキアさんが去りました。