2022/09/12 のログ
ご案内:「洞窟」にミメシスさんが現れました。
ミメシス > いつもより大きく響き広がる小波の音。
空に浮かんだ月の輝きが水面を照らすが少し陰りが見える。

――セレネルの海。
その海岸にある岩場に隠れた「とある条件」を満たすと姿を見せる海賊の宝が眠ると噂されている洞窟。

一攫千金を夢見る冒険者か、ただ海岸を散歩しに来た牙無きものか、偶然今夜は洞窟が姿を見せる条件を満たしていてか、その洞窟の入り口は潮の満ち引きにより、多少は海水が流れ込んで入るが、何かを待ち受けるように解放されている。

闇と潮騒と白波で磨かれて滑らかとなった地面と天井と壁――それと潮溜り、それに天井に走る亀裂より注ぐ弱く淡い月の輝き、奥に行けば夜空に通じる亀裂はなく、闇だけが冒険者を待っている。

今はまだ弱くも輝きある場所でアレはつるりとした天井に張り付いて獲物をじっと待っている。
闇の中で僅かな月明かりに姿を晒すのを避けるため、天井の岩と同じ色に身体を変えて身を隠しながら、皮膚より溢れ滲ませる粘液を落とし、じっと、じっと……。

ぴちゃん……ぴちゃん……

今夜は特にアレが滴らせる水音は大きい。
何故ならば潮の満ち引きの加減により洞窟には海水が流れ込んでいる。
幸いな事に洞窟が海水により閉じるまでまだ時間が掛かりそうではある。
が、その時は確実に訪れるモノだと示唆するように人の踝程度の高さまで海水が入り込んでいた。

ミメシス > 粘液が滴り海水に落ちて奏でる音が徐々に徐々に静かになっていく。
アレは狩場をかえたのか或いは海水がこれ以上洞窟に満ちることを予感してか。
ずるり、ぞろり、ずるり、ずるり、と柔らかな肉と粘液が岩と擦れあう不気味な音をたて、海水のこない場所へ洞窟の奥の空洞へと姿を消す。

其処にそれが居た名残は粘液が残滓が射し込む月明かりを反射して見せる輝きのみ。
もうあの香りもない、気配も無い、新たに落ちて海水に沈む粘液もない。

ご案内:「洞窟」からミメシスさんが去りました。