2022/09/10 のログ
ミメシス > アレが微動だにしなくても、表皮から滲み溢れる粘液はとろりと糸を引き垂れて、つるりとした石の地面に落ちてぴちゃ…ぴちゃと音をたてて広がり小さな粘液溜りを大きなものへと徐々に変化させていく。

それは滑りやすく、潮の香りを上書するほどの甘い香りを放つようになるが、結局は潮満ちた時に全て流される運命にあり、アレが存在していた形跡は跡形も無く消えていく。

アレ自身はどうなったのか?
洞窟に流れ込んだ海水に圧され潰れたか洞窟の奥に流れいったか、それは次に洞窟を見つけたもののみ知る事に。

ただアレは此処だけに存在するわけではない。
無名遺跡にも自然地帯にも目撃情報はある。
今夜此処で犠牲者が出なかっただけで、どこかではまた新たな犠牲者が生まれているだろう。

波の音が聞える。
夜なのに海辺に舞う鳥の鳴声も……。

ご案内:「洞窟」からミメシスさんが去りました。