2022/09/01 のログ
ご案内:「山中の別荘地」にフィリさんが現れました。
■フィリ > 【お約束にて】
ご案内:「山中の別荘地」に影時さんが現れました。
■フィリ > 「…そぅぃった部分の不確かさ、掴めなさも――また、はぃ。神秘性と言ぃますか――我々、にとっては。
解らなぃからこその、興味を惹かれる…その一因に。なってぉります、かと。
…ヒトに、とっての、我々――も、また。同じなのかもしれませんが。
そ、そぅですね、はぃ。カモフラージュ率…だとか、ステルス性だとか、聞きますが…それは、まぁ。
服装による物…とは、また。異なる意味合ぃだと、思われるの――です」
士農工商だっただろうか。彼等の国に於いて、サムライと呼ばれる者達が、上に立っていた。それくらいは知っているが。
まことしやかに囁かれる噂話。闇に潜んだ影の物語。そういった物が彼の国でも――更には。それ以上に余所の国で、人気を持つのは。
不思議で、不確かで。しかし決して嘘偽りではない――間違い無く存在する、そういった者達への。憧れや興味を抱かされるからだろう。
――さて。何だか違う方向へも飛びかけた、少女の思考。
服装一つで市井に溶け込む、潜入すべき場所に相応しく取り繕う。それは言ってみれば変装という奴である。
対して自然の中の場合は…もっとシンプルに。色や形を周囲に合わせ、紛れ、見分け辛くする――生物の擬態。其方の方が適切か。
しかし此方は、暗殺だとか潜入だとか、というよりも。部類としては狩猟や――更に違う国めいた、迷彩、という代物となりそうだ。
少なくとも少女が商会で。あれこれ見繕うような代物にはならないだろう。
…それよりは、やはり。少女のまだまだ狭い世界、その中に彼を溶け込ませる…招き入れる、その為の装い達の方が。
ずっと解り易い、選び易い、筈。
「――決して不思議な物では、なくとも…そもそも。私達、同士。同じ場所で、生きてぃる、同士も――ぉ互ぃを。見てぉります…し。
我々は常に。観測される、事で………で、ででででっ、っ…!!
そ、それは…!そぅぃぅのは、観測される訳にはぃ…ぃかなぃ、と、思われるので――す、がっ!!?」
また飛んだ。話の内容が面白いように誘導されてしまう。
折角色々難しい事を考え、思い出し、纏めようとしていたつもりなのだが。これでまたリセットされてしまいそうだ。
取り敢えず――夜の、だとか。性的なだとか。そういった枕詞が付くと、少女は普段以上にポンコツと化すので。
学術的どころか、まともな話を続けるというのですら。難しいかもしれない。
…とはいえ、まぁ、流石にさっきの今である。少しばかり進歩というか変化というかは有った。
きゃぁきゃぁと声を上げはするし、夏日の熱気以上の湯気をたてそうにもなるのだが――今度は。両手を振り回さなかった。
あらやぁだと言わんばかりのジェスチャーが、そのまま、魔鎚を振り回す惨事に直結する事が無かったのは。きっと誰にとっても幸いだろう。
「――…――それは、まぁそ…の、は――ぃ。私も……同意見です。
勿論、その。そぅぃった事柄を、生業としてぉられる方々を――否定するのでは、なぃのです、が。
私個人とぃたしましては…ぇぇ、大事な事柄ですので…ぁくまで。私的に…私自身の、為に。するべき事だと思って……ぉり、ます。
…ぁー…欲、その物、でしょぅか?…其方優先…とぃぅ、のが。公私の私にぁたるの…かは。言明、出来かねます――が…
とはぃぇ。殿方…そぅぃった方、良くぉられます、し……はぃ。英雄色を…とか、どうとか…?」
ぷしゅぅ。そんな音が、少女の脳天から発されそうな有様ではあるのだが。
とはいえ仮にも同じく。色や恋に満ち溢れたこの国の一員である。少しだけでも、意見は述べておくべきだろう。
彼が今し方、言ってみせたのと同様に。そういう事は、仕事や任務の手段ではなく――目的として、行いたいと。
…交わる事を。性交とも言うが、情交とも言うではないか。肉体だけではない、それ以上も交え重ねてこそなのだ――と。
が、其処で格好良く終わる事の出来ないのが。往々にしていつもの少女である。
欲目的、快楽目的、というのも。多々在るし…否定、しきれないなと。思えてしまうのであった。
それこそ地縛霊が色情霊になっていてもおかしくないし…それに対して。気持ち良いならいっそウェルカム、などという剛の者も居そうである。
否定出来無いを通り越し、いっそ肯定するしかない。そもそも、種族を越えた恋愛やら肉欲やらの存在は…
ヒトと竜との血を引いた、少女自身の存在が。証拠の一環ではないか。――矢張りこの国恐るべし。
「勿論、手を加える事…全てが。悪ぃ訳ではなぃの――ですが。
共存しよぅとするのなら、そうし易くする為には。然るべき舞台や、環境を。整ぇる事は――大切です、し。
…難しぃ事…でぁるのは。確かなので。ぁまり迂闊な意見は…出せなぃのです、が。
ぇぇと。確かにまぁ、その…竜の姿――で、考ぇてしまぃますと。動かし方…技、術、とぃぅ物は。必要なくなってしまぅのです――が。
多くの方にとっては、普段、ヒトの姿で居りますから。
…それに、その…私は特に。…ラファルちゃん様等とも、違いまして……この侭、です。大きな竜に、なれたりなど。しなぃので――す」
(無論限度が有る事は、解った上で。それでも、歩み寄らねばならない筈だ。
その為に、環境に手を加えるのも。何処までも善し悪し――須くが悪ではないと思う。
大体、人間の国の中に。竜達の領域を、環境を、作り上げている自分達。それも同じではないか。
大半がヒトに近い少女とは違い。それこそ、姿形も彼等のサイズに合わせるだのして、ヒトに化けている者達も居る。
でないと――しっぺ返しも怖いのである。人間達との対立は。漆にかぶれるような物よりも遙かに――それこそ、神殺レベルで恐ろしい。
さて、そうやって人間のサイズや姿形を取っているのなら。彼等と同じ肉体の動かし方、鍛え方研ぎ澄まし方は有意義だ。
動物的な直感や本能、生まれ持った力で大暴れするだけよりも。その方が遙かに効率が良いし…そして、きっと。人間達の中で生きる為にも都合が良い。
そして、今更ながら話しておこう。竜としての血が、母達よりも更に薄い少女には――見ての通り、爪も角も翼も存在していないし。
普段それ等を隠している訳でもなく、本当に。真性この侭現状が、少女の真の姿でしかないのだ。
普通の人間を上回る部分も有るのだが、そうだとしても――ヒトガタの枠組みから外れる事がない、というのは。
同じ人間同士での戦いに長けた者からすれば。少女という竜に対する上で、大きな利となる筈だ。
それこそ人間の姿で、人間サイズの武器を振るう行為が。初見殺し満載だとしても、所詮素人レベルの技術でしかないのなら。
対策が間に合う可能性も…付け入る隙も出て来るだろう。
翼を以て飛ぶ事も。遠く遠くへブレスを届ける事も出来ないのなら。それこそ遠距離攻撃され続けるだけでも…どうして良いか判らない。
実際また異なる形で、対策しようと思えば出来るのだという事を。人間の、文明の利器ってスゲー!という事実を。彼に見せ付けられた…筈、なのだが。
「けれど、そ…の、ぇぇ、ぁー……ぅわ。ぁ、わ、ぁっ……本当に。失礼…ぃたし――ました。
はぃ、その、この状況――シチュ、エーション?で、ぁぁぃった感触にぉ、襲われる、とは。とてもとても…想像出来…て、ぉり、ませんで……」
彼はやりたくない、そう言ったが。性的な云々が、少女に対する絡め手として用いられれば。…それこそ、対策に取り入れられれば。
言葉によるからかいと同様で。どれだけあっさりペースを崩させる事が出来るのか。良く良く判る例にもなった筈。
身体能力というか、それは恐らく有るのだが。精神的に発揮しきれていないし――それ以上に。制御出来ていないのだ。鎚とも、竜の力とも。また同じで。
ぺこぺこと頭を下げては上げ、また下げる、水飲み鳥じみた動きを繰り返しつつ…も。
そんな頭へ伸ばされる手や、その動きに。物理的なダメージの影響じみた物は感じなかったので。…ほ、と。ようやく息を吐く。
ご案内:「山中の別荘地」にラファル(幻覚)さんが現れました。
■ラファル(幻覚) > その時、フィリの脳内でひゅーんと何かが堕ちてくるような音が響いてくる。
「わはー☆ふぃーりちーん!」
陽気な声と共に堕ちて来た影は、くるくるくるしたーっと、音を立てて着地する音。
そこには、幼女が胸を張って立っていた。その恰好は、フィリがラファルを一番良く見ている格好だろう。
最近見せた、女児服か、全裸か、胸ベルト短パン姿か。
其れに関しては、フィリのイメージなので、彼女に任せきろう。
それは兎も角、ぺかーっと、満面の笑顔を見せて、彼女に、両手でVサインを一つ見せている。
いぇい。ピースーピース、と。
「ねねね、逆に考えてみよーよ?
そのハンマーは、フィリちん以外にはとっても重いんだし。
投げちゃっても、良いんじゃない?
ビューンと投げてしまおうよー」
ラファルんは、フィリの持つハンマーの幻影を持って、ハンマー投げのように、グルんグルんと全身を使って回転して、ぽいーっと投げ飛ばして見せる。
遥か彼方にばびゅーんと飛んでいくハンマーを背に、指を一本立てて見せるのだ。
にひぃ、と悪い笑顔は、悪戯っ子の様で。
まあ、悪戯っ子なのだけども。
心なしか、ではなく、ツインテールの髪の毛がピコピコ揺れ動く。
「そのハンマーは、フィリちんの魔力をたっぷりと込めているんでしょう?
ハンマーと契約している状態にあるんだからさ。
手に持っていなくても、ハンマーを使う事が出来るんだよ。
例えば、離れている所にあるハンマーを、フィリちんの魔力で引き寄せるとか。
逆に、自分をハンマーに引き寄せさせる、とか、さ。」
手に握って居なければ使えない、と言うわけではない筈だ。
フィリが握り、手に吸い付いたり、手足のように使えるようになると言うなら、そういう事も出来る。
魔力による繫がりなどは、竜胆からの授業に在ったと言う事もまた、思い出せる。
「具体的にできると知れば、師匠が色々教えてくれるはずさ☆
では、ばいばーい!」
言うだけ言って、ラファルの幻影は、ひゅーんとどっか飛んでいった。
幻影だったのかどうかは、フィリ次第である。
師匠がいたと居れば、居たことに、なる。
まあ、その際は、吸い寄せれば吸い寄せられるので、それをすればいいだけの話。
ご案内:「山中の別荘地」からラファル(幻覚)さんが去りました。
■影時 > 「公然としてしまった秘密とは、もはや秘密の類ではなくなる……なんて云う奴かな、恐らく。
知らぬ、明かされざるが故にもっと知りたくなって憧れるというものの考え方は、何処でも同じなんだろうなァ。
……その辺りの言い回しは、偶に聞くな。だが、実際数字で表すとなると難しいな」
その捉え方、豆知識的な要素は間違いではない。
士農工商と細かく区分されだす前、直前の世が己が記憶のある故郷、異邦においての情景、背景というべきものだ。
長きにわたる群雄割拠、あるいは泥沼の混迷の世の中、闇に潜み馳せた影たちは確かに居た。あったのだ。
走狗烹らるの故事の如く、無用となったものを滅ぼそうとする大名が居れば、有用性を売り込もうとする忍びの里も複数ある。
そうやって漏れ出た情報が、巷間では噂やら物語として、流布されるということもしばしば起こりえるというもの。
さて、変装も数々だ。着替えや化粧程度は序の口。身体を弄るほどに際立った使い手なら、骨相すらも変えうる。
そこまで飛び抜けた変装はもはや、擬態といっても間違いではない。
とはいえ、今の生業でそこまで求められることは――きっと多くはない。
あれやこれやと楽しみがてらに装束を見繕い、装いを改める。血生臭さとは裏腹の楽しみがあるかもしれない。
「かくして見て、見られる――と。
神はすべてを見ておられる、とか坊主などが宣うのは半端に聞き流すが、意識し出し始めるときりがなくなるな。
……――成程成程、見られながら遣られるのはだめ、と。覚えとこうかね」
性的なあれこれを尾鰭につけだすと、それだけでポンコツになる。
子供だから、そういう年頃だから――と言えば、やはりそうなのだろう。
竜の血筋が人の形を取る際、外面と内面、精神年齢が合致しないことはままあるようだが、今言葉を交わす少女もその類に漏れないのか。
ついつい呷るような、からかうような句を付けたしながらも、愉しげに口の端を吊り上げる中で脳裏に思う。
或る程度耐性ができるような、受け流せるような時分には、如何に早熟であってもまだまだ早いのだろう。
今回は打撃を伴うツッコミ、大惨事はなかったことにだけほっとする。本体で喰らうと、いっそう惨劇と化すことは請け合い。
「――まぁな。
男女のあれこれを通じて、篭絡やら諜報に勤しむ忍びの女だって居る。多分聞いたコトはあるんじゃねェかな。
矢面に立たないからと軽んじる、否定する手合いははっきり言えば、忍びには向かんと思ったくらいだ。
ともあれ、そうだな。何にしても、フィリ。お前さん自身が思うように、好きなようにやってイイだろうさ。
……さっきの話にもかかわるが、公私の私だろう。誰にもおおっぴらにはせずに、自分と相手と互いに睦まじく、ってなら、な?
色を好むのは、常に死地に自分を追い込んでいるからこそ、子孫を残したい欲求が強くなる――という表れであり、
家柄を残さなければならぬ、という貴人やら何やらの観念も交じってるだろうなぁ……」
気に入った奴同士で、好きにやるでいいだろうに、と。内心で慨嘆する気持ちもそのままに、肩を竦めて嘯く。
娼婦やハニートラップに長けたくノ一の類を否定はできない。彼女らの遣ることは、男には真似ができない全てだ。
女官の類を陥落させて、懇ろとなったと嘯く忍びや侍の類も幾人か記憶はあるが、己の場合は、どちらかと言えば武力を行使する側であった。
其れゆえに幾つかの武名を闇の世界で馳せるに至ったのだ。
だから、この手の話題に対するスタンスもおのずとシンプルとなる。気に入っていると言えば、今言葉を交わす少女も値するものだ。
気に入った者同士で、好きにやった結果が、その実彼女たちのような存在というのは、疑いもない事実だろうか。
「物事には限度というものがある以上、すり合わせ、加減は必要だ。
人間同士で仕損じるなら、より大きな自然で考えると――嗚呼。一層難しいなァ。草木も生えぬ一面の砂地とか、聞いたことはあるか?
……成程。いや、この一件に関しては俺にとっちゃあ好都合だ。
つまり、人が研鑽し、培った武術という理屈、仕組みの一端を別の姿で使い分けるという余分を考慮せずに済む、というわけだ」
自然に手を加えるというのは、つまるところ環境破壊につながる一面も大きい。
放牧地や薪を求めて森を開拓した挙句、更地を通り越して荒地、砂漠となったという事例は旅を続ける中で耳に挟んだ一例だ。
人間同士の折衝でも大変なのに、自然の懐深さに甘えすぎて無理無茶を過ぎると、しっぺ返しの反動もまた大きく、強くなる。
しかし、人の姿しかとれぬが故の利点、メリットというのは、矢張りひと時の指導者たる男でも同様に思う。
二つ、ないし複数のスタイル、形態の使い分けなどではなく、鍛えれば鍛える分だけ、身になる余地が大きい――という恩恵だ。
印を結び、一体だけ分身を作れば、遠くに放り出されるに至ってしまった着物を回収に向かわせよう。
「……いやぁ、少々遊びが過ぎたか。
仕事とか抜きでそうやってみてもいい、とは思ってたが、兎も角、あそこまでやれちまうってのが、問題か。
荒療治的にやるか、コツコツ堅実にやるか、かこれは…………、――ん、ン?」
やりたくないというのは、仕事として割り切った篭絡的なあれこれだ。情を交わしたふりをする肉の交わりである。
抱いてみると、どんな声をしだすのか。啼いてみせるのか。興味はある。
しかし、先ほどの動きは確かに良くとも反射的な行動である。その行動がどれほどの影響、反動を身に残すのか、今だ計り知れない。
何度も頭を下げる仕草、素振りにもう大丈夫だ、とぽんぽんと頭を軽く叩いて、放そう。
――そうしながら、何か。何か猛烈な風が吹いて、吹き上がったかのような。不可思議な感覚を覚える。目の幻か、錯覚か。
■フィリ > 「知りたぃ、とぃぅのは。…人間の、取り分け大きな欲の――力の一つでぁると、思われます。
それ故猫のよぅに、命を落とす危険性もぁるのでしょぅが…それでも。止まらなぃ、本能の一部、かと。
数値化は、はぃ、難しぃと言ぃますか――私にも。細かぃ所までは、存じてぉりませんので。
ぅぅ、ん……ともぁれです。ぉ洒落、と割り切って考ぇて。みても、良ぃと。思われるの――です、はぃ」
結局ほぼぶっちゃけた。隠行の任務然り、ステルスなミッション然り、というのを別としても、単純に。
殿方の素敵な装いという奴を、少女が見てみたいし選んでみたいだけなのだ、と。
彼が突き詰める所まで希望してくれるなら。それこそ化粧品だってあれこれ見繕う気概が有るのだが…流石に。其処までは行かなさそうか。
学院などで。市井で。其処までする必要はない――それこそ。国の戦の世とまで言われたような、嘗て彼が在した故郷と比べれば。
この国にはまだある程度、表面上だけでも平和な時間が流れている筈だから。
勿論、帝国とのいざこざやら。魔の国による攻撃やらは続いており。それによる被害が出ている事は確かだし、軽んじる訳ではないが。
それでも王都等は守られており。其処に余計な混乱を広める事なく、自他の平和を守るのも。きっと市民国民の務めという奴だ。
まだ見ぬ異国に興味津々、物語じみた活躍譚に目を輝かせる、等というのも。平和であってこそなのである。
「…まぁ、宗教上で仰る場合は。得てして…見られてぃるぞ、だから己を律しろ、と?
そぅぃった…ぇぇと。言ぃ方は、悪ぃのですが――脅し文句なの、です。
普段からきちんと、してぉりましたら、大丈夫で……ぇ、ぇ。ぇー……それは。はぃ、それは良くぁり、ません。
大変に、その――ぁー、ぅぁー、大変な事になりました、のでー……」
物凄く誤魔化そうとして、言葉を選ぼうとすればする程。返って選択肢が狭まりしどろもどろになる、上に。
少女も自分で自分が何を言わんとしているのか、そろそろ判らなくなってきたのか。盛大な自爆をかました事に…多分、気付いていなかった。
子供だから。年頃だから。そういった行為にも興味が有り、そして――だからこそ、既に何ぞやらかしたのだろう、と。
当然その際にもポンコツぶりを発揮したに違い無いし、これについては。武の道を究めるよりも尚、是正が難しいかもしれない。
…肉体と精神の成長比率が必ずしも一致しないという事は。この先何年…或いは何十年思春期であり続けても。おかしくないのである。
「それも勿論です、し…今述べた通り、産業としての風俗も、ですし――それに。この国ですと、奴隷さんとぃぅのも、大勢。
そもそもが、欲求でぁり――本能、です。無くせも欠かせもしなぃ、もの、です。
ですから、その為に身を粉にして…下さる、方々、は。はぃ。なくてはならなぃ方々なの――かと?
…ま、まぁ、私の場合は…はぃ。はぃ、私的な方で――す。ぉ仕事ではなぃの、です、ぇぇ。
すっ、好き――好きなよ…ぅに。……好き? ぇ、ぇぇっ、ぇ…です、はぃ、それは勿論嫌ぃで――はなぃの、で…!」
何というか。好き、と言われて。大いに勘違いした風である。好きなようにというか。好きだからというか。
英雄でなくとも、色を好む者は大勢居るし…寧ろ少女の言い草だと。生物の繁殖行為は当たり前、なのだから。
そもそもこの少女。むっつり属性である事が必然というか。色を好むのも必然と言うべきか。
竜側の母親が、どういった性嗜好の持ち主であるかという事は。契約している彼なら承知しているだろうし――
人側の母もまた。こうやって、この地に別荘を用意出来たりする辺り。彼の言う貴人の一人、観念も欲求も強い人物なのだ。
竜としての姿を持たない肉体と違って、性質面が両者の影響を大いに受けてしまったらしい。
「…砂漠地域とぃぅものも。そぅ、ですね――帝国の一部や、その更に向こぅに。存在すると。伺ってぉります。
其処に。水を掘り、草木を育もぅとする人々が、居られる――とぃぅ事も。
ぇぇ、別に砂地に、限った事ではなく…山々でも。伐採と、植林とは、並行するべきですし――その中で。
新たに植わる物は、現在の気候風土に、適した物としてぃく…老廃物となった物は、取り除く事に協力する…山の為、にも。
それ等はきっと。立派な、擦り合わせだと。思われるの――です。
――ぅぅ。ん。はぃ、恐らく今後も――私は。姉妹は…まだ、判りませんが。少なくとも叔母達のよぅに、姿を変ぇる事は、御座ぃませんかと。
む、むしろ…っ。仮に、二つの姿で、使ぃ分けろなど…と、言われて、しまぃますと。きっと、身体が追ぃつきません、ので――っ!」
甘え過ぎてはいけないので。キャッチの後にはリリースや、リターンが必要だ。
貰った分を返すか、支払うか。交換は取引――付き合い、の上で。当たり前の事である。
そして人間同士ではなく、ヒトと自然と、であるのなら。貨幣等ではどうこう出来ないから、物々交換か…技術交換となる訳だ。
…そも、きっと。手を加えるという考え自体が、上から目線で烏滸がましいのである。
自然に比べて人間の方が偉い、強い、というのなら。それこそ魔族然り竜然り。別種の生物達を見てみろという奴だ。
尤も――ほぼ人間、である少女が。其処まで強い事は言えないので。矢張り、人間相手でもある平等な、商売的な視点での物言いだった。
そう、ほぼ人間。今までも…この先も。従って、人体の身の丈に有った鍛え方は。理に適っている、筈。
新たな分身が二人から遠離っていくのは。業務上過失なんちゃらでぶっ飛ばしてしまった分身の残した羽織を、広いに行く為なのだろう。
彼本体の掌が、頭の上から離れていくのに合わせ。遠くへと進む分身へ、何の気なしに目を向けつつ――。
「やれてしまぅ。はぃ、その言葉通りです、かと――手や腕の延長線上、と。化してしまぅの――です、ね。
遠くまで届ぃてしまぅのです、それも、軽ぃと感じるまま。本来は重ぃ――ぁんなに遠くまで、飛ばせるよぅな――む。 …む…?」
幻か。錯覚か。そんな何かを彼が得たのは。きっと勘違いではないのだろう。
何故なら時を同じくして。少女の方は幻聴か、何か――似たような物を感じたから。
幻聴というか、風が語り掛けてくる、其処には。風を司った誰かさんの、あやういシルエットが伴っていたような…否や。
ともあれ、そんな何かが少女に思い付かせた。天啓を得たり、という奴である。
「――――触れてぃる、間も。私以外には、重ぃ……ぅぅん。
彼方に、投げ付けてしまぅ、と。どぅなるのでしょぅか――…矢張り。重量、打撃。として。成立してしまぅ…?
更には…吸ぃ寄せが残って…ぉりましたら。相手もより、回避、し辛く――」
ふつふつ。ぶつぶつ。何ぞ理論を組み立てつつあるのか。頭の中での想像が矢継ぎ早に唇から、形となって現れつつ。
確かに。スイングその物が軽々と行えるなら。打撃の為ではない、投擲の為にそれを行う事も可能だろう。
先程と同じ分身が今こうやって、離れた場所に存在しているのだが。其方に対する、これも。立派な初見殺しとなりそうだ。
……まぁ唯一にして最大の問題が有るとすれば、それは。
ぶきっちょ極まる少女が果たして。狙った方向に投擲出来るのかという点に尽きるのだが。
それは吸い寄せ、吸い込み、を最大限発揮し続ける事が出来るようになれば――ある程度。補正が効くのかもしれない。
ともあれ。
「…ぇと、笠木様。…取り敢えず、これで、一通りは見て、ぃただきました――が…如何、ぃたしますか?
一旦休憩ぃたしますか――それとも。未だ、他にも。御座ぃます…でしょぅか」