2022/08/28 のログ
■フィリ > 「――です、よね。大勢居られると、それはそれで。イメージが覆り…ます、し。
寧ろ絶対数を把握出来なぃ、とぃぅ方が自然、とも。思われるの、です。はぃ。
解らなぃ。だからこそ恐ろしぃ。――それは、人の手に依らなぃ物、だけでなく。同じ人でぁる筈なのに――とぃぅのも、有ると、思われます、し。
ぬ、ぬ。それは大変…責任重大、だと。思われるの、です、…ぇぇ、ぇぇ。今度商会に来て、ぃただけましたら、是非に」
何かしら見繕う、という話題が出てくると。したり顔で頷いてみせただろうか。
不特定多数の客層に対し、愛想を振りまけるような性格ではないが。個々の装備やら何やらについて、相談を受けるのは。母譲りの血が騒いだのかもしれない。
――暗殺。潜入。隠密的な活動に、店売りの品が役に立つのか?と問われると。其処はそれ、ご相談に応じて――である。
必然数は値段は、一般的な品とは別枠になるのだが。顧客のニーズに応じた品も、出来得る限りは見繕ってみせる。
…そうした際に出て来る特別な品の多くが、きっと。彼やその弟子によって納められた品々なのだろうから。今更言うまでもなさそうだが。
そして、其方には行かずとも。教師ファッションやらについてなら、何というか。…少女の、趣味、で。どうにかなってしまうのではないか。
「はぃ。観測は、大変に。重要な意味合ぃを持つのです。
ただ――見てぃるとぃぅ事は、見られてぃる、とも言ぇますので。それもぉっかなびっくりなのですが。
…ぇぇ、と。そぅ致しましょぅ。はぃ……きっと、時間を要すると。思われるの、で…す。どぅせなら資料も欲しぃです、し――」
此処まで話が通じるなら。今、脳内から引っ張り出せる知識だけでは勿体ない。
竜胆師匠と相談したり、学院の図書館に通い詰めたりして。改めて精査した上で望みたい。
当日もゆっくり話したいが、その為には、ゆっくり時間を掛けた下準備が肝要だ、と。
どうやらこの場の勢いを。知識の交換に対する欲求が上回ったらしい少女は、しっかり頷いてみせた。
…まぁ此処で。彼の持ち出す例え話が、茶請け話ではなく寝物語だったなら。それはそれで、また反応は違っていたかもしれないが。
「ぅぅ。――…長かった、と仰るのでしたら、それは。即ち過去形でぁって…今は異なる、と。判断して、しまぅのですが。
…ぃぇ。だからこそ、この、先程から。上手上手取られてぃると、思われます。この軽妙さは間違ぃなく、経験豊富な殿方で――す、ぇぇ。
流石に。その為に、環境をねじ曲げる――よぅな。傲慢さは、得られません。
私達は…その。何とぃぃますか、矢張り…自然?世界?其処から、色々。ちょっぴりずつ、分けてぃただく身分、ですので。
………ぅぅん…其処はその…色々と。危なっかしい物を。想像して、しまぃ――ます」
相手は成人である。男性である。…というか、埋めよ増えよも早いこの国だ。
双方の実年齢を知らず、外見だけで判断する第三者が居たとしても――親子と勘違いしても、おかしくないビジュアルである。
そんな相手に、相応以上の経験値が備わっているというのなら。端っから勝てる見込みなど無い勝負であった。
そろそろ涙目になってきそうなのだが、其処をどうにか。外つ国の技術や素材への興味が上回る。
材料。職人。それ等を育むのは土地であり、風土であり――恐らく。その国ならではの気風や、それこそ国民性だって含まれる筈。
だからこそ難しいのだと納得してしまいつつも…少々、訝しげな面持ちとなったのは。
多分思い浮かべてしまったのだろう。長い竜の首に、救助犬のブランデー宜しく。瓶やら樽やらぶら下げたラファルちゃん様を。
どう考えても暴れてえらい事になりそうだ。と、思えてしまうのは――杞憂ではないと思いたい。
「大変有難ぃぉ話なのです、本当に―― …生まれ持った、力、につぃては。矢張り、同じ竜種の方々に、ご教授ぃただくのです…が。
…それ以外の事柄、は。然るべき知識や、技術を持つぉ方が居て下さると。心強ぃ、と。
…ぇ、ぇ………っぇー…否定出来なぃとぃぃますのが、何とも――」
確かに彼の言う通りであった。
相手が霊でも美少女ならば問題なし!という豪の者も多々存在しそうであるし…霊も霊で。軒並み色情霊を兼ねていてもおかしくない。
それこそ正しく、先程の話題――性に寛容である、という事象を当然としてしまう、この国の法則が。
生前は人間であったであろう霊から、それ以外の怪異から――影響してしまいかねないのだ。
…閑話休題。改めて、そうした未だ見ぬ学院の猛者であれ。無傷、とはいくかどうか。
うっかり触れてしまう等なら。吸われる、削られる、だけで済むのだが。例えば模擬試合等ともなれば――所見殺しのフルコースである。
引き籠もり卒業したばかりの貧弱少女が、こんな得物を振り回せるのも。
防御したとて、魔力やら某を吸われてしまうのも。そして…吸われれば吸われた分だけ、その得物が破壊力を増してくるのも、だ。
これで少女が攻撃的な性格だったり、傍若無人に学園の覇を目指していたりなどすれば。さぞ大惨事を引き起こしていた事だろうから。
その点に於いては、きちんと管理と制御を願う相手に託した、ラファルの判断は。正解だったのかもしれない。
――ただ。これ等はあくまで現状。魔鎚として見て、扱う場合の話である。
この先、より一層少女に馴染んでいく、鎚を構成した魔骸の結晶が。更なる変質を起こさないという保証は何処にもないし…
そもそも。鎚が少女に合わせ変わったように。少女の側もまた、変化しないとは。言い切れないのだから。
「なっななな、びっ、くりしま――し……ぅぇ゛っ!?
ぁわぁ、っ、わ、わあぁぁぁあ゛ぁ゛ぁ゛っ!!ぁーっ、ぁ、も、ぅしっ――申し訳…!申し訳ぁりません――!!?」
悪気や敵意が有った訳ではない。寧ろその気が無いから大問題。
払うつもりすら無く、ただ、構えた侭で振り向いた…それだけなのである。
それだけなのだが伴うのは、少女の膂力とは全く比例しない、重量のある鎚のスイングであり――加えて。
其処に籠められるのは、先程一体の分身から。続いて範囲内の様々な対象から。力を拝借した事による威力の増加。
結果として――最初の分身へと振るった際の一撃目を…かなり上回った重量の、破壊力の一撃が。
羽織によって吸収効果からは守られた筈の分身を、今度は物理的な力を以て、襲う事となってしまったか。
あぁ人間本当に、くの字になってすっ飛ぶんだ。等と、一瞬感じてしまった辺り。思わず思考停止していたのだろう。
自分で起こした行為の結果に、ぽかんと口を開けてしまっていた少女が我に返るのは…
吹っ飛び、跳ねて、また跳ねて。やっと地面で止まったその分身が、羽織を残してぼふんと消えた。その後である。
流石に今度は、身振り手振りで鎚を振り回してしまう、とはせず。ぎゅぅと力を籠め抱き締めるようにしつつ。
その侭見回してみたのなら、他の分身も消えており…本体である彼自身は、どうだろう。
少なくとも声を上げた事は確かだし、一体目の時に聞いた事もある――影響は、有る筈だ。
大慌てで、分身達による輪が消えた外、彼の下へと駆け寄れば。それはもう直角以上の急角度、何度も何度も頭を下げて。
「ゃ――ってしまぃ、ました、初日も、その、こぅぃった感じ――で…ぁぁぁっ、これを、避けたかったの、ですが――!
ご、ご無事で、しょぅかっ…分身越し、ですが、その…コブなど出来て、ぉられなければ、なのです、が…っ!」
――それはもう必死に謝る少女だが。
多分攻撃箇所は胴体なのに、何故か頭に心配が行っている辺り。きっと混乱した侭だった。
■影時 > 「数が居ると演出、見せかけることは出来ても、雑兵のように揃えるは易くない。
少なくとも、俺の経験上はそう認識している。……だが、同郷じゃなくとも似たような手合いは皆無じゃない。
処変われば事情も変わる。だが、どこもかしこも腕利きを揃えるのは至難だろうよ。
――そう。分からぬこと、悟られぬこと、そして恐れられることが忍びの本分と云って良い事項だ。
ン、心得た。まぁ覚悟を決めろ、などとは言わんさ。形から入るというように、外面を整えて困るということは何もねぇのさ」
故郷に於いて世の趨勢を握ったのは侍、武者だ。大名を名乗る武者たちが世を握り、治めた。
妖怪変化、魔性がなした仕業の如くが忍者の所業が語られてこそ、闇に潜み、暗躍する意味があるというもの。
今でこそ暗殺や潜入を行う機会はあまりないが、店売りないし貸衣装の類が用をなさないとは、云わない。何事も使いようだ。
運動着、仕事着は兎も角、座学やら一層講師らしく振舞うならば、相応の衣装というのは、恐らくは有ろう。
はたまた、物の小説などで云うような「でーと着」とやらもまた問うてみれば出てくるのかどうか。
「真理の深淵を覗いたとき、己もまた観られている――そりゃそうだ。目線が通るなら、向こうも見返せぬワケがあるまい。
少なくともその手の話題を一緒に語るにゃ、此処は少々暑すぎる。
寝物語にするにしても、……なぁ?」
この手の話題は、大体覚えている限りが全てだ。
書物に頼める少女の側とは違い、己が知識の源泉のアップデートは母国語とする言語で行う事は出来ない。至難といっても良い。
実際の経験と、篤く語った僧侶や陰陽師など、聞きかじりのものが混じる。
だが、忍びの術の中には獣を使役する術もある。殊に魔力、呪力を持つものを括る手法として、名づけを行う手立ては確かにある。
しかし、寝物語に真面目な、学術的な視点さえ混じるようなものを語らうのは、どうなのか。
それどころではない位にまで、苛めてしまいたくなるところだが。
「――……そりゃ過去にもしたくなるもんだ。
俺とてその手の煩悩に煩わされない、切って捨てられる聖人じゃァないのでな。
フィリがからかい甲斐、もとい、可愛がり甲斐があるから、というコトにしてくれ。仕事で抱き堕とすのも、飽き飽きだ。
だが、目的のために自然を歪め、弄るのも善しとできる生き物がニンゲンという奴だ。
皆が皆がそうなりだしたら、この国はいよいよ危ねェなあ。
……危なっかしいのは非常に同感だ。もとより、漆の類は気を付けて扱わねえと、かぶれちまうからな……」
色恋沙汰めいたことも、その心理を利用したあれこれも、知っている。噛みしめている。
目的のためには仕方がないことと割り切るのはもう、真っ平にしたい事柄でもある。
所帯を持つかどうかは兎も角、どうせ身体を重ねるから噛みしめるように、気持ちを込めて情を交わしたい。そうなるものだ。
さて、いい加減そうやって一見親子めいた見た目の親側が、弄るもどうであろうと言われても是非もない。
手に入らないなら、作れるようにするというのは確かに道理。しかし、それも限度がある。
空輸ができる手立てが不可能ではないにしても、此れもまた限度がある。如何に竜でも無理無茶を通せるわけではない。
最悪の場合、空輸中に物がこぼれて――というのは、想定する限り避けたい事故の一つと云える。
「竜の力はどーしょーもないが、身体を動かしてどうこう、という話になンのなら、俺向きのお話だな。
……巷間というか、他者の意見として考えるなら、竜はそういった鍛錬やら何やらは要らないと見られがちな気がしなくもない。
――……言っていて何だが、否定できねぇだろ? 悪霊を通り越して、”さきゅばす”とやらに成り上がってる気さえしまいなくもない位だ」
要は突っ込む穴があればいい、と宣う輩が――皆無ではなく、ほとんどではないかとさえ思うくらいである。
そして、そういった肉棒を受け入れられる側もまた、肉を持った妖魔、怪異の類にさえ変じているであろうとさえ思うくらいに。
故に魔槌の特徴が起こしうるリスク、問題において霊体への心配は不要でないかとさえ思ってしまう。
逆に使い手に対する心配、不安が生じる。
基本機能はだいたいが初見殺しである。だが、対策ができない――と言われると、勿論そうではない。
知っていさえいれば、先に行って見せたように、魔力収奪の対策を真っ先に行ってくることだろう。
ならびに、近接戦闘に持ち込まず、魔力として吸収できない矢玉を射かけてくることも、考えられる想定として起こりうる一つである。
だから、教える側として、対策された場合の例の明示というのは絶対欠かせられない事柄であった。あったのだが……。
「…………っ、ぁぁ、いや、大丈夫だ。本体の俺がすっとンでねぇから、大丈夫だ。息災だから、心配するな。コブも無ぇよ。
魔力を奪われないよう、対策されてきた場合の例を明示するつもりだったンだが、いやぁ、あれだな。ちょっと要らん心を出しちまったか」
しかし、良い反応であった。
反応が鈍い、機敏ではないかもしれない懸念はあったが、武器の特質はさておいても、いい一発であった。
道具が道具だからできるコトなのか。それとも、最初からその位はなせるほどに身体能力があったのか。
立ち眩みめいた反動を覚えつつ、数度頭を振っては何度も何度も頭を下げてゆく姿に手を伸ばす。ぽん、と大丈夫だというように、右手を頭の上に置いてみようと。
引き戻した氣の不足を取り戻すように呼吸を整える。自然が豊富な場所で良かった。外氣の淀みは――ない。感じない。
■フィリ > 【継続いたします】
ご案内:「山中の別荘地」からフィリさんが去りました。
■影時 > 【次回継続にて。】
ご案内:「山中の別荘地」から影時さんが去りました。