2022/08/13 のログ
ジギィ > 「ドライアドの生態に関して、王都で本読んでみたけど途中からホラー日記になっているのとかあって笑っちゃった。最終的に研究者が育てたドライアドの取り合いが起こったりして『生きた人間が一番の恐怖の対象である』とかねー」

記述した本人にしたら溜まったものではなかったろうが、エルフはけらっと笑って済ませる。
それ程このエルフに取っては笑いの種につきない対象だったが、何やら彼が少し考え込んだ様子を見ると、未遂にも拘らず犠牲者を悼む目つきになった。

「神頼みねー。そういう文脈では今ふくめて常に神頼みだったな。
 必要なぶんというか、カミサマの用意してくれたレールというか、部族内で捉え方も色々だったりしたよ。
 結局何をしたって掌の上から逃れられない…っと」

エルフは跳ねるようにして倒れた樹を方々から確かめる。
黒い斑点は半ばで止まっていたて、残された切株の断面にも不穏な色はなかった。
そこまで確かめると、エルフは腰に付けていた水袋を手に取って切株の辺りへ振りまく。つづけて同じく腰に下げていた革袋から小瓶を出して切株に一滴。

「虫よけ。」

誰に問われるでもなくそう言って、エルフは水袋と小瓶とを元に戻す。もうドライアドの加護が無くなってしまった樹が辿る路は厳しいだろう。足など持っていない樹木はひたすらに耐えることになるだろう。
レモンによく似た香りが倒木の香りと相まって辺りに漂う。

「―――ン?なあに?
 貼ればいいの?」

エルフがそうして横目で気を取られている間に、彼はてきぱきと作業を進めているのに気付いて慌てて向き直る。
―――今日は感傷に過ぎる。
渋面をつくって真面目ぶってはいるが、気分が上の空であることは明白だった。
――――また帰りに『彼等』に会ったら。

そんな考え事の最中であったので、差し出された札を特にためつすがめつするでもなく
割とかなりあっさりぺたりと樹に貼りつけた。

ジギィ > 【次回継続】
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影時 > 【中断→次回継続】
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