2022/01/21 のログ
ご案内:「王都の路地」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 「~~~♪ うーん、今日はやすくって、イイものいっぱい買えたぞーっ! どんなお薬、つくろっかなー…っ」
王都の市場の知る人ぞ知る一角で、薬の素材となる良質な薬草や果実などを安値で仕入れたご機嫌な薬師の少年。
それらを紙袋にぱんぱんに詰め、細腕でしっかりと抱き、少し危なげな足取りで自宅たるテントへの道を歩いていたが、
インフラの整わぬ荒れたレンガ道の路地にさしかかったころ、隆起したレンガの一片につまずいてしまう。
「~~~っと…ぅ、うあっ!!?」
べちょ、と間の抜けた音をたてて路面にうつ伏せに突っ伏す小さな体。
紙袋を最後まで離さなかったために、それがクッションとなってケガの類いは無かった。
素っ裸に桃色のシャツをワンピースのように羽織っただけの小ぶりのお尻もぺろんと丸出しにしてしまいつつ、
怪しげな色と香りのキノコや木の実、動植物の干物や酒瓶などが、
放射状にさまざまな素材が散らばってしまう。
周囲には、甘さと酸っぱさと苦さと辛さ、果実や香水、熟成した牛肉や花、さまざまな香りが滅茶苦茶に広がって
異様な香気の空間と化していた。
「いてて…うー…やっちゃった。」
床に散らばった素材を見て、うつ伏せのままふにゃ、とうなだれた。
■タン・フィール > 「よっ…と… ええと、これと、これと…あれ? あのキノコ、どこいったんだろ?」
げんなり起き上がりながら、1つ2つと散らばった素材を拾っては紙袋にもどしていく。
その途中、ひときわ目立つ手のひらサイズの蛍光色のキノコが見当たらないことに気づいて、きょろきょろと周囲を伺い…。
廃屋らしき家の敷を隔てる塀の壁、そこに空いた穴を見つけて、
さてはここに転がり込んだものと見込んで、しゃがみこんで覗き見る。
案の定、塀の向こう…放置されて伸び放題の庭の茂みの中にキノコらしきシルエットを発見して、
手を伸ばして回収をこころみる…が、発達しきっていない腕の短さから、
僅かに人差し指や中指の先がかすめるだけで、
あと指先ひと関節ぶんほど、それに届かない。
「んくぅ~~~!! とど、いて…! この、くぬ!このぉ~~~!」
ぐいぐいと壁の穴に腕を深く、肩近くまで押し込んでなんとか腕を伸ばしきろうと、
まるで子犬や子猫が何かを見つけて夢中に遊ぶかのように、小さな体の薬師が四つん這いになって壁穴と格闘していた。