2021/11/04 のログ
■スピサ > 一度冷えた剣に泥を塗りつけ、刃に独特な紋様を施す刃文
何度も鍛鉄という折り返し作業と皮と芯という二重構造
これに加えて冷やし固め、焼き戻しの強度調整を行った剣は、研ぎという
必要があるのかと謂われる所業まで行われる
これはその研ぎの前にかかる段階であり、剣としてはそのまま使用できるだろう
大工房に設置されている水で常に濡らされた足踏み式の回転研ぎ石
これの上で、不要な焼き入れで浮き上がる不純物をショリショリと、重い足踏みを難なく踏みつけ
表面全体を研ぎ淹れる 柔らかい剣と呼べるそれは、容易く回転研ぎ石の表面を覆い
研ぎを済ませる姿 今だ刃文は薄く、はっきりとした鋼の美しさは見えないものの
切れ味と鋭さ 鉄としての質はそのままである
「……。」
眼帯を額にずらし、ジッと単眼で見つめる
裸眼で出来栄え 亀裂などがないか 鉄の折り返された層はどの程度か
限りなく薄く引き伸ばされた革と中心の芯 砂鉄精製の玉鋼とは違い
恐ろしく軽い金属構成と先端だけ薄い部分とは違いわずかに厚みが増しているそれ
試すかのように、茎を手に携えたまま地面でまるで蛇のようにくねり下がった長々刀
手元の曲げた動作だけで、胴体がくねり、先端が向こう側へと真っ直ぐに襲うそれはまさに蛇
カンッと的当て用の木板に先端が貫いたそれを引き戻すと、抜けた先端をグローブが摘まんで回収される
ウルミンの雷鳴や鞭剣とは違う ひゅらりと樋の入っていないがゆえに
奮う音すら薄いそれは、クチナワの太刀と呼べるだろうか
翁に協力の礼を述べた後で、研ぎの作業自体は、これで自身の工房でもできるだろうか
大きな工房の面積を借りただけのことはできただろう
全身を、錆びないようくるくると丁寧に包帯状の布で蒔きつけて保存していき。
ご案内:「鍛冶ギルド 大工房」からスピサさんが去りました。