2021/08/06 のログ
ご案内:「トゥルネソル家 竜胆の部屋」に竜胆さんが現れました。
ご案内:「トゥルネソル家 竜胆の部屋」にフィリさんが現れました。
フィリ > 「無意識…に、までは。流石に想像…想定?出来無かったの――です。
けれど確かに、そぅ…なのでしょぅ?か?
以前私が、想像して、作り出してみた――ぉ菓子も。経験は無かったのですが、知識だけは有りました…し。
想像を形にする、のでしたら。想像の過程は必然なの、でしょぅ。

…ゼナぉ母様にとっての、利点。…私にも幾つかは、想定出来ると…思われます、はぃ。
持ち運ぶ事が、無くても済む…のは。旅程の上では助かる…と思われますし……矢張り、万一の時でも、口に入る…事、でしょぅか?」

勿論彼女の言う通り。直接姉達の母親に聞くのが、何よりも分かり易いのだろう。
それでも一応。一つか二つくらいは、自分でもポイントを上げてみたい。考えるという過程を挟みたい。
今こうやって。質問に答えてくれる彼女が居るものの。だからといって、其処に頼り過ぎてしまってはいけないから。
という事で、思い付いて、ぱっと上げてみた利便性。
…冒険者界隈だと、矢張り身近で思い付くのは、もう一人の叔母なので。
常日頃から、軽装極まりない彼女を想定してみたのなら。荷物が減るのも、決して、悪い事では無いだろうと。
後は矢張り。何が起こるか解らない、必ず食料にありつけると限らない…そんな。稼業ならではの過酷さが、有りそうだ。

「物理的な移動ですと。…元在った物の、単純な移動ですと。そぅなってしまぃ――ます、はぃ。
…それだと、泥棒になって、しまうの――です、困りました…はぃ。
可能性の、世界、とぃぅ物も。考ぇによっては、別の世界から頂ぃている事になるの…でしょぅから。
何処かの誰かに、ご迷惑をぉ掛けしてしまぅ…それは、変わらなぃと。なってしまうの――でしょぅか。
ぅ……ぅ、ん、それですと。大変に…精神衛生に宜しくなぃの、です…この方法は。私には向きません――」

決して善悪を説かれてはいない。肯定も、否定もされていない。あくまで考察の結果を聞かされただけだ。
それでも。遠隔地や、並行世界、そういった場所から持ってくる事は…やめておこうと決意した。
精神衛生上、という言い草は。決して大袈裟な問題ではない。
心の在り方、思いその物に、大きく左右されるのが。少女の力。
良からぬ行為と考え乍らの行いは。それこそ、良からぬ結果を導きかねないのだから。
ぐぬぬ、と呻き声を上げ。また別の可能性を模索する。

竜胆 > 「慣れるという事、よ。何事も、訓練や鍛錬、同じことの繰り返しで、慣れていけば、意識をせずにできるようになる、意識を省略していくことが出来るようになるわ。
 例えば、フィリはその本を何度も呼んでいるわ、それで、此方を見ながらでも、本の頁を捲る事に失敗しなくなる。
 それが、慣れと言う事であり、無意識となる。となると、目に見えない過程という事に、ならないかしら?
 フィリの言う通り、完成品に関して、想像は、必須。過程は、恐らく省略は出来るようになる。

 そして、フィリが想像して作り上げたお菓子と、同じく、パティシエが作ったお菓子は、食べ比べてみた?

 その通り。今のはフィリの言う通りに利点、ね。
 では、欠点は、有ると思うかしら?」

 彼女の質問に対しての返答を作り上げ、答えていく。
 それは、疑問を投げかける形にはなるのだろうけれど、魔術は、魔法は、其れこそ思考の連続とも言える。
 想像し、考え、組み立てるものであるからこそ、次の質問、次の問いを投げかけて、思考を促進する。
 それは、一つの面だけではなく、多角的にものを見て、考えて欲しいから。魔法は、色々な使い方が出来るのだ、と。
 利点とするなら、欠点も又探し出す必要がある、欠点は大事だ、万能という物が無いからこそ、注意すべき点を見出して置く。
 そうならぬように、用心する必要がある、と。

「それなら、そうすると良いわ、魔法は、精神に大きく左右されるから。
 乗り気になれない、やりたくない、それは、魔法に直ぐに反映される。何時も成功する魔法が失敗するのは。
 精神状態が整っていないから、という事が多い。

 フィリが、お菓子を魔法でつくると言うのなら。
 魔力を、エーテルを、形作り、変質させて、自分で作る方が、良いのでしょうね。
 それは、土の魔法で盾や壁を作るのと、似通ったものとなるわ。
 何方かと言えば……錬金術の方に入りそうだけど。」

 彼女は、優しいから、他の誰かの物を奪って心を痛める。
 竜胆はそうは感じないが、否定はしない、彼女の心は彼女の物だから、それが良い悪いを自分が評価する必要がない。
 求められるなら答えるが、其れに関しても、知識の上での善悪。
 人としての善悪の観念に関しては、竜胆は持ち合わせないのだ。
 呻く彼女には、彼女が好みそうな方法の提示だけに、とどめておくことにする。

「――で、誰かにお菓子でもふるまいたいの?」

 突っ込んで聞いてみた。

フィリ > 「反復と、学習と…そぅぃぅ事でしたら。理解出来るの――でしょぅか。
はぃ…身体が覚ぇるとか。身に染み着く、だとか。それと、同じなのでしたら。何となく、納得もぃくの…です。
勝手に、手が動く。…その位まで、覚ぇ込んでしまって、ぃましたら…確かに。美味しく作れそうなのですが。

…勿論、実際には。思った通りには、ぃかなぃ…と、言ぃますか。
想像が生み出す物は、想像の範疇を超ぇてはくれなぃのです。誰もが識る、レシピ通りと…
それはもぅ、本職、本場、そぅぃった方の、品物とでは。天と地程、違ぃが有って…はぃ、文字通り、想像が尽きません。

ん――ぁくまでも。魔術です。魔法なの、です。
それを使ぇる方で無ければ、生み出せなぃ…万人向けとは言ぃ難ぃ、と思われます。
後は矢張り…食べられさぇすれば良ぃ、とぃぅ訳ではなぃのでしたら。事前知識の習熟に…
それこそ。今、話してぃた事に。本職以外に時間を取られてしまぅ、と。思われます――はぃ。」

趣味や、好きな物に対してだけは饒舌になる、インドア気質とマニア気質の境界線上。
今の少女は正しく、その状態。思考しつつ懸案しつつ、学習の場になるとこうやって。唇が滑らかに言葉を紡ぐ。
日常の場面なら。相手が、見ず知らずの他人なら。とてもこうはいかないだろう。
自身のそういった部分を知ってか知らずか…というより、解っていてもその侭に突き進むかの如く。
今は師との応答に。知識の習得にばかり、意識はすっかりと傾けられて。

「――――はぃ。私にとっては、その方が良ぃの…です、きっと。
良からぬ事だ。そぅ思って、振るぅ力は。とりわけ、上手くぃかなぃと言ぃますか……
普通の物よりも、ずっと。制御が効かなぃ、大きくなりがち…な、気が。致しますので。」

例えその気が無かろうと。害意は、敵意は、容易に暴走してしまう。
強ければ強い程、敵対する対象を打ち倒す事に。危機を脱する事に直結しそうなのだから。
だが、やり過ぎという物が有る。例えば――飛んで来たボールに、ぶつかりそうになる度に。逐一、跡形もなく焼き尽くすのは。極端過ぎるだろう。
子供同士の些細な悪戯に、洒落にならない程の大怪我を、相手に負わせてしまうような事は…決して。有ってはならないのだ。
自覚している分、少女は、家庭での学習を今もこうして。きっちりと果たそうとする。
姉のように、妹のように。大勢の他人に関わる事となり…その中にはきっと、良い者もそうでない者も居るのだろう、一般的な生活を送るには。
もう少しこうやって。自覚し続ける事、自制を確立する事が。必須の筈だから。

「形の無ぃ物に、形を。意味を持つ前の物に…意味を。はぃ、大凡は想像が付くのです。

…誰に、と言われますと。……ぇぇと、ぇぇと、その、心当たりは――決して、否定はしなぃのですが、っぁ…」

師は、意地悪である。それこそ師本人もある程度は、自覚しているのではないか?そう思わされる程に。
不意を突いた質問に、ぐ、と喉を詰まらせるようにして。目を白黒させつつ…それでも。首を捻り捻り。

「ただ今回は、そ――の、特に。限定的な、局所的な話ではなぃの――です、は…ぃ。
…ぉ姉様と、初めてぉ話させて、ぃただぃた時も…こぅして。ぉ菓子に、挑戦ぃたしました。
後は矢張り、前例が有って、具体的でぁる程、想像し易ぃ所も有ります、ので。

……その上で誰に、と問われますと。ぉ姉様も含まれます、ぃぇ、出来るなら…家族、皆に。その他にも。
甘ぃぉ菓子を食べて、穏やかに――それは、とても。とても好きな事だと……思われるの、です。」

忘れてはいけない。見た目以上に、少女が幼い事を。
平和だとか安寧だとか。家族を結びつける物だとか。その象徴として真っ先に思い付くのが。菓子、程度であるらしい。
ぁー、だの。ぅーだの呻きつつも。どうにか捻り出してみせた答えが、それだった。

竜胆 > 「毎日同じことを習慣づけて居れば、理解できるのでしょうね。
 勉強も、運動も、何方も反復して自分の中に取り込んでいくものでしょうから。

 先程も、貴女に話をした事に戻るけれど、パンの形や味を知らない物に、作ることは出来ないわ、それと同じで、味も知らなければ再現のしようもない。
 レシピ通りだとしても、魔術でつくるのだとすると、味が全くないという事も、不自然ではなくなるわ。
 味を知り、分析できなければ、再現は難しい、という結論が出てくる。

 ―――そうなると、態々魔術を使って、作り上げるよりも、レシピを見ながら自分で作った方が、早くおいしく出来そうね?

 そうね、まずは、魔法の素養が無ければ、魔法でつくるという事は出来ない。
 そして、どれだけの魔力でつくれば、お腹が満ちるのかしらね?慣れてなければ効率的にできないでしょうから、食べ物としての量を作るのに必要な魔力が、不明瞭。
 いつ何が起きるかわからない冒険者達、魔力を温存しないといけない時に、食事に魔力を使うべきかの判断も欠点になる。
 後は、その魔力でつくった食べ物が、どれだけの間、持続しているのか。魔力を途切れさせたら消えてしまうかもしれないわ。
 永遠に食べられるかもしれないわ、普通に腐ってしまうかもしれないわ?
 その辺りも又、欠点となるでしょう。」

 魔力を物質に変換する、炎然り、氷然り、それは、基本的には魔力を使ったとして、物理的な形も得る。特に氷系だ。
 其れを考えれば、魔力でつくり上げた食べ物の意地はどうなるのだろう、作ってすぐ食べるなら兎も角、そうでないならば、限りある資源である魔力を使ってまで食事を作るべきなのか、と。
 彼女の答えである、美味しい物を作るために技術を覚えるという事も含める。
 捕捉しながら、満足そうに―――否、寧ろ、もっとと、求めるように知識を求める姪に、目を細めて、小さく笑う。
 欲するなら与えん。自分もまた、彼女の知見に、興味がある。
 自分ではないヒトの思考という物は、魔術的にも、大いに利点となるのだ、ひらめきのネタに、成るから。

「魔術に限ったことでは無く、力は、持ってしまったら、それで責任が発生するわ。
 其れを知るから、貴女は、私の元に、制御のために来た。
 どのような時でも、どのような魔法でも、一定の効果で、暴走の無いように、仕込んであげるわ。
 安心なさい。」

 生き物は多かれ少なかれ、害意、敵意、殺意には敏感だ、自分の身を護るために誰しも持つ感覚だと思う。
 彼女は、力を持つ詞、竜の詞の制御に悩まされている。
 周りに竜が居なかったから、だから、彼女のもう一人の母親である姉、リスの所で住まう事になって居る。
 彼女がうっかり竜の詞で衝撃波を出したとしても、この家は、問題は無いのだ。
 もっとひどい物理的衝撃波発生装置ラファルという名の幼女が走り回っても壊れない様に強化はされているのだから。

「魔法の基本的な概念。想像する事。
 形を作るための詞。意味を持たせるための詞。それらを繋げる、想像。
 それがあれば、何もない所を、聖域にすることも、出来るのが、魔法よ。」

 急にしどろもどろになるのは、直球ストレートの一撃に彼女が戸惑ったから。
 まあ、お菓子の話、以前最初にした話を持ってきていたが、彼女の中に雰囲気に、昔と違う何かを感じ取った。
 慌てふためき、それでも何とか取り繕おうとしている。
 魔術師としては、まだまだかもしれないが、見習いとしては、十分だろう。
 彼女の精神的年齢を鑑みての話、小さく口を吊り上げて、目を細めて見守って。

「もう少し、すらすら言えるようになると良いわね。
 弁論も又、魔術師には必要よ。
 詞の制御にも通じる所になるわ?

 あと、胸を張って言える程度にはなりなさいな?好きなものを好きだと言うのは、悪いことでは無く。
 寧ろ、良い事なの、迂遠にしていては伝わらず、逃げられてしまう物よ。」

 魔法には詠唱という物もある、其れをつっかえない様にすらすら言えるようにする必要があるし。
 咄嗟の時でもちゃんと言える事も大事だ、其れを伝えながら。

 彼女が迂遠にしようとしていた、誰かに関しては。
 敢えて追及はせずに、そして、尻だけは叩いて見せる、はぐらかす何て、早いわよ、と。