2021/04/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」にスピサさんが現れました。
■スピサ > 平日の昼間 鍜治場工房地帯
昼間から、雨が降りしきっている それも濃い雨だ
時期的に緑草が増え、水気が増えたことで羽虫が増える時期
鍜治場工房が立ち並ぶ王都のこの一角
依頼主が来ることもこれでは稀だろうか
雨が降る音だけが外の音
炉に火が入った此処 工房では、水の気と重なるように、金属ではなく革を用いた防具の作成をスピサは行っていた。
「……ふぅ。」
大きな防具に使える皮というものは、稀だ
首を切り落とされた獣 一文字に腹から割かれた
四肢に毒傷をつけた など 大部分を無傷で得られるものは少ない
それは革職人にとっては、喜ばしい品となる
特別な革ではない、大型になるまで成長し、生き延び、討伐対象となる
狩られるという恐れや敵意を持たれたものは、それなりに上質な革と言えた
カツンッと黒炭ペンで仕切られた線
それは片手盾 身を半分覆える、やや大型のカイト型
革を切り取るために、鋭く、薄くつくられた金属製の小刀
不純物を取り除いた真鉄の手製は、盾 それを作るためのものへ切り取る
鎧や兜のようなものは、サイズを測る必要があり、盾はそれを選ぶことがない
故に、必要なものが手に取るだろう盾となりえる。
スゥと切り取られるそれは失敗は許されない
雨の音だけの、静寂な空間はスピサに迷いない線を切り取らせながら
デッサンやイメージに従い、革を切り終える。
■スピサ > カイトシールドの型に切り取られた革
数枚重ねた上から、補強兼模様として、渦巻き型に張り合わされた、鎖蛇の革
内側で支えるための、膨らむ木材 “浮腫み木” に固める為の膠のような水をしみ込ませたもの
留めるために螺旋切りにされた鋲
コツコツと作業を繰り返しながら、時折煮出したぬるい葉茶を飲みつつ革の盾を制作していく
人気もないせいか、単眼を隠すこともなく、明かりの傍で仕上がっていくそれ
盾は一番疲労する 重ねた革と蛇革渦巻くそれ 寿命を長くできても、使用者次第だろうか
「んー……」
いっそ、大きな脱皮鱗でもあれば、また勝手も違ったろうにと
盾を握り、振り回してみながら強度や軽さを確かめてみて。
■スピサ > そうして店の夜は更けていき
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」からスピサさんが去りました。