2021/01/02 のログ
■リス > お客様たちの様子に関しては、特に何かがあるという感じはしない。問題はないようだ。
それはそうだ、と思わざるを得ない、ダイラス本店は自分が幼いころから、否、生まれる前から商会として、商店として店を構えてやっている。
彼らの商人としての念期は、其れこそ、少女の有るマグメールの支店と比べる所ではないのだ。
店員の気の配り方、店員の質、店員の技術、どれをとっても。自分以上の店員ばかり。
其れこそ、ドラゴン急便などと、そう言った新しい物ではない、昔からある確かな技術で店を支え続けているのが判る。
勉強になる、と言う感情と、悔しいという感情。
しょうがない事だけれども、両親には敵わないな、と思い、更なる工夫や、商売への知識の不足を何とかしないと、なんて考える。
一通り見て回ったのちに。少し熱が籠ったわ、と。
少女はダイラスの店から少し出てみる、敷地直ぐ近くの道。
トゥルネソル商会は海にほど近い場所にあり、ざざ……ん、ざざ……ん、と言う海の音が聞こえる場所。
母親が海竜であるからこその立地なのだろう、船でそのままつけて品物を入れることの出来る店舗。
懐かしい海の音を聞きながら、砂浜に降りて、さくり、さくり、と歩くことにした
■リス > 「―――くしっ。」
小さく、くしゃみを漏らす少女。
流石に、冬の海にほど近いこの場所で、散策するには無理があったか。次女のように周囲の空気を変えることも出来ない。
三女のように、風や冷気に強いわけでもない。
何の変哲もない、ただの少女に近しい女なのが、リスと言う少女だ、トゥルネソル商会の中で一番商売は出来るが、竜としては何もできない存在だ。
このままでは風邪をひいてしまうだろうし、と少女は立ち上がり、己の体を軽く叩く。
風で飛んできた砂埃を払う積りであり、果たしてそれは直ぐに終わることになる。
「戻りましょうか。」
ふぅ、と息を吐き出せばそれは白く広がり、消えていく。
真冬なのね、なんてそんな感想を持ちながら、少女は砂浜を背に、海を背にして。
そして、そのままさくり、さくり、と小さな足音を響かせて、商会の方へと戻っていく。
新年のあいさつは終わったので、後は、また今度にしましょうか、と―――。
ご案内:「港湾都市ダイラス トゥルネソル商会 ダイラス本店」からリスさんが去りました。