2020/10/17 のログ
ご案内:「空き家の庭」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「空き家の庭」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 夜の平民地区 その一角にある空き家の寝室で、朝から夜まで眠り込んでいた薬師の少年。
寝ぼけ眼でむくりと起き上がり、軽く欠伸をしてぽやぽやとした微睡む表情のまま、首をかしげる。

「―――あれ…? ここ、どこ…? 
…どうして、こんなとこで、ねてたんだろ…?」

独り言をあえて口に出したのは、それを聴く何者か―――…
例えば倒れていた自分をここに運んでくれた者か、あるいは、
自分に気を失わせ、ここに連れ込む意思のあった何者かに、この声と言葉が届かないかという狙い。

…しかし、10秒ほど経ってもこれといった反応も人の気配もなければ、
ぴょんとベッドから降りて、小さな体を館の廊下へ歩みださせ、玄関口から庭先へと出てきた。

「―――ここ、空き家なの…?」

まだ目覚めきっていない頭で、ぼんやり月を仰ぎながら数度ふかく息を吸う。

外界から見れば、夜の月明かりの下…幽霊屋敷のような古い装飾の館から、
裸に薄着のシャツ一枚の姿の幼子が虚ろな表情で出てくる様子は、
それこそこの館に住み着いた子供の霊かなにかにも見えるかも知れない。

「…のど、かわいたぁ」

本人は至って、生身の肉体らしい生理欲求にかられてはいるが。

タン・フィール > 「―――なにか、のまなきゃ」

と、夢うつつの中にいるかのようなおぼつかぬ滑舌でつぶやくと、
ふらふら…と庭から街道へと歩みだす。

ひた ひた ひた

裸足が石畳を歩む音が、夜の街へと消えていく…。

ご案内:「空き家の庭」からタン・フィールさんが去りました。