2020/07/14 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の自然公園に、許可を得て設置された小屋ほどの大きさのテントは、知る人ぞ知る少年薬師の住宅にして、店舗でもある。
そのテントの前では、公園の空き地に焚き火を組んで、くつくつと鍋で薬湯を煮込む少年店主の姿。

冒険者や商人、軍人や娼婦などが様々な需要を求めて訪れる、なかなかに粒ぞろいの品、
どのようなリクエストの薬にも柔軟に応えるその腕前は、近頃ちょっとした評判になっていて、
まずまずの薬の売れ行きと、気の良い大人たちに褒めてもらい、感嘆してもらえた少年はご機嫌で薬の仕込みをこなしていた。

「イモリのしっぽに、妖精の羽根、アメーバキノコと~♪
…ええと、サキュバスの、…その、えっと…サキュバスの、アレ~~……っ♪」

少年はくるくる小躍りしながら鼻歌交じりの適当なメロディで、
手際よく冒険者の心身を支える薬を下ごしらえしていく。

…途中、ちょっと歌詞にしにくい材料があったのか、誰も聞いていないであろうにもかかわらず、
ごにょごにょとあやふやな歌詞にしてごまかして…

公園の一角には焼き肉に桃汁を垂らしたような、
妙にジューシーで熱気のこもる香りと、
怪しげな桃色の煙が立ち上る光景で。

タン・フィール > 「ふぅっ! ―――ちょっと、きゅうけーい!」

薬師の少年が、自宅であり、店舗でもあるテントで朝からずっと、薬を仕込むか、売るかを繰り返しての数時間。

徐々に緩やかになった客足と、傷薬などが切れかけてきたのを良い区切りとして、
次にお客様がくるまでの間、一休みしようとテント中央に置かれたふかふかのソファーに身を投げ出して大の字に寝転び、
お行儀悪く、干した果実やナッツ・チョコの欠片などをお菓子代わりに盛り付けたお皿からすくっては食べて。

「んく、もぐ、むふー♪ おいしいお菓子!やっぱり元気でるーっ!」

幸せそうに、それをはちみついっぱいのミルクティーで飲み干して。
ぺろんっとお腹を丸出しにしたまま、つかの間の可愛らしい怠惰と暴食のひととき。

タン・フィール > 「~~~♪」

細身でありつつ幼児体系らしいふにふにとした短く華奢な肢体から、
ぽこりと丸みを帯びた、お菓子で満腹のおなかを撫でながら、むくりと満足げに起き上がる。

すんすんと鼻を鳴らして、さきほど仕込んだジューシーな甘い香りの薬が煮詰まってきたことを察知し、
ゆっくり起き上がって、再び薬鍋に向き合った。

「さて…と、ここまでくれば、火を止めて…。
ぬるーくなったら、順番に瓶詰めにしていかないと。」

ちびちびとミルクティーを飲みながら、細心の注意で薬を煮詰めていく。
その香りは甘美で、これを触媒とすれば、強力な媚薬や淫魔への猛毒なども生成できる、劇薬に等しき甘味。