2020/06/20 のログ
ご案内:「森の奥の建造物」にエゼルさんが現れました。
■エゼル > 外観は、ツル植物に覆われた巨大な台形の、墳墓を思わせる建造物だった。
内部は見たままのダンジョンと化しており、本来であれば冒険者の領分と言える……
しかし、長身の女が背負子に荷物を載せて内部を歩いていた。
目的は金銀財宝などではなく──配達。届け先は住人。こんな所で暮らしている老魔法使い。
依頼があればそこがちょっとやそっとの危険地帯でも届けに行くのが、勤めている配達屋のモットー。
床トラップを踏みかけたり、徘徊するモンスターの視線を避けてこそこそ歩いたり、
そこいらの冒険者より冒険者らしいムーブを強いられ、ひいひい言いながら女は奥を目指しているのだった。
■エゼル > 先輩の配達人から注意点でが書き込まれた地図を事前に渡されており、
頭の中に叩き込んできてはいるのだが……実際経験を積むまでどうにもならない事はあるもので。
大股に踏み出した足が、思ったよりも深く沈み込み、カチっという音が耳に届く。
横合いから小さなからくりの作動音がして──
「うわっ──危ないっ!?」
風切り音とともに、横の壁面に開いた穴から矢が飛来する。
咄嗟、その場にしゃがみ込んで、何とか回避。心臓が縮み上がるような気分だった。
「か、勘弁してよ、もう……洒落になってないじゃない」
ちょっと矢が刺さったくらいでは何ともない種族とは事情が違う。当たり所が悪ければ即死である。
だが、今の勤め先だと、こういうハプニングは日常茶飯事。何度か深呼吸し、呼吸を整え…