2020/03/26 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の一角、空き地に立てられた小屋ほどの大きさのテントは、知る人ぞ知る少年薬師の住宅にして、店舗でもある。

冒険者や商人、軍人や娼婦などが様々な需要を求めて訪れる、なかなかに粒ぞろいの品、
どのようなリクエストの薬にも柔軟に応えるその腕前は、近頃ちょっとした評判になっていて、
まずまずの薬の売れ行きと、気の良い大人たちに褒めてもらい、感嘆してもらえた少年はご機嫌で薬の仕込みをこなしていた。

「イモリのしっぽに、妖精の羽根、アメーバキノコと~♪
…ええと、サキュバスの、…その、えっと…サキュバスの、アレ~~……っ♪」

6畳ほどの広さのテントの店内で、少年はくるくる小躍りしながら鼻歌交じりの適当なメロディで、
手際よく冒険者の心身を支える薬を下ごしらえしていく。

…途中、ちょっと歌詞にしにくい材料があったのか、誰も聞いていないであろうにもかかわらず、
ごにょごにょとあやふやな歌詞にしてごまかして…

テントの室内には焼き肉に桃汁を垂らしたような、妙にジューシーで熱気のこもる香りと、
うっすら桃紫色のモヤが漂い、それはテントを外から見れば、
いかにも妖しげなテントから、怪しげな桃色の煙が立ち上る光景で。

タン・フィール > すんすんと、小鼻を慣らしてその香り具合から出来栄えを想定し…

「ええと~…こっちは気付け薬。 これは精力剤。 これは、誘惑剤、これは、対誘惑剤…。」

男女ともに、精力と気力を増し、眠気を吹き飛ばし、闘争・性・食事や快楽への欲求を増す、
甘ったるい桃色の「本能を沸き立たせる原液」

それを、蒸留水で50分の1に割ったり、火にかけて水分と蒸発させ、濃密な結晶の粉薬にしたり、
心を鎮める茶と混ぜたり、酒に混ぜたり…と、
様々なニーズに合わせた調合を施して瓶に詰めていく。

使い方次第では、サキュバスなどの淫魔に襲われた際に、彼女たちへの魔除けとして作用するどころか、
虜とし、主人として淫魔たちを使役すらできる強力な代物。

その相場を知ることもなく、生み出す技量だけが備わった少年は、その精力剤を破格で店の棚にならべて。

「~~~♪ これ、評判いいんだよね、どんどん作っちゃわないとー」

なおも薬作りに没頭していった。

ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。