2020/02/07 のログ
ご案内:「王都某所」にリムリアさんが現れました。
リムリア > 冒険者ギルドは、年中無休24時間営業と言わけではない。
もちろん魔物の襲撃などの緊急事態でもあれば、話は別だけれど。
そうでなければ、夜には店仕舞いするのだけれど。

今日に限っては、そういうわけにもいかない事情があった。
その原因となっているテーブルの前に、最後通告が突き付けられる。

「もう締めちゃいますから、いい加減、帰ってくださいね。
 このまま、此処に泊まり込むつもりですか?」

はい、差し出されたのは酒ではなく、酔い覚ましの白湯。
それを持ってきたのは、運悪く今夜の遅番に当たってしまった少女だった。
既にほかの職員は一足先にと引き上げた後のことで。
当然、他のテーブルに冒険者の姿は疾うにない。
夜遅くまで酒盛りをするような冒険者は最初から、そういうお店に行っている。

ランバルディア > 寒さも手伝って、ひどくぼんやりとグラスを傾け続けていた。
男にしては珍しく、隙だらけであったかも知れない。
だから、彼女と自分だけを残した静かな酒場に成っていたという空間にも気付かなかったのだろう。

「……んぁ?あー……。
 夏なら、それもいいんだが……」

差し出された白湯を受け取りはするものの、中身を覗くとそれは脇に置いてしまって。
僅かばかりのツマミの残ったテーブルを、とんとん、と叩く。

「……んじゃあ最後の一杯付き合えよ、好きな酒もってきな。
 こんな時間までぐうたらさせてくれた礼に、俺の奢りだ」

辺りを見回しても、いつも彼女に禁酒令を突きつける他の職員も居ない。
そして彼女は男の目から見て十分に可愛らしい娘であって。
互いにとって都合のいい空間。

リムリア > テーブルを指し示す男の仕草に、困ったような表情を浮かべる。
今夜は寒さが厳しく、雪でも降ってきそうで。
なので少女としても早く帰りたいのが本音のところだったりする。

それでも、てこでも動きそうにない相手
暴れたりすることはないにしても、酔っ払いには違いない。
奢ってくれるというのなら、此処は大人しく言うことを聞いておくべきで。

「分かりました。
 ほんとに一杯だけですよ?」

止める同僚は既に帰った後。
少女がカウンターの内側に消えてほんの少し。
湯気を立てるホットワインと、おつまみの燻製肉をトレイに載せて戻ってくる。

「お待たせしました。
 じゃあ、乾杯ですね。」

先ほどまでの困った表情もどこへやら。にこにこ笑顔でガラスを掲げ。

ランバルディア > 少女が酒好きだ、というのは少しギルドに通えば知れること。
看板娘と言えるだけの器量を備えているのだから、酒呑みたちの格好の話題の種なのだ。
かくいう今この場の酔っぱらいも、わかったわかったと急かすよう手振りで送り出すその視線は。
カウンターの向こうへ消える少女の、細身のシルエットに纏わりつき。

「俺は好みの酒、とだけ言った筈だが……まぁ、いいか。
 あいよ、乾杯――」

隣か、正面か。
何にせよ届く距離に掲げられたグラスに、同じように掲げてそっとぶつける。
夕刻からぼんやりと待ち侘びていた相手を得た男の機嫌も柔らか。

「――、は。
 ……まあそう急かすなよ、早く帰ったところで誰が待ってるって訳でもねえんだろう?」

一口傾け、幾らか照明も落ちたギルドの天井向けて湯気を吐き出す。
グラスを回し、温かく、甘い香りをゆっくりと吸い込んで。

リムリア > グラスを軽く合わせてから、香り立つワインに口を付ける。
温かな甘みは、ほっと息を吐くには十分過ぎるほど。
両手でタンブラーを包み込むようにしながら、しばらくは香りを楽しんで。

「むぅ―――……、それはそーですけどぉー……」

男の物言いに、ジト目を返す。
そこで見栄を張るほどの自尊心もないのだけれど、素直に認めるのはどこか癪に障る。
それこそにゃんこでも飼おうかしらと思ったりもしてしまうのだけれど、
帰りが不定期なうえに、冒険者稼業と兼業では、なかなかペットを飼うわけにもいかず。

「そういうこと言う人には、おつまみは分けてあげませんからね?」

香辛料の効いた干し肉を皿ごと確保する。
ひとりで、ワイン一杯で摘まむには少々多めの量だけれど、そんなことは構わない。
まぁ、謝罪のひとつでもあれば、分けて上げなくはないのだけれど。

ランバルディア > 人懐こく笑みを浮かべてばかりの瞳が、姿を変えて自分にだけ向けられる。
それだけで男からすると心地は良くて、からかい甲斐もある。
ワインとはまた別のいい香りをさせる皿が遠ざけられ、目だけで追う。
腹はそれなりに満たされているし、それが目的でも無いので構いはしない、けれど。

「悪い悪い、別に茶化したくって言った訳じゃあないんだぜ?」

まず言葉での謝罪を述べて、手元の皿を差し出す。
何枚かのクラッカーとチーズの残り。此方の塩気もいいおつまみのはず。
確保されてしまった干し肉をわけるよう、手招きして求めて。

「ただ、なんだ。
 締めの一杯を飲み交わした相手を……帰してやんなきゃなんないかどうか、確認、っつーか……なぁ」

テーブルに頬杖をつき、少女を見つめる。
テーブルの下で男の脚が蠢いて、少女のくるぶしから膝に向かって這い寄っていく。

リムリア > 冗談だというのは分かっているので、そこまで真面目な謝罪を求めているわけでもない。
形だけでも謝罪が貰えれば、仕方がないなという風を見せつつも皿をテーブルへと戻し。

「こんな時間まで真面目に働いている女の子に言う言葉じゃないですよねー?」

それでも、チクリと釘をさしておくことは忘れない。
戻したお皿の代わりに、チーズの欠片を摘まむと、グラスを傾けて。

「ちゃんと帰りますよ? 待ってる人は、いませんけどねー」

ひざ丈のスカートから伸びた脚に、男の足が絡まるならば、ゲシと遠慮なく撃退するだろう。
このくらいのセクハラはもちろん承知の上。
そうでなければ、受付嬢なんてやってはいられない。
仕事中によりもやや対応が雑なのは、お酒の席だからか。
ちびちびとワインを口にしながら、自嘲気味な言葉とは裏腹に楽しげに笑い。

ランバルディア > まだ酒も飲み始め、そうそう簡単に靡くとも思っていない。
雑な対応もまだまだお楽しみの範疇。
男の脚も撃退されたからと一蹴にはされず、細っこい足首に犬が懐くように戯れて。

「こんな時間まで真面目に働いてたイイ子だって知ってるから、まさかと思って聞いたんだぜ。
 知っての通り、こっちこそ今日は酒を飲む相手も捕まえられなかったボッチなんでね」

帰っても、男も同じ一人寂しい身の上であるからだと主張して。
少女にも同様のペースを誘うように、調子良くグラスを傾ける。

「リムリアなんざ、真っ先に相手が居てもおかしくないくらいの器量だろう?
 今だって、裏口で嬢ちゃんが出てくんの待ってる奴だっているかもしれねえよ?」

自嘲気味な言葉に首を振り、脚を絡ませるのを止めて、席を立つ。
少女の隣へと座り直して、もう一度グラスをぶつけ。

リムリア > 一度撃退したくらいで諦めないのは、酔っ払いの常というもの。
テーブルの下で静かな攻防を続けながらも、気にした素振りは見せずにおつまみを口にする。

「日暮れくらいから、ずっとひとりでお酒飲んでましたよね。
 よっぽど暇なんだと思ってましたけど……」

それにはちょっぴり同情してしまう。
だからと言って、机下の争いに手心を加えるつもりはさらさらない。
くすぐったいのが少し困ってしまうけれど、やっぱり容赦はしない。

「まだ新人だから、構ってくださってるだけですよ。
 ―――それはちょっと怖いかもなので、遠慮したいです。」

遅い時間に裏口で待ち構えるとか、ストーカー以外の何物でもない。
しかも人気もなければ、身の危険を感じてしまう。
実際にその場面を想像してみて――ダメです、無理です、と首を振って。

「それなら、普通に食事に誘ってもらった方がまだ良いですね。」

お酒ならなおのこと。
とは言え、酔ってしまうといろいろやらかしてしまう(らしい)ので、一応その辺りは自重
お酒のお誘いは好感度大ですとばかりにグラスを重ね。

ランバルディア > 男の方も、機嫌良さそうにしていた眉を少しだけ顰め。
そっちこそこんな時間まで一人の男に手厳しいものだと、また溜息を天井に吐き出した。

「――だから、今晩は俺が送ってってやるよ。
 それか……リムリアがその気なら、あの海月亭で朝までコースしてもいいな」

帰路にまで付き合わせろ、という。もしくは。
既に数口とは言え酒を入れてしまっているのだから、今更憚ることもなくたっぷりと酒を浴びようではないか。
それも、評判の店で――という誘い。
再び重ねられたグラスに、自分の分のワインの残りを注ぎ足し。
彼女の背中から腰に腕を回して、抱き寄せる。

「……つい昨日、新作のあまぁいリキュールを売り出したって話だ」

自分たち以外は誰も居ない、しんとしたギルド。
だが、聞き耳を立てる彼女のストーカーにも聴こえないように、と。
短い髪に隠れた小耳に唇を寄せて、囁く。

リムリア > 溜息を吐く相手には、少々言い過ぎたかなと思わなくもない。
奢って貰っている手前、もう少しくらい愛想よくした方が良いかもしれない。
一応はそんなことも思ったりするわけで。

「もうこんな時間ですし、そこは素直に甘えちゃいます。
 えっと……海月亭で? うぅ……朝までだと、明日が…ちょっと……」

こんな時間でも、というか夜通しやっている評判の店の名前を出されると、興味を惹かれてしまう。
話にはよく聞くのだけれど、実際に敷居を跨いだことはまだなく。
それ故に一杯だけとの決意が揺らいでしまう。

「はぅ……新作、ですか……その、ちょっとだけ、なら……いいかなぁ、なんて…
 でも、ほんとはお酒は止められてるし………」

ほんの少し火照った耳に息がかかるのが擽ったい。
先ほどの攻防が嘘のように、大人しく腕の中に納まりながら、どうしようかとぐらぐら揺れる。
明日は午後からのシフトだから、少しの寝坊は大丈夫。
心の中にそんな悪魔の囁きが聞こえてくるようで。

ランバルディア > 決意を揺らす間には、男は口を挟まなかった。
捕まえた腰を撫でて、抱いて、互いに酒を巡らせて高い体温を分け合うように肌を重ねて置く。
言葉よりも雄弁に、強引に、男の腕が少女を求める。

「――じゃ、とりあえず呑んでみて決めるにするか。
 だが……俺も少しだけのませてもらったが、……中々の味だったなあ」

少女の口から欲が零れてきたところで、先ず河岸を変える事を決定事項としてしまう。
加えて、自分はその酒を含んだ事があると述べ。
期待を煽る、悪魔の囁きを耳傍で熱を持った唇が流し込む。
その唇は耳の縁を甘く食んで、もう一回り火照った耳を違う体温で愛でるセクハラ。否、愛撫して。

「酔い醒ましのイイ薬も出してやるし、……医者付きで呑むんだから安全だろ。
 その上で……あぁ、アレだ、…二人のひみつ、ってやつにすればいい――」

目立つ白衣をひけらかし、調子づいた物言いでワインを飲み干してしまうよう煽った。
それを飲み干してしまえば、後は彼女の腰を抱いたままに連れ立ち。
ギルドを後に、夜の暗闇へと姿を消して――――。

リムリア > ワイン一杯で酔ってしまうほど、お酒に弱くはない…はず。
ただ、ちょっと寒い夜だから、温もりが心地よかったというだけ。
抱き寄せられているのは、ちゃんと分かっていたけれど、
何となくそのままでいたくてされるがまま。
というか頭の中は、付いて行っちゃうかどうかでいっぱいだというのが実情で。

「うぐ……分かりました。
 じゃあ、その新作を飲んでみてからってことで!
 ひゃっ……うぅ……そ、その…耳に悪戯しないでください…」

ようやく意を決したところで、耳朶を甘く食まれると、小さな声を漏らしてしまう。
ジンと痺れるような感覚に、男の腕の中でもじもじと恥ずかしそうに、残ったワインを口にする。

ふたりの秘密と言われると、そのまま大人しくコクンと頷いて。
グラスの残りを空けると、恥ずかしかったのもあってするりと腕から抜け出して。
そそくさと証拠隠滅の片付けにカウンターの奥へと消える。

「――えっと、お待たせしました。
 エスコート……お任せしますね?」

戻ってきても、まだ顔の赤みは引いてはおらず。
自分から甘えるように身を寄せると、ふたりの影は雪がちらつく夜の街へと―――

ご案内:「王都某所」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「王都某所」からランバルディアさんが去りました。