2020/01/21 のログ
ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」に獣魔目録さんが現れました。
獣魔目録 > 今宵の舞台もあの夜と同じ物見の塔の最上階である。

無名遺跡を見渡すために作られた物見の塔。
冒険者が作り出したものに非ず、作り上げたのは無名遺跡を攻略しようとした過去の魔導師達であろう。

その塔は高さにして30m程、昨日の塔の半分くらいしかなく、内装もまた螺旋階段のみという非常にシンプルなつくりで、中央は床から最上階の天井まで水晶の主柱が立っている。

そして屋上である。
これもまた昨日の塔と近しいつくりの広場となっており、周囲は落下防止のため金属で作られた落下防止柵で囲まれ、中央は……中央だけはその昨日の塔と全く同じ大理石の像が台座と共に鎮座している。

幅にして大人が手を繋いでぐるりと囲むように5人くらいは必要な台座があって、その中央には悪魔を模した石像……ガーゴイルが合った。

その台座と同じ素材で出来たように見えるガーゴイル。
人間に似たつくりの二本の腕に二本の脚の体躯に背中には大きな翼が広がり、太い両腕と共に空から降り注ぐ輝きからその腕に抱く黒革の装丁で作られた本を守るように座っている。

立ち上がれば人の身体の半分ほどの身長だろう、尻から伸びる尾の先端は残念ながら台座食い込んで傍からは見ることは難しい――そんな芸術品としてはひどく不恰好なガーゴイル像、問題はそんな像よりもガーゴイルが大事に抱えている魔導書である。

獣魔目録。
ガーゴイルに触れずとも表紙くらいは読むことができよう。
黒い魔獣の皮を使って作られた表紙に赤い文字で描かれたその本のタイトル、知る人ぞ知る魔導書である。

知識を求めて書物を手に取れば、その手をガーゴイルが掴み、略奪を阻むだろう。

そして、問いに答えることが出来れば資格ありと認められ、その手に王国内に存在するありとあらゆる魔獣の情報が記述させた獣魔目録を手にする事が出来る。

だが問いに答えられない場合は……その資格の無い者はガーゴイルに与えられる供物となり、塔の屋上には新たな石像が加わる可能性すらある。

――…物見の塔は静寂に包まれている。
大理石で創られたガーゴイルも同様である。
この耳が痛くなる程の静寂を破られるのは何時であろうか。

ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」にハクさんが現れました。
ハク > きぃ――
ぺた、ぺた。

それは物見の塔の入り口たる門扉が開かれ、大理石に柔らかい足音が響く音。
普段であれば生活音に紛れるようなその音すら、静寂に包まれている塔のフロアには大きく響き渡るような錯覚がある。
その足音とともに塔内には魔術による明かりが生み出され、少し室内を探るような動きの後に螺旋階段へと近づいていった。

ぺた、ぺた、ぺた。

慎重ではあるが、盗掘師や盗人のような罠を探るような動きではなく、そのまま屋上を目指して歩いているのがわかる足音が響く。
やがてそれは屋上へ達し――

「ふう、ここが目的地でござるな。ううむ、アレか……?」

鞘の先に小さな風が生まれて地面に摩擦しないように持ち運べるようにされた大太刀を腰に下げた銀髪紅眼の幼女が一人呟く。
ぴくりと狐耳をゆらしながら注ぐ視線はガーゴイルに抱かれた1冊の書物で。
ふむ、と少しだけ気配を探り――生きているものがいる様子がないことだけ感じ取ると、ぺたぺたと音をたててガーゴイルに近づいていく。

今回彼女がこの場所に訪れたのはただの噂話に従ったまでのこと。
曰く、無名遺跡の塔に眠る魔獣皮の書物は獣に関する神羅万象を示す魔導の書。
その書を手にすることができれば主はあらゆる獣に対する知識を得ることができる。

――ならば、魔族に弄られ狐の獣人とされた自分の呪いを解く一端になるやもしれない。
まぁそうでなくともそのような噂のたつものであれば高値で売ることもできるだろう。

噂であるため1割程度存在に期待しながら遺跡を周り、見つからなければ所詮噂かと捨ておいて魔物や盗賊の討伐で日銭を稼ごうと思ったのだが――
水晶の主柱がそそり立つこの塔の屋上で思いがけずに書を見つけてしまい、半信半疑のまま台座へと近づいていくのだった。

ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」にレーラさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」からレーラさんが去りました。
獣魔目録 > 誰かが屋上に足を運ぶ。
誰かが屋上への扉に手をかける。
誰かが屋上へと入り込んでくる。
しかし大理石で出来たガーゴイルは動かない。

ぺたりと足音がたつ、ぺたりぺたりと静かな最上階の広間に足音が響く、響いて誰かの声色が聞えるが矢張りガーゴイルは動かない。

だが足音の主がガーゴイル像の傍へと足を進め、その台座の前まで到達すれば悪魔を模した大理石の彫像はガーゴイル像は動き出す。

真車仕掛の如き滑らかとは到底言えない緩やかな動作で、まずはその瞳が微かな粉塵と共に動き、台座の前の少女?を見下ろし、続いて口がガガガガと堅いもの同士が擦れあう音共に開き、再び同様にガガガガと音を立てて閉じる。
そうして微かな動作確認の如き仕草の後に大理石のガーゴイルは両腕で抱く魔獣皮で装丁された本から手を離す。

すると、その本はガーゴイル像の腕から離れ地面に落ちると思いきや、丁度侵入者の視線の高さでヒタと止まり、その書の名称【獣魔目録】と赤い染料で書かれた表紙を見せるように制止した。

(是なるは、幾多の魔獣が封じられた魔導書なり、汝何故魔導書を望むのか。)

大理石のガーゴイルは少女の頭の中に直接語りかけ、問う。
極単純有り触れた質問ではあるが、それは魔導書にとり大事な質問である、その存在意義に関わるほどにだ。

ただ魔導書を預けるには視線の先の存在はあまりに幼すぎる、それ故にあくまでも有り触れた問いを返すのみで、今はその返答を待ち微動だにしない。

本は空中で制止している。
手に取ろうとすれば可能であるが、幼き姿ではきっと書が制止している状態から自分の下に剥がし寄せるのは難しいだろう。

ハク > 台座に近づき、それに登ればガーゴイルに触れることができる――
そのタイミングでガーゴイルが動き始める。
瞳が開き、明らかに自分を見て。口を動かし、手を動かして……なんと、本を手放すではないか。

「む、むっ」

明らかに戦闘を行うような動きではないものの、準備さえ終われば即座に動いてくる可能性を考えて内気を満たし体を一気に成長させる。
10歳の体格から背が伸び、乳房が膨らみ、腰はそのままに尻も成長して狐尾も大きくなれば子供の頃には余り振るうに適さないサイズの大太刀も、そこそこのサイズの大刀として女性の手に収まるのだった。
刀を鞘から抜き放ち、鞘はそのまま袖にある宝珠の中へ収納してむき身の刀を携え、戦闘準備を整えたところで――

「……む、この本、喋るにござるか……?」

ガーゴイルの手から離れた本が空中で表紙を見せるように浮かびとまると、同時に頭の中に誰何の声が聞こえてくる。
故郷にあってもいわゆる神剣魔刀の類はそのようなことをする、という知識があったために驚きは強いわけではないが――見る機会がない、意思もつ道具に少しばかり眼を見開いて。

「――それがし、魔族の呪いにて身を獣に堕とされたにござる。
 故に、その解呪の手段を探しており、獣や魔族、呪いに関わる魔導書を求めているにござる。
 果たしてお主は、それがしの体に刻まれし呪いを解く術を持つにござるか?」

問われた言葉に、素直に目的を口にする。
ただ、その言葉はつまり『かつて魔族に負けた者』という意味を含んでしまう。
それを書がどう判断するか――

獣魔目録 > 通常の生物、例えば獣魔目録に記録された魔獣の中で知性が比較的高めの生物であれば視線の先の幼女から少女へと変化を遂げる相手に対して驚愕の表情か、或いは喜びの表情を浮べただろうが、生憎と大理石のガーゴイル像の反応は薄く、瞬きもせずに少女となった相手に対して、再びガガガガと硬いもの同士がぶつかり合う音にあわせて口が開き、直ぐにまたガガガガと硬いもの同時がぶつかり合って口を閉じる。

(――獣魔目録は解呪の術を示す所に非ず。しかし、書に記録された魔獣であれば知る術を持つものもいよう。汝一度だけ書を開く権利を与えよう。その指で書を開き、頁を捲るが良い、其処に呪いを解呪に長けた魔獣が居るやも知れず。)

相手の頭の中に直接語りかけた言葉通り、獣魔目録は魔獣のあり方を示した書物である。
毒や傷などに対しての治療方法や呪いをかけるに長けた魔獣が記録されている可能性は有るが、魔族の情報はない。
だがしかし、それでも知識を求めるのであれば獣魔目録触れる事を許す。

但し、相応の対価が必要となる、が。

少女へ向けた問いに対しての返答が来る前に魔獣皮で装丁された書は少女の豊かに膨らんだ胸元の高さまで緩やかに下りると、同時にガーゴイル像も一時的に役目を終えて開放され、身体の彼方此方から破片と砂煙をたてながら、滑らかな動作で台座から飛び降りて少女の前に立つだろう。

全身は大理石の艶やかな輝きのまま真っ白いままだが、間接や肩等は先程まで違い滑らかな曲線を描いて、実に動きやすそうなつくりへと変化している。
それに尻尾、台座に食い込んでいた尻尾を最後に台座から引き抜くと、尻尾の先端はそれはもう卑猥な蛇の頭か亀の頭に良く似た形状をし膨らんでいる。

そしてガーゴイル像は重たい瞼をあけて、真っ白な大理石の瞼の奥から艶やかな黒曜石と見紛うばかりの瞳を見上げるように少女へと向けて、獣魔目録を手に取るか否かをジッと見つめて確認をする。

獣魔目録を手にすれば、ガーゴイルは更に動き出す。
触れず帰るならガーゴイルは書を抱き台座へと戻り沈黙を始める、立ち上がれば少女の腰と同じ位置に頭部が来る程度の小型のガーゴイル、しかし小型でアレ魔獣である、その瞳は好奇心と性欲に輝き始めているのだった。

ハク > ガーゴイル像は自分の変化に伴い口を開閉させたため、一体何か意味があるのかと視線をガーゴイルに向けるが――しかし、特に何かあるわけでもない。
あくび、みたいなものだろうかと意識をそちらから再び本へ戻し、頭に響く答えを聞く。

一度だけ。

つまり、1回本を開き、見事求めるような魔獣のページを開くことができれば、呪いを解除できる可能性が高いのだ。
博打である。本は――ページ数はさほど多いように見えなくもないが、それでも3桁のページはあることだろう。
成長した姿の胸元まで近づいてきた本を見て少し悩むような素振りを見せるが――

「臆して得るもの何もなし。であるなら、それがしはこの書に1つ望みを賭ける――!」

意を決し、本に手を伸ばし。
そのまま本を開き、自分の直感にしたがってページを開く。

その間にもガーゴイルは台座からおり、今までにない滑らかな動きでこちらを見てくるが……
そこに戦意を感じないため、黒く体のラインを露骨に晒すスーツ姿に視線を感じながらも、本のページに何が描かれているか、そちらに意識を集中させる。

獣魔目録 > 魔獣の皮で装丁された書は見ため以上にずしりと重たく少女の手に圧し掛かり、直感をもって頁を開けばまるで少女にそれを紹介するかの如く、かなり特殊な魔獣の頁が開かれる。

【呪い喰みの蛇】
陰に潜む真っ黒い蛇の群れ。
その牙に毒など無いが、牙を突きたてる事で其処から対象者に降りかかる呪いを吸い上げて栄養とする。
しかし小さな身体で一度に吸える呪いは僅かで、深く掛かった呪いであればこの蛇が蠢く中に身を沈める他無い、それか定期的にこの蛇に呪いを吸わせる為に飼育するのも良いだろう。

――…其処まで眼を通したならば頁に書かれている挿絵のまるで墨汁で一筆で描いたような眼も鼻もない蛇が蠢き、挿絵の部分から顔を覗かせ、瞳もないのにジーと頁を開いた少女の顔を眺めながらズルズルと小さく細い身体を伸ばして、書を持つ少女の手に絡みついていこうとする。

同時にだ。
他の魔獣が呼び出された事で更なる自由を得た大理石のガーゴイルはまず一つ大きく口をあけて欠伸を零すと、その衝撃でパラパラと真っ白な表皮が崩れた、中より艶やかなで不気味な紫色の肌が露となり、身体を揺すって皮膚の上で硬化した真っ白な大理石の破片を撒き散らしながら、書物に集中してる少女の方に歩み寄ると、その正面からその腰に両腕をまわしてしがみ付き、両手でガッチリと淫靡な肢体の曲線を見せつけてくるスーツ越しに太い指で尻肉を掴みながら、鼻先を股座に押し付けてスンスンと匂いを嗅ぎ始める。

敵意も殺意も無い。
ガーゴイルは黒曜石な眼を輝かせて、久々の女体に向けて好奇の視線を注ぐのみで、言うならば犬がじゃれついている、と言う感じに近しいだろう。
ただその腕力は犬の非ではなく、行動もじゃれつくよりも女の身体を求めている雄の動きそれであるが。

ハク > ぱらぱらぱら。
重い書物が手の上で開かれ、ページが風に捲られるように音をたててとあるページを指し示す。
そのページに描かれていたものは――
炭で描かれたような、一本の蛇。
それに合わせ記載された説明文を熟読すると、少しずつ顔に喜色が浮かんでいく。

つまるところ、この蛇は……説明文を読んでいる間に、絵が生き返ったかのように挿絵から這い出て手に絡みつく蛇は、呪いを食べる蛇、という意味だ。
果たしてこの蛇の一噛みで、以下ほど呪いを喰われていくのか。
その期待と希望から、獣魔目録のそのページを強く開く。

――ただし、100年近い歳月を経て魂に同化した呪いを蛇1匹で食うことができるか、それはわからないが。

「ひゃ!?」

書物から蛇が這い出て、腕にどんどん絡みついてくるのに任せていたため――
本と蛇にのみ集中していたために、ガーゴイルが体表を艶やかな紫色の肌にかえ、しがみついてきたことにすら気づくのが僅かに遅れてしまった。
極薄の魔力皮膜はほぼ体表に触れるのと等しい感覚をガーゴイルの鼻先に与えることだろう。
つまり股ぐらの柔らかい牝肉の感覚を感じさせながら、尻肉をしっかりとその指にホールドさせてしまう。
ただし、魔力皮膜は魔力で打ち消されでもしない限り見た目に反して高い防御性能と隠密性を兼ね備える。臭いが漏れることはないだろう。

そのことに驚き、尾をぴんと立ててしまいながら――
慌て、本を手放してしまう。
本が浮かぶのであれば、ページを固定しているのであれば問題はないが。もし落としてしまいページが変わればどうなるのだろうか?

獣魔目録 > 1匹の蛇が1日で喰えるのは精々人が人に悪戯にかけた呪い程度、土地に込められた呪いであれば1匹ではまず難しく、数匹いても食い尽くすまでに年単位が必要となる、それが百年近い歳月のそれも魔族のかけた呪いであれば難しく、彼らの巣に身を浸したとしても呪いの重さ、つまり百年間もその状態で維持しても尚快癒に向かうことはなく一時的に緩めることが出来る程度であろう、と、少女が問う言葉に返すような締めくくりで頁は終わっている。

と、其処に加わるのは重力、か。
唐突に投げられた書物は一時的な所有者である少女の手から離れて重力に負けて地面に落ちて別の頁が開かれたなら、少女の手首まで絡みついた真っ黒な蛇はドロリとその場で解けて、闇夜に浸み込むように解け消えるだろう。

――…契約がなされていない、かつ頁が閉じられてしまえば魔獣は書に戻るしかない。

そうして新たに開かれてしまった頁に記録された魔獣が眼を覚ますことになるのだが、それには矢張りトリガーが必要で少女がその頁に書かれた魔獣の名を確認しなければならない。

それも今宵少女は目的を持って獣魔目録を開いてしまった。
新たな頁にも【呪い】というものに絡んだ魔獣が記録されていることだろう。

【呪い喰みの蛇】に【呪い魔手】に【呪殺牙】、等諸々。
蛇は先程少女が選び開いた頁である、呪いの魔手は空中に浮かんだ実体のおぼろげな手で、どうも呪いに反応して姿を見せる低級霊、呪殺牙は逆に呪いを解くのではなく呪いをかけるための触媒となる牙を持つ獣が書かれている頁だ。

どれが開かれているか、どれを読んでしまったかは獣魔目録の関することではない、もう書は少女に情報を提供し終えて沈黙してしまっている。

逆に盛り始めたのは紫色の艶やかで怪しい肌のガーゴイルである。
数年ぶり、下手をすると数十年ぶりの女という存在に露骨に発情した様子を見せ、鼻息を荒くしながらも少女の股座に押し付けた鼻先で必死に香らぬ雌の匂いを嗅ごうとしながら、嘴からは太い薄紫色の舌をべろんと伸ばして、スーツ越しに太い蛇みたいな舌肉を押し付けて股座をヌルヌルと舐って、その先に潜んだ割れ目を求めて動く。

そして両手である。
鋭く硬質の爪が伸びる手でガッチリと尻肉を掴んだまま、徐々にその尻肉を揉むように手を動かし始めるガーゴイル。
卑猥な形の尻尾もまた少女を弄りたいと振りはじめ、ぴんとたつ少女の尻尾を掠めながら、卑猥な形の先っぽでそのスーツ越しのお尻の合間を突きだすのだ。

(…………交尾交尾交尾交尾。)

ガーゴイルが始めて自分の意思で少女の頭の中に伝える言葉は二文字で一杯。
まるで発情した猿ならぬガーゴイル、包み隠しもしない露骨な桃色の言葉で思考が一杯なのを少女の頭の中にも押し付けだしている。

ハク > ページの説明文の末尾に記載されていた、但し書き。
蛇の食べることができる呪いの量はさほど多くなく……体に染み付ききった呪いであれば、今まで探してきた年月の間蛇に喰われ続けなお快癒はできないという記載に、少なからず肩を落としてしまう。
それも理由の1つだったのだろう。ガーゴイルに抱きつかれたことで、書を取り落してしまったのは。

本が手から離れ、頼りない存在だった蛇が消える。
少しでも、わずかでも呪いを消すことができるのであればと再び本を掴み、急ぎページを開く。
先程のページ、覚えている。だからこそ開ける、そう考えながら――ページを開く。

『汝一度だけ書を開く権利を与えよう。』

その言葉は完全に頭から抜けてしまっていたため、その行為が契約違反であることなど思いつく様子すらなく。
ガーゴイルが自分の股ぐらに鼻を差し込み、スーツに浮かぶ秘所口を舌で舐めてくることに気づいているが……尻肉をその手で揉み込まれはじめているが、それよりも本に再び蛇を出してほしくてそちらに意識を向けてしまっており。

――抵抗を見せなかったからか、より露骨に手を動かし卑猥な形のしっぽを押し付けられながら。
ガーゴイルの交尾欲は更に増し、ガーゴイルを動かす魔力は獣欲に包まれていく。
その発情魔力を体は吸収し、ガーゴイルの交尾欲求を頭に叩きつけられながらしっぽという性感帯をこすられた瞬間。

「んぃっっ!?」

腰がびくんと震え、ガーゴイルの鼻に自分の股間を押し付ける。
その時ガーゴイルは鼻先に、スーツ越しににちゃりとした粘液の感覚を――発情した牝の交尾準備を整えた穴から出る粘液の感覚を、味あわせてしまうことだろう。

獣魔目録 > 縁は一度結ばれてしまえば引き摺りだすのは容易いか、何度か頁を捲っていけば【呪い喰みの蛇】の頁を開くことは可能だろう、だがその前に発情したガーゴイルを何とかする方が先決だろう。

鼻先に感じたねちゃりとした卑猥な触感にすっかりとヤル気である。

そして眼差しは何かを期待するようなものを少女に注ぎつつ、奇妙な一夜が過ぎていくのであった。

ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」からハクさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」から獣魔目録さんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──くーわわわ……」

──そんな中の一室で、施術台の横の椅子に座って待機しながら大欠伸をかましているのは、スタッフ用の作務衣に身を包んだ金髪の男。
男は正規のスタッフではないが、スタッフの一人である知り合いの頼みでヘルプとしてこの場に入っていた。
一応、名目としては冒険者としての依頼という形にもなっており、報酬も出すとのことなので、男としては断る理由もなかった。

で、そんな事を定期的に繰り返しているうちに、男のマッサージは客の間で徐々に評判に
なりつつある、というのを知り合いから聞かされた。

男としてもここ最近妙に指名が多いような気がしていたが、どうやら気の所為ではなかったらしい。
まあ、評判になっているというのであればそれは良いことだと思う。
思うのだが──

「いや、それはエエのだが……俺様は一応冒険者なんですがねぇ。なんかもう
流れのマッサージ師にでも転身するべきか? ──おっと……」

なんて、男個人としてはなんというか複雑な胸中をブツブツと吐き出していると、
ふとカーテンが開く音がして我に返り、顔を上げる。
個室は廊下に面しているため、受付を経ていない誰かも稀に紛れ込むこともあるらしいが、それはそれとして。

さて、訪れたのはマッサージを所望の客か、それとも──