2019/11/22 のログ
ご案内:「寂れた教会」にファントムハンドさんが現れました。
ファントムハンド > ――王都の郊外。
どの都市にもひとつやふたつはある何処にでもある教会。
ただそんな教会と違う点があるのはこの寂れた教会には管理をする人間がいないこと。
誰からも忘れられ、神からも見捨てられたような寂れた教会である。

大きな木製の扉をあけて教会の中に入れば月明りがステンドグラスを抜けて室内を照らし、
蝋燭が溶けた労使か残っていない燭台が影を伸ばす。

誰も書を読まなくなった祭壇にはそれでも誰かがいた名残の様に分厚い本が置かれ、
教会の片隅には人には言えぬ秘密を告白する為の懺悔室があり、
その入り口の扉がキィと小さく軋んで揺れている。

――なのに、それなのに室内は人の気配がないのに
神父の言葉を聞く者達が座る椅子にも祭壇にもましてや
祭壇に続く絨毯にも埃一つない。

誰かが管理しているのか
それとも盗賊などが隠れ家に使っているのか
不明である。

だからこそ、現在冒険者ギルドや騎士達に調査の依頼や命令が出ている。

無人である筈なのに時折聞える声。
誰も手入れしていない筈なのに清潔な室内。
モンスターが巣食うなら悪党の棲家になっているなら掃除せよと。

だがしかし、そこには魔物もろくでなしも存在しない。
代わりにそこに存在するのはファントムハンドと呼ばれる無名遺跡でよく見かける罠である。

理由は不明であるがそれが懺悔室の中に祭壇の裏側に書物に椅子の下にと広範囲に渡って設置されていて、
もしこの寂れた教会に迷い込んで祭壇の本や懺悔室を覗く者がいるならば、
餌食にしようと柔らかく冷たい指をくねらせている。

誰かが此処に無名遺跡から発掘された品を持ち込んだのか、そういう好事家が設置したのか、ともかくこの寂れた教会は見た目よりも危険な場所であった。

ファントムハンド > ステンドグラスを通過する月明りは様々な色となり、
寂れた教会を少しは賑わせてくれるのだが、同時にそれは
半透明な老若男女どれにも当てはまらぬノッペリとしたファントムハンドの姿を捉え難くしてしまう。
特に懺悔室に仕掛けられたファントムハンドは月明りも届かぬ場所で蠢いて、
見つけ出すのにさぞ苦労することだろう。

もの音一つしない静寂に包まれた寂れた教会。
出入り口の大扉は半ば開き、外からの客人を招くようでもある。
そこに設置されたファントムハンドも蠢くだけ蠢いて物に触れる事は無いので
静寂に雑音が加わることも無い。

静かな寂れた教会に仕掛けられた罠は来訪者を静かにだが蠢いて待ち続けるだろう。
柔肌を蹂躙すべく新たな魔物を生ませるべく、罠としての本懐を果たさんがために