2019/09/21 のログ
クレマンス > 「ギュンター様がお風邪を召されては困りますから、用意はし過ぎることはありません。
せっかく合戦と名の付くものですし…本来は敵対する何方かとお約束できれば、ギュンター様もその気になるのかもしれませんけど…」

人間の15歳という年齢がまだ掴めない、人外。
教会に遊びに来ていた子供たちを考えれば、もう少し雪合戦に熱を上げても良い気がする。
渋々付き合ってはくれそうだが、楽しみそうにする様子がないことには苦戦中。
敵が多いとは聞いている。探す労力も然程使わずして敵は見つかるのだろうが。

「あら…まぁ…」

女性の体つきにそこまで興味が薄くとも、抱けるものなのだろうか。
聖女の反応はそんな驚きから、間の抜けた声になっていた。
当然恋人の返答は喜ばしいものと言って良いだろう。
が、釈然としないのは何故なのか。

「世間一般の殿方は、胸部が豊かであるとか、腰が括れているとか、そういうことに拘るとお聞きしますのに。
 ギュンター様は……えぇ、殿方ですものね、間違いなく…」

あまりの拘りのなさに、一瞬、目の前の彼が彼女と呼んでも不自然でない容姿だったことを思い出した。
身に着ける物に中性的な嗜好は見られず、言動も同様だというのに、顔立ちだけは同性のような存在。
種族が違うこともあり、龍種の娘が少々混乱してしまうほどには彼は世間ずれしている。
それでも促せば世間の恋人らしい行為を受け入れてくれるところは、愛しいを通り越して可愛いと表現すべきだろうか。
優しい指先の感触に目を細めて微笑み、同じように柔らかな表情の彼と見つめ合う。

「不思議と仰るのなら、何方かを神以上に愛おしいと思うこと自体が不思議だと思います。
 生きていて、こうして過ごす日が来るとは思いませんでしたもの」

頬に触れている手に己の掌を重ねて。
一挙手一投足に愛情を込める時間を作るものだから、二人の初デートはなかなか進まない。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「ふむ…敵対するものと、か。それなら、幾らでも相手に困る事は無さそうだな。何なら、闘技場を貸し切っても構わぬくらいだ」

彼女の言葉はどうやら己の琴線に触れた様で、ニンマリと些か邪悪な笑みを浮かべながら言葉を返す。
彼女の言う"その気"になった際の雪合戦ともなれば、弾丸の様な速度で雪玉が飛び交う中を、己の召喚獣や手勢の兵士達が進撃する些かバイオレンスな競技になってしまうやも知れない。尤も、流石にそれは彼女の望むところではないか、と浮かべた笑みは苦笑いへと変化するのだが。

「……む?そう言われてしまうと俺が世間一般の男性からかけ離れている様だが…身体的特徴で人を判断する事が余り無いからな。人間性が大事だ、と青臭い事は言わぬが、外見で優れている、劣っている等判断しようがあるまい。
…今お前が、俺を男性扱いするのに少し戸惑った様に、俺自身も決して男性らしい容姿では無いからな」

最後の言葉は、少し意地悪そうな笑みと共に。
無論、外見に拘る事そのものを否定するつもりは無いが、己はそこまで重視している訳では無いと肩を竦める。
それ故に、仮に彼女が今とは全く異なる姿になっても恐らく共にいたいと思うだろう、と言いかけて。流石に気恥ずかしくなって言葉を呑み込んだ。

「…そうか。いや、そうだな。俺も、こうして穏やかな時間を過ごす日が来るとは思っていなかった。血と火薬と財貨を踏みしめる俺に、安息が許されるとは思っていなかった。
……いや、少なからず今も思っているな。結局、俺が進む道は他者を傷付ける道だ。其処にお前を巻き込んで良いのかと、今でも悩んでいるよ」

重ねられた聖女の温もりを感じながら、零す言葉は普段の己が見せない様な弱弱しいもの。愛情という感情に不慣れであるが故に生まれる不安と葛藤。
だが、それを隠さずに話してしまう程には、彼女に心を開き、甘えを見せているのかも知れない。穏やかな陽光が彼女を照らし、神々しささえ感じる様なその姿を眩しそうに見つめながら、力なく笑みを浮かべた。

クレマンス > 「闘技場を?……それでしたら脂肪より筋肉を付けて頂かないと、私が心配です。
かなり物騒な場所だとお聞きしておりますから…明日の朝はタンパク質に富んだお食事にしなくては…」

もはや雪合戦と呼べるかわからない状況にこそ俄然やる気が出ている様子に、色々と心配になってきた。
太らせている場合ではないような。
翌朝から鶏肉ばかりが並ぶか否かは彼のフォロー次第となりそうだ。

「…まぁ。そのようなこと……、……初めてお話した時を思い出してしまっただけですわ」

己の戸惑いを見抜かれ、困ってしまう。
初めて会った時、少女だと勘違いした己が気安く接したのを忘れるような人ではないだろう。
言い訳じみた言葉の後に、聖女はもう一つ気になった点を確かめるべく。

「では……身体的特徴ではなく精神的なものに惹かれて女性を抱かれる…ということですね…?」

これもまた微妙な気持ちになる点だ。
己のことだけ考えればそれ以上に喜ばしいことはなく、己以外を考えれば見た目が好みでという単純な性欲ではないことが複雑。
男心というものは―――否、おそらくは己の恋人の心と価値観というものは、非常に難解。

「まだそのようなことをお考えなのですね。返品されてしまっては困ります。
 今後悩まれることがないよう、何が何でも私から離れ難くさせてしまわねばならないようです。
 まずは…今日は手を繋いで歩き、お互いの存在を確かめ合いましょうね。
 お知り合いと道ですれ違ってもですよ」

初夜で語った葛藤を、すぐにゼロにすることは難しいのだろうことは彼の表情から読み取れる。
例えばここで己が怖いので離れたいと申し出た場合、受け入れるのだろうか。
答えはどうであれ、聖女から見た少年の表情は受け入れてしまいそうに弱く見える。
それを繋ぎ止めるように彼の手を包んだ掌は人肌を分け与え、少し顔を傾けると恋人の掌、親指の付け根辺りに口付けた。
二人きりであれば戯れにでも唇同士での接触を試みたのかもしれないが、公の場ではさすがに。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…まあ、流石に俺も身の程を弁えてはいるつもりだ。お前に心配を掛けさせぬ様に、自嘲はするつもりだよ」

本気で心配し始めた彼女の様子に、笑いながら首を振る。
尤も、彼女が己の為を思って準備したのであれば、鶏肉まみれだろうが野菜塗れだろうが喜んで受け入れてしまうのかも知れないが。

「…冗談だよ。だから、そう困った顔をするな。それに、お前とて俺を容姿で選んだ訳では無かろう」

困った様子の彼女に含み笑いを零しつつ。
今更そんな事は気にしていないのだと彼女を安心させる様に告げるだろう。
しかし、次いで彼女が呟いた言葉にはふーむ、と考える様な素振りを浮かべて――

「…言葉にするのは些か難しいが…。まあそういう事になるのだろうか。余り深く考えた事は無かったが…。寧ろ、精神的に惹かれる相手であれば褥の外で過ごす時間が長い方が好ましいな。それこそ、今こうして過ごしている時間が、俺にとっては何より得難いものだ」

いっそ、世の男達の様に見た目や外見を重視した方が良いのだろうかと頓珍漢な事を考えつつ、幾分悩まし気な表情で応えるだろう。嗜虐と暴虐の内面と、精神的な充足を求める部分が剥離しているのだろうかと悩みつつ、それでも彼女と共に過ごす時間を選んだ事をどう言い伝えたものか。己ですら、言葉にするのは難しい。

「……お前は、時折頑固な面を見せる事があるな。いや、それもまた可愛らしいとは思うのだが。
だが、そうだな。考え過ぎていても仕方あるまい。今は唯、こうして共に過ごす時間を大事にしていこうと思う。
………思うのだが、本当に手を繋いで歩いて帰るのか?」

彼女のはっきりした口調と、己の掌に伝わる温かな熱に弱弱しく浮かべていた笑みは穏やかなものへと変化する。
己と一緒にいてくれるのだと告げる彼女の想いを眩しく感じながら、聖女を誑かした悪魔が改心している様だな、と思考の隅でぼんやりと考えていたり。

しかし、彼女の提案には困った様な、それでいて嬉しそうな何とも複雑な表情を浮かべながら恐る恐る尋ねる事になるだろう。恥ずかしがることは無いのだと理解はしていても、彼女に比べれば依然恋人としての過ごし方については、経験値が足りない様子。

ご案内:「富裕地区の公園」からクレマンスさんが去りました。
ご案内:「富裕地区の公園」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。